樋口健夫著の「できる人のノート術」は、紙のノートを使った情報管理・思考育成術をまとめた本。
先日読了して非常に感銘を受けた午堂登紀雄著「脳を「見える化」する思考ノート」の中でこの「できる人のノート術」の良い部分を参考にした、という記述があったため早速読んでみた。
樋口氏はリタイアした元商社マンで、この本が発行された2007年の時点で20冊以上の本を刊行していたそうだが、僕はこの人の名前は今回始めて知った。
著者はなかなか濃いキャラクターを持つ人物のようで、ノート術というよりは、著者の風変わりな人物像が目についてしまい、ついニヤニヤしてしまう部分が多く、本来の目的とは違う意味で楽しんでしまったような気がする。
だが、元来のノート術という部分では、どのような内容をいかに書くか、という部分の説明はほとんどなく、「新入社員」編や「会議議事録」編、それに「余命短いがん患者となった両親の闘病」編、中学生になった息子の「定期試験対策」編など、ノートを活用しているとどんなに人生が豊かになるかを、自分の経験値に基づいて羅列している「壮大な自慢話」となっており、この一冊を読んだからといってノートの達人にはなれそうになく、むしろ先日読了した午堂登紀雄氏の本の方がよっぽど実践的であった。
また、一部実例も挙げて説明がされてはいるのだが、その例があまりにも特殊過ぎたり、または同氏が提唱する「アイディア・マラソン」に関する記述が延々と続いてしまい、アイディア・マラソンに関する予備知識を持たずに読んでいくと戸惑う部分も多い。
ただ、時系列に仕事のこともプライベートのことも何でも記録していく点や、インプットとして書き込むこと以上に、後からその記述を見返して、さらにレベルアップした思考を脳から導き出すアウトプットが肝心な点であることを説いていることに非常な意義を感じる。
僕自身、常にノートを持ち歩いて日々の思いを書くようにし始めて数週間が経つが、明らかに自分の思考が熟成され、より豊かに変化し始めていることを感じる。樋口氏が言うように、幼少の頃からノートを持ち歩いて思考を熟成させる訓練を積んだら、相当すごい人間になれるだろうと、真面目に思う。
そういう意味でも、この本はノウハウ本というよりも、昭和から平成の日本経済を支えたモーレツ商社マンが書いた「ノート術大家の成功事例集」として読むととても楽しく豊かに心に入ってくるだろう。どうでもいいが、樋口氏がいかに「ヨメサン」を愛しているかも良く分かってなかなか素敵だ。読んで損はないだろう。
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こんにちわ。アイデアマラソンの考案者で、「できる人のノート術」の著者の樋口健夫です。私の本をお読みいただきありがとうございます。
私は、人はそれぞれ自分の書くべきドラマを持っていると思います。そのために、その各人のドラマを、「書いておきなさいよ」ということは、本書にても懸命に訴えているのですが、どのように書きなさいよと指示することは、私の望むところではないのです。だから、書いておくメリットは、十二分に説明しようと考えました。
自慢と聞こえたら、本当に恐縮です。お許しください。
樋口健夫
樋口さま、
初めまして。コメントをいただきありがとうございます。著者のかた直々にコメントをいただけるとは大変光栄です。
楽しく読ませていただきました。ノートを取るというのは本当に大事なことですね。私も遅ればせながらノートを取ることと、そして後から見返して意識を進化させていくことの大切さを実感しています。
これからもどうぞ楽しくて勉強になる本を出してください!
ありがとうございました!