今週のミュージックレビューは、The Waterboysの"This is the Sea"というアルバムを紹介したい。
前回がThe Jesus and Mary Chain、その前がMy Bloody Valentineと、80年代〜90年代のイギリス・アイルランド系が続いているが、とりあえず一旦今回の第三回で区切りにしたい。
The Waterboys、ウォーターボーイズは、スコットランド人とアイルランド人により結成されたバンドで、リーダーのMike Scottが中心となり、アイルランドのケルト音楽とロックやフォークを融合させた、アコースティックなテイストが強いバンドである。
このThis is the Seaは1985年にリリースされた、彼等の3枚目のアルバムであり、商業的には彼等最大のヒット・アルバムとなっている。
何と言ってもこのアルバムの最大の魅力は、リーダー、マイク・スコットの歌声の繊細かつ鋭いトーンが作り出すカリスマ性と、ケルト音楽とロックが織り成すアコースティックでドラマティックな曲調であろう。
最も気に入っているのは2曲。シングルカットもされた"The Whole of the Moon"と、タイトル・クレジットにもなっているアルバム最後の曲、"This is the Sea"である。
The Whole of the Moonは、ややアップテンポで明るいメロディーラインが、若さ、勇猛さ、希望といったキーワードを喚起させてくれる。少しだけ勇気が欲しい時に聴くと、元気と勇気をくれる。そんなタイプの名曲である。
そしてもう一曲、This is the Sea。こちらの曲を聴いて僕がイメージするのは、悠久、無限、広大と言ったキーワード。ゆったりとしたリズムに幾重にも重なるアコースティックギターとエレキギター、それにマイク・スコットのハスキーなヴォーカルが豊かに広がり、雄大な大河を流れてきた水が、河口から海へと流れ出るイメージが、目を閉じると見事に浮かび上がってくる。
僕がこのアルバムを初めて聴いたのは1986年、高校1年の時だった。友人はThe Jesus and Mary Chainの"Psychocandy"と、このWaterboysの"This is the Sea"を二枚持ってきて聴かせてくれたのだが、この二枚は今でも僕の心を揺さぶる名盤となっている。
ほとんど有名ではないバンドの、25年近くも前のアルバムだが、個人的には激しくお奨め。一度聴いてみて欲しい。
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