本書「脳を「見える化」する思考ノート」は、サブタイトル「夢を実現する究極のアナログツール」のとおり、著者午堂登紀雄が自らが活用し成功体験を得た、アナログのノートを活用した思考育成術を記した書である。
読み始めてすぐに、うわっと目から鱗が落ちる思いに捕われた。本書がすごく斬新なことを提案しているわけではないのだが、たまたま僕が自分自身の思考について感じていた行き詰まりを解放する術として、非常に有効だと感じられたのだ。
また、読み進むうちに、この本で提案されている思考術は、一見初心者向けを装っているが、実は色々な整理術や企画術などが組み合わせられており、なかなかの難易度であることにも気付かされた。KJ法やマインドマップの活用などについても、ごくさらりと触れられているものの、本書の思考術の中核はマインドマップとKJ法の応用的組み合わせだと思うので、この手の本を初めて読む読者にはやや難易度が高い内容だろう。
さて、本書で語られているノート術とは、とにかく何でもノートに書いてしまえ、ということに尽きるのだが、iPhoneやオンラインサービスなどを駆使して情報を管理している僕にとって、一番物足りなかった、「思考の育成」における自由度と思考の継続性という部分で今一番欲しかった形なのではないかと期待しており、今日から早速ノートを使っての思考育成を初めてみた。
世の中に溢れる情報を検索したり、登録したり、整理したりするのには、MacやiPhone、それにオンラインサービスなどは最高のツールでまったく文句はないのだが、頭の中に格納された情報を思考に昇華し、それを柔軟かつ大胆に育成して開花させるには、MacやiPhoneなどのツールだけではあまり便利ではないと感じていた。
確かにマインドマップ用のソフトはインストールしているし、それを使って事象をビジュアライズしたことは何度もある。だがいつも、マインドマップソフトの操作性の限界みたいなものが邪魔になってしまうのと、Macの前に座り、マインドマップソフトを起動しないと思考育成がスタートできず、しかも一つの題目に対して一つのシートという形で分断されてしまい、思考と思考を繋ぐ回路がないことも不便と感じていた。B5サイズのノートなら、自分が描きたいように自由にページ全体を使えるし、いちいちソフトを起動する必要もない。また、パラパラとページをめくれば前後に存在する関連する(または関連しない)別の思考と連動させることも容易で、しかも書き足しもとても簡単。
中でも、自分の人生戦略や欲望、願いなどを全て吐き出す「ブレイン・ワークアウト」は非常に魅力的だ。ノートを買い替えるたびにこの作業をアップデートしながら行うという一節を読んで、是非自分もやってみようと感じさせる説得力があった。
この本に書かれているノート術は万人向けではないかもしれない。だが、ある程度PCやモバイルなどを使いこなしつつも、まだ何か「もう一つ」が足りないと感じている人には、アナログ回帰の偉大な効能に驚かされるかもしれない。少なくとも僕は驚いた。
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