自分がランニングすることもあって長距離走の大会を観るのは好きなのだが、特に箱根駅伝はもうなんだかんだで15年以上、毎年必ずテレビ観戦している。
1月2日と3日にまたがり、しかもテレビの前にいる時間が12時間近くになるので、お正月休みの中に占める時間の割合が大きいのだが、それでもやっぱり毎年観たい。それだけ箱根駅伝には魅力がある。
そして今回の箱根駅伝も、順位変動が激しく、しかも出場各校のレベルが高位で拮抗していて白熱し、片時も目を離せない、まさに戦国駅伝の名に相応しい激烈な大会となった。
2区から5区までの4人のトップランナーが全員区間新記録というのも凄いし、記念大会で出場校が23校に増えているにもかかわらず、復路繰り上げスタートが2校のみというレベルの高さも凄い。
だが、今回の一番の見所は何といっても5区の山登りだった。第4中継所、小田原をトップで襷リレーした早稲田の三輪に対し、2位通過の山梨学院の高瀬が追い上げて追い抜くものの、その直後に腹痛と思われるトラブルのため再度早稲田がトップに。
そして9位で襷を受けた東洋大の一年生、柏原が猛烈な勢いで追い上げ、山梨学院と早稲田を置き去りにして大逆転の往路優勝。柏原と早稲田の三輪のデッドヒートは熾烈を極め、一度は置いていかれた早稲田の三輪が最後の下りを利して再逆転し、それを平地になってから柏原が抜き返すという劇的な大勝負となった。
そして、柏原は一昨年順天堂大学の「山の神」、今井正人が作った前人未到の大記録を30秒以上も更新し、東洋大初の往路優勝をもたらしてトップでゴールイン。2位は早稲田、3位は日体大、4位中央学院大、5位山梨学院大という順位であった。
僕が毎年応援している順天堂大は1区最下位という最悪のスタートで、その後も20位前後に浮上してもまたすぐ最下位に沈むという目も当てられない展開。一昨年の総合優勝校がここまで落ちるかねー。
ただ、5区の山登り、昨年まさかの途中棄権となった小野が見事リベンジを果たし、最下位23位で受けた襷を18位まで上げ、小さくガッツポーズをしながらの往路ゴールインはなかなかのシーンだった。
あと、今年は2区にエースを配さず、3区にエースを持ってくる学校が出てきて面白かった。2区には山梨学院のモグスや日大のダニエルなど、規格外の留学生超エースがおり、同じ区間に自校のエースを配するのは得策でないという考えだったのだろう。早稲田の竹澤、東海の佐藤悠基などが3区に回り、自校の順位を大きく上げたことを考えると、必ずしも2区にエースを配さないという新しい作戦は正解だったのかもしれない。
そして大東文化大の新監督が、あの山登りのスペシャリスト、奈良修というのも今年の大きなニュース。そして大東大は4区14位から5区の山登りで9位まで順位を上げてのフィニッシュとなった。山登りのスペシャリストが今後どのような選手を育てるのか非常に興味深い。
しかし今年の箱根駅伝は、例年になく大接戦で本当に面白い。33年ぶり復活の青山学院も健闘しているし初出場の上武大学も頑張っている。さらに国士舘や明治といった、出場はしていても下位に沈むことが多い大学が上位フィニッシュしていて、まさに戦国駅伝という名に相応しい大会になっている。
明日の復路も21位までが10分以内にひしめく状態でのスタートとなる。どこが優勝するかまったく分からないが、順天堂は「復路の順大」の本領を発揮して、一つでも順位を上げて、来年に繋がる走りとしてもらいたい。
明日も楽しみだ。