今週のミュージック・レビューはついにビートルズである。
高校時代にビートルズに初めて触れて以来、オリジナルアルバムは全て擦り切れるほど聴いてきた。
不思議なもので、年齢とともに好きなアルバムや曲は変化するもので、今回ビートルズを取り上げるにあたり、最初にどのアルバムを紹介するか、非常に悩んだ。
だが、やはりこのアルバムを超えるものはないだろう、ということで、彼ら7枚目のアルバム"Revolver"を取り上げたい。
ビートルズを聴き込んでいる方にとっては釈迦に説法になってしまうが、ビートルズは大きく初期、中期、後期に分けて捉えることができる。
初期は、Please, Please Meから5枚目のBeatles for Saleぐらいまでの、いわゆるライブバンドとして、他アーティストのカバーも含め、ノリの良い曲をがんがんプレイしている時期で、アイドル扱いされており、彼ら自身もアイドルとして振る舞っている。
そして中期は6枚目のRubber Soul、Revolver、SGT. Pepper's Lonely Hearts Club Band、Magical Mystery Tourの4枚。この時期は4人がアイドルとしての活動に嫌気が指し、よりアーティスティックな方向に舵を切った時代であるとともに、サイケデリック・ムーヴメントとドラッグ文化にどっぷり浸っており、楽曲としてもドラッグの影響が非常に強く、かなりかっ飛んだものになっている。
後期は10枚目のThe Beatlesから最後のLet it Beまでで、4人の個性が際立つようになり、音楽的にも成熟し、ドラッグ浸りからの脱却も進む一方で、方向性の違いも目立つようになり、グループとしての活動が徐々に難しくなっていく。
僕は個人的に中期ビートルズが一番好きなのだが、その中でも特にこのRevolverを愛している。ドラッグ・アルバムとしてはもう一枚後のサージェント・ペパーズが有名だが、このリヴォルバーも既に相当ラリっており、また実験的な曲も多いのだが、それらの完成度には目を見張るものがある。
また、このアルバムあたりから、メンバー一人ひとりの個性が際立つようになってきているのも特徴で、リード・ヴォーカルを取るメンバーごとの色彩の違いが多いに楽しめる。
中でも好きな曲は、ジョン・レノンが気怠く歌う"I'm Only Sleeping"、シタールを大胆にフィーチャーし、ジョージ・ハリスンがリードを取る"Love You To" 、ドラッグ・ポップの代表格と言っても過言ではないだろう、ジョンの"She Said, She Said"、そしてB面最後の曲で、盛大にラリって盛大にハイになってる"Tomorrow Never Knows"、このあたりだろう。
他にも名曲がぎっしりで、ポールの甘いヴォーカル"Here There and Everywhere"やリンゴのすっとぼけヴォーカルが可愛らしい"Yellow Submarine"、美しいメロディーが印象的な"And Your Bird Can Sing"など、もうホントに素晴らしい完成度である。
もしあなたがまだビートルズをほとんど聴いたことがないなら、是非このアルバムから試してみていただきたい。僕はきっと死ぬまでずっとこのアルバムを愛し続けるだろう。
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