小飼弾氏著、「空気を読むな、本を読め」を読了。
見事なタイトルである。ジャケ買い、帯買いと並び、タイトル買いしたくなる本に出会えると幸せな気分になるが、本書はまさにタイトル買いさせてくれた。名タイトルである。
「空気を読むな、本を読め」という言葉の響きももちろん秀逸なのだが、著者の小飼氏ならば、「いかにもこういうことを言いそうだ」と、思わずニヤリとさせられる、その複合技なのである。
ご存知ない方のために紹介しておくと、小飼氏はいわゆる「アルファブロガー」としてしられ、そのブログ"404 Blog Not Found(このブログのタイトルも見事だと僕は思っている)”は書評を中心に、辛口にバッサバッサと本や世の中の事象を斬りまくっている、ちょっと怖い印象の方なのだ。
そんな小飼氏なので、このタイトルはあまりにもピッタリで、嬉しくなってしまった、という次第。僕ももちろん小飼氏のブログは毎日拝見しているし、ブログ経由で存在を知り、自分でも読んだ本も何冊もある。
さて、タイトルの話はこれくらいにして、中身である。本書は読書の習慣があまり身についていない若者や、読書自体は好きだが、効率良く知識として読書から学んだことを吸収できていない人を第一のターゲットとした、読書法論であり、その中に著者の自伝的読書経歴などがちりばめられている。
習慣的に本に囲まれて生きている人達から見れば、既に知っていることも多いのだが、短い文章でシンプルにまとめられており、とても読みやすく,また,僕などのように、本好きとは言っても、小飼氏のような圧倒的な読書量には至っていない人間からすると、ノンフィクションを速く読む方法など、学ぶべき点も多い。
あと、業界の裏側を紹介してくれて面白かったのが、出版社側の都合で作品が長大になる傾向にあることで、そのような意向で作品が伸びたり縮んだりすることがあるのか、と単純に驚いた。
残念だったのは、この本が二色刷りである必要があったのかということと、もう少し毒が強くても良かったか、という点。本の価格とその価値についての話がかなりあったのだが、それを言うならこの本は二色刷りにする必要は全くなく、白黒にして、その分価格を抑えるべきではなかったかと感じた。また、いつものブログに較べると、トーンがおとなしめで、ちょっとお行儀が良かったような印象を受けた(ブログで暴れている訳ではないのだが)。
充分面白くはあったが、ちょっと物足りなさも残る、そんな読後感であった。でも、読書にはまってみたい人、読書の素晴らしさをまだ体感したことがない人にとっては、バイブルになる本なのかもしれない。¥
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