佐藤伝氏著、「夢をかなえる9マス日記」を読了。
すごく良い。すごく良いのだが、惜しい。本当はもっと破壊力のある本にできたと思うのだが、若干消化不良気味な部分があった。しかし総合的には非常に優れた手法と言えるだろう。
「9マス日記」とは、このブログでも何度も取り上げてきた「マンダラチャート」を活用した日記という意味である。本書では特にマンダラチャートという言葉は使っていないが(もしかしたら意図的に避けているかもしれない)、マンダラチャートを利用しての日記術の本である。
そもそも本書を読もうと思ったきっかけは、以前も特集したことのあるiPhoneアプリ、iMandalArtをどのように使いこなしてゆくかについてのアイディアが欲しくて、マンダラチャートに関する本を探していたのだが、そのうちの一冊であった。結果として本書はiMandalArtを使うには本格的すぎるため、iMandalArt活用の参考にはならなかったのだが、日記術という意味では、画期的であった。
本書の提案している事項には幾つかユニークで素晴らしいものがあるのだが、3点挙げると「朝に書く」「その日のことを、つまり未来のことを書く」「デジタルで書きパスワードロックをかける」であろう。
僕自身公開用のこのブログの他に、個人用の日記をノートに書いているが、夜に、その日あったことを書いている。一般的に日記とはそういうものと認識されていると思うが、本書ではその前提をあっさり放棄している。これがなかなか良さそうなのだ。
もちろん9マスのマンダラチャートで日記をつけるという発想も素晴らしい。僕はまだ準備中だが、是非やってみたいと思わせるものがあるし、効果も相当ありそうである。
朝起きてすぐに、その日これから起こることを日記に書くということは,自分に対する決意表明である。夢をかなえるためには、自分の夢を毎日確認することが必要だが、それを容易にするとともに、日々決意表明することで、一日一日をしっかり生きる起爆剤となる。
また、デジタルデータにしてパスワードロックをかけることで、自分の本音を引き出すという点も面白い。日記はもちろん個人的なもので、自分以外は読まないことが前提だが、自分が死んだときのことを考えると、ノートに書いた日記は当然家族や知人に読まれるだろうし、自分が死ななくても、同居している家族に読まれることを恐れて本音が書けずにいる人も多いだろう。
デジタル化することで他人に読まれるリスクをなくし、本音で日記を書こうということだ。もちろんデジタル化することで検索性も向上するし、DropboxやUSBメモリなどを活用すれば、どこにでもファイルを持ち歩くことが可能になる。
実際に9マス日記を実践している人々のインタビューも豊富で、始める前から読むだけでワクワクしてくる。
というわけで、全体的にかなり素晴らしい本なのだが、幾つか残念な点もある。
まず一番残念であり、致命的なのは、本書は「「朝日記」の奇跡」という別の本の続編として書かれており、肝心の9マス日記ファイルの作成方法や活用法などについては、「「朝日記」の奇跡」を参照せよというコメントがあるだけで、本書には一切書かれていないのだ。これは本当にガッカリで、本書の価値を落としてしまっている。
せめて概要だけでも、10ページでも5ページでもいいから掲載して欲しかった。なんせ本書はデジタルデータ(著者はエクセルを推薦している)による日記術の本なのだ。肝心の日記ファイルに関する記載が、別の本を参照せよでは、どうにもすっきりしない。
もう一つ残念だった点として、話題が飛躍しすぎるという点がある。夢をかなえる、というテーマ故か、やたらと色々なたとえがでてきて、それはそれで面白いのだが、著者自身のたとえ話が飛躍しすぎてついていけないケースが多い。
例としては、急にヨガの話が出てきたりするのだが、充実した人生の一例としてではなく、生活の必須アイテムとして話が登場すると、ちょっと飛躍している感が否めず、詰め込みすぎという印象を受ける。
だが、そのような欠点はあるものの、やはり「9マスで」、「日記を」、「朝に」書くというアイディアは実に素晴らしい。仕方がないのでファイル作成法が書かれている「「朝日記」の奇跡」も読むことにしよう。ただ、個人的にはエクセルだとちょっと操作性や検索性に疑問があるので、File Makerあたりのデータベースソフトを使おうかと考えている。あ、でもFile MakerだとiPhoneで使えないか。そうするとBentoかな?ちょっと調べてみよう。
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