「30代で差をつける「人生戦略」ノート」は、米国公認会計士でもあり、不動産投資で一年で3億円の資産を形成した著者午堂登紀雄氏が自らの体験に基づいてまとめた人生戦略の立て方と、人生における成功への道筋構築方法をまとめた書。
本書を手に取ったのは、著者の午堂登紀雄氏が、僕が先日読了してひどく感銘を受けた「脳を「見える化」する思考ノート」の著者であり、本書「30代で差をつける「人生戦略」ノート」からも、彼のノート術についての更に優れたノウハウなどを見つけられるのではないかという期待からだったのだが、そういう意味では本書はちょっと見当違いな本となってしまった。
理由は単純。本書はいわゆる「ノート術」の本ではないからだ。本書は人生設計や社会的地位について戦略を立てて生きましょうというノウハウ本であって、ノート術とはまったく関係がない。そういう意味では、本書のタイトルは「人生戦略ガイド」などの方が適切だったのではないだろうか。ノート術に関する本を出している人が「ノート」というタイトルをつけて、でもノート術とは異なる切り口で人生を語るというのは、あまりにも紛らわしい。
で、肝心の内容についてだが、僕自身が途中までは本書がノート術の本だと思って読み進めてしまったせいもあったせいもあるのかもしれないが、やや期待値を下回ったように思う。
もちろん内容には勉強になる点も多く、彼から教わったノート術で読書メモを取りながら読んで、自分の生き方にも取り入れるべきだと感じたノウハウも少なくはなかった。たとえば「コピーライティング能力を鍛えよう」やネガティブな考えに陥った時に「だからいいんです!」というフレーズを付けて物事をポジティブに考えるというアイディアなどはすぐに実践してみようというものだった。
だが、全体的に本書の切り口は、既に他の本で語られてしまっている点が多いのも事実で、あまり目新しさがなかったのが残念だった。あと、もう一つ残念だったのが、同じような本を書いている勝間和代氏と比較した際に、本書は一般論から具体的な施策への徹底的な落とし込みが弱く、描写や表現がいまいちビビッドではなかった点だ。
具体例への落とし込みが少ない分、全体的にリズムが単調になり、ワクワクしながら読む、というところまでいかなかったように思う。
ただ、いずれにしても著者は非常に高いレベルで向上心を持って生きていることに間違いはなく、そういった一つ一つの彼の指南は非常に有効かつ実践的であることは言うまでもない。
恐らくこの手の本の内容はある程度似通ってしまうもので、どの本を先に読んで最初に感銘を受けたかによって、その後に読んだ本の評価が変わってしまうのは仕方がないことなのかもしれない。
「売上計画が未達。だからいいんです!計画にはまだまだ改善の余地があることが判明したんだから」
このように「だからいいんです!」をモットーに、さらに自分自身を高めていこう。
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