小谷野敦氏著、"美人好きは罪悪か"を読了。
通勤電車の中で、居眠りしているおっさんの手からするりと落っこちて床に落ちた新書を拾ってあげ,そのおっさんに返したのがこの本だった。
タイトルに一目ぼれして自分でも読みたくなり手に取ってみた。ちくま新書から出ているという点も気になった。
結果、期待していたほど面白くはなく、刺激的でもなく、全体的にはぼんやりした内容だった。今年読んだ本の中では残念ながらワースト3に入るだろう。
著者の小谷野敦とい人物に興味があったり彼の著作に触れた経験がある人が読めばまた違うのだろうが、この人に興味がない僕にとっては、この人がどのようなタイプの女性を好むかや、美人を雑誌で見つけたときにどう行動するかなどにあまり興味が持てず、従って共感もあまり覚えない。
もう少し科学的側面から男性の美人好きが分析されたり考察されたりしているのかと期待していたのだが、本書は常に著者小谷野氏の主観や好みが訥々と語られることに終始していて、まるでこれでは単なるエッセイであり、新書である必然性が感じられないし、このタイトルも「釣り」としては優秀だが、内容との乖離が大きく、結果としてあまり良いものとは言えないのではないだろうか。
ただ、同氏は知識が豊富で論点もなかなか面白いとは思うので、最初から小谷野氏の雑文、エッセイを読むつもりで手にとったならば、もう少し違う印象を受けたかもしれない。
後書を読むと、この本に収められている文章は連載であり、その連載中に同氏の母親が癌で入院したり、ご本人が結婚されたり、当初予定していた出版社から出せなくなったりと、なかなか執筆に集中できない環境だったのかもしれないと推察できる。
コンディション不良の時に書かれた本にたまたま当たってしまったのなら残念である。またどこかで巡り合った際には、ベスト・コンディションの一冊と出会いたいものだ。
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