「「儲かる会社」の朝の習慣」は、リフォーム会社を経営する著者小西正行が、自らの経験と実践をもとに元気で利益の出る企業におけるコミュニケーション法と部下育成法について語るノウハウ本。
ちょっと極端な本なので正直最初は「引いて」しまったが、著者の熱い語り口の文章を読み続けて行くと、徐々にそれもアリかもなあと思わせる、そんな説得力を感じさせてくれるのではあるが。。。
何がどう極端かと言うと、著者が説く体育会的熱血企業というのが、どうにも僕には馴染みがなく、小恥ずかしいしちょっと抵抗もある。
たとえば、小西氏は毎朝出勤してきた社員を握手で出迎えるという。朝出勤してきた社員は前の日に嫌なことがあったり疲れていたりすると十分な心の準備が出来ておらず、後ろ向きな気持ちで出てくる場合もある。それを笑顔とともに握手をして社員を迎えることで、社員の気持ちがリセットされるというのだ。
あと、「バリデーション・サークル」というものも紹介されている。これは社員同士がお互いに「あなたに会えて、一緒に仕事ができて良かった」と告白し合う儀式だ。「言わなくても分かってるだろう」という常識を取り払い、相手を認める告白をすることで、お互いが相手を受け入れる土壌が出来て、一丸力が育成されるというのだ。
まあ確かに朝に社長が笑顔で社員を出迎えて、一人ひとり握手してくれれば、やる気は出るかも知れない。部下が上司に向かって、「あなたの部下で良かった」と面と向かって言われれば上司は感激するだろう。
でも、なんだかとってもむず痒くて照れ臭く、そしてそれと同時に何やら不気味な感じもしてしまうのは何故だろう。しばらく考えて思い至ったのは、このコミュニケーションの濃密さが不自然だからなのだろう。
会社で部下が上司に「あなたの部下になれて本当に良かった」と告白するシーンというのは、少なくとも僕にとってはとても非日常的な光景だし、どうにも居心地が悪い。
もちろんそういう居心地の悪さは不慣れであるが故のもので、一度お互いの距離を近づけてしまえばあとはとっても良好な人間関係になるのかもしれない。
頭では分かるのだが、でも何だかとっても不気味で、そして抵抗があるのも事実。
ただ、数年前までの自分であれば、この濃密な世界観を見せられた瞬間に拒絶感に満たされて本を読むのを止めてしまったと思うが、今回は「この抵抗感を乗り越えた向こうにある世界ってのもアリかもなあ」と思ったことは、僕にとっての成長だと思う。この世界観を自分が部下に対して実践したいと思うかどうかは別として。
まあそんな感じで、こうしてレビューを書きつつも、評価がポジティブな方にふらふら行ったりネガティブな方に針が振れたりと定まらない。でもまあとにかくインパクトがある本だし著者が言いたいことも首尾一貫していて分かりやすい。問題はこの世界観に乗るか反るか、ってことなんだろう、結局は。
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