小室淑恵氏の「6時に帰るチーム術」を読了。
ワークライフバランス組織変革コンサルタントとして活躍し、株式会社ワーク・ライフバランス社長でもある小室氏が説く、日本企業に根付く残業体質の払拭とワークライフバランス改善に関する指南書。
僕自身は以前から吉越浩一郎さんの著書を何冊も読んできているため、本書の主眼や方向性については抵抗無く受け入れられた一方で、目新しさも特に感じなかった。
あえて言えば、新鮮だった点としては、小室氏は女性であり、実際に産休・育休を取得しつつ働き続けている当事者である分、視点が基目細やかであり、また、小室氏の方が年齢が若いためと、本書が現場のマネージャー向けに書かれているため、部下との距離感をかなり近くに設定しているなあと感じた。
逆に残念に感じた点は、小室氏は企業の社長とは言ってもワークライフバランスのコンサルタント業の社長であるためか、残念ながら吉越さんの著書と比べると、一般論的な語り口が多く、事例やサンプルにも瑞々しさが感じられなかった点と、やはり迫力というかカリスマ性というか、「成し遂げるぞ」という強い意志のようなものが、あまり表に出ていない点も、少し物足りなかった。
ただ、吉越さんや小室氏が提案している「残業ゼロ」や「定時退社」は、日本企業が是非とも向き合うべき重要なテーマであることは間違いがなく、その視点は本書でもぶれることがないため、吉越さんの著書と本書の優劣を論じること自体が無意味であろう。読んでみて、より親近感を感じ、より説得力がある著書を参考に、実践すればよいのだ。
日本人の労働生産性は先進諸国の中で最も低く、逆に長時間労働者の割合が最も高い。それは何を意味するか。日本人は低い労働生産性を長時間の残業で何とか埋め合わせることで、先進国の仲間入りを果たしてきたということだ。
バカンスで8月をまるまる休んでいた(最近はさすがにそこまで休まないようだ)フランス人や、一日に5回も食事をして昼からワインを飲み昼寝もしてしまうスペイン人よりも、日本人は労働生産性が低いのだ。これって衝撃ではないだろうか?僕は最初にこのことを知った時はショックだった。
日本人は勤勉で優秀で、働きっぷりは欧米のビジネスパーソンの比ではないだろうと想像していた時期もあった。だが、現実には、先進7カ国で日本の労働生産性は13年連続最下位なのだ。
働き方を変えなければ、この図式はきっと変わらない。僕はそう信じている。短い時間に集中して働き、きっちりと成果をあげる。そして夜は家族のため、コミュニティのため、そして自分の成長と進化のために時間を使い、その時間の中でビジネスにも役立つ人脈や知識等を身につける。人を中心に考えた場合、このように変化すべきだ。
組織で見た場合には、一人ひとりの生産性を高めることで、少ない人数で多くの仕事ができるようになる。そしてさらに多くの仕事をこなす必要が生じた場合も、安易に正規雇用を増やすのではなく、底辺の簡単な業務は外部委託したり非正規労働者に振り分けるなどの工夫をして、骨太の組織を作っていく必要がある。
「24時間闘えますか」のフレーズに代表されるように、日本人はあまりにも長く、長時間労働・低生産性の勤務体系に浸ってしまっているし、一時的には残業が減れば時間外手当が減少し、収入が苦しくなるという人も出てくるかもしれない。
だが、物価が高く長時間労働をしたところでアジア新興国等の低人件費諸国とはコストで競争が不可能な日本は、これからは瞬発力とアイディアで勝負しなければならないことは明白だ。
一社員、一マネージャーだけの力では、残業を減らし、生産性を上げる活動を起こすことは難しい場合も多いだろう。今こそ、経営者が、全社を挙げて残業ゼロを目指す取り組みを行うべきときなのだ。
この著者は美人さんですねえ。。
こんな素敵な人と一緒に仕事したい。
とらさんこんにちは。コメントありがとうございます(^-^)。
確かに美人さんですね。それは僕も思っていました(^_^;)。