今週のミュージックレビューはドアーズの1stアルバム、その名も"The Doors"を紹介しよう(邦題は「ハートにひをつけて」)。
このアルバムはあらゆる意味で圧倒的であり、エポックメイキングであり、そして歴史に永遠に名を残す名盤である。
The DoorsはアメリカのLA出身の4人組で、1965年から活動を開始し、1967年にデビューした。
挑発的で美しく、詩的で破滅的なヴォーカルのJim Morrisonのエロティックで暴力的な歌声と、キーボード奏者のレイ・マンザレクが創り出すジャズとブルースをベースとした魅惑的かつグルービーな音が融合した時、まさに時代を超えて引き継がれる、神が宿ったかのような完成度の高いアルバムが作り出された。
このアルバムには4曲、非常に重要な曲が収録されている。1曲目はアルバム冒頭の"Break on Through"、そして2曲目はThe Doorsを代表する名曲"Light My Fire"、邦題"ハートに火をつけて"、3曲目は村上龍の"限りなく透明に近いブルー"でも引用されている"The Crystal Ship"、邦題"水晶の船”、そして4曲目はフランシス・コッポラ監督の映画"地獄の黙示録"でも使用された"The End"である。
いずれの曲も、ジャズをベースにした複雑かつ奥行き深いコード進行とハーモニーを持ち、当時はまだ珍しかったオルガンを前面にフィーチャーした楽曲で、ジムの詩的で幻想的な歌詞と声色が、聴くものを遠く深い異空間へと誘っていく。
全曲にドラッグの影響と傾倒が見られ、当時のサイケデリック・ムーヴメントの影響も多く見られるが、ジム・モリソンの神秘的世界観はとにかく全能的であり、他のいかなるミュージシャンとも異なる、独自の美学と哲学によって作り上げられている。
とにかくこのアルバムは、どんなにたくさん形容詞や副詞を並べても説明することは不可能である。まだ聴いたことがない方は、とにかく一度聴いてみて欲しい。できれば夜に、リラックスした状態で、ちょっとお酒を飲んだりして聴くと効果的かも知れない。
強く美しく魔性の音楽、The Doors。すべてが圧倒的。
あと、JimとDoorsを描いたオリバー・ストーン監督の映画"The Doors"も見て欲しい。ジムもレイもそっくりでびっくりするぞ。
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