今週のミュージックレビューは1967年にアメリカで発表された、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの"ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ"を紹介しよう。
Velvet Undergroundは1960年代後半から70年代初頭にかけてニューヨークで活動したバンドで,中心人物はヴォーカルのルー・リードとギターのジョン・ケイル。
左のジャケットを見てもらうと分かると思うが、彼らにとってのデビューアルバム、"The Velvet Underground & Nico"は、アンディー・ウォーホルのプロデュースである。というよりは、彼らはアンディーによって見出されたと言っても過言ではない。
60年代後半のNYでは、ベトナム反戦、フラワームーヴメント、そしてドラッグへの傾倒が顕著で、彼らThe Velvet Undergroundは、そういったドラッグカルチャーのまさに先端を走る、サブカルでヒップなバンドであり、デビッド・ボウイやミック・ジャガーなどにも大きな影響を与えた。
本作には正式メンバーではない女性ヴォーカリストとしてNicoが加わっており、数曲彼女のリードの曲が含まれているが、彼女はウォーホルが半ば強引にメンバーに加えてしまったため他のメンバーの反感を買い、正式メンバーになることはなかった。
そしてこのアルバムの特徴として、発売当初はあまり売れず、後年になってから、時代を代表するアルバムとして再評価されたという点である。おそらく当時としてはあまりにも過激で挑戦的だったため、一般受けはしなかったのではないかと思う。
アルバム全体を通じて、ドラッグとセックスに対する強い影響が表れていて、退廃的でエロティックな60年代のニューヨークの姿をまざまざと思い浮かべることができる。男性であるルー・リードの歌声がむしろ女性的で、女性のNicoの声が野太く欲望をむき出しにしているのが印象的である。
アルバム1枚まるごとお勧めなのだが、3曲を選ぶとすれば、No. 1はルー・リードが歌う"
I'm Waiting for the Man"。アップテンポの曲調の中淡々と歌うルーがセクシーだ。
そして2曲目はNicoの歌う"All Tomorrow's Parties"。こちらはスローなナンバーだが、明日のバーティー(もちろんドラッグ・パーティーだ)で繰り広げられる出来事を想像するだけでエロティックである。
そして3曲目はタイトルからしてそのまま"Heroin"である。こちらはルーのヴォーカルで、最初はスローに始まった曲が徐々にスピードアップしていくのだが、それがまるでドラッグが徐々に身体に回ってハイになっていくかのごとくなまめかしい。
まさにニューヨークのドラッグシーンを引っ張ったThe Velvet Underground & Nico、刺激的なアルバムを、週末の夜にちょっと強いお酒とともに、どうだろう?
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