桑原氏の最近の講演を収めたDVDをたまたま見る機会があり、同氏の熱さと内容の濃さに感銘を受け、著書も読んでみたいと思い、時系列順に読んでみるかと、同氏の最初の著作と思われる本書を選んだ。2004年発行の本なので、今から5年前のものだ。
本書はメンタル・トレーニングの本と書かれているが、実際読んでみた感想としては、自己啓発本のハシリと位置づけるのが適当なのではないかと思われる。最近勝間和代氏らがさかんに出版している、20代~30代の若者を成功に導こうという主眼で書かれるものと同様の目的を持って書かれている。
だが、桑原氏は営業出身でコンサルタントとして現役ということもあり、勝間氏や堀江氏などの著書と較べると、ずっと言葉がシンプルで強く、メッセージも単純な分強い。
もちろんメッセージが強くシンプルである分、たくさんのことを伝えることはできない。一点集中である。そういう意味で本書はとても泥臭く、現場寄りの啓発本であるのだが、本書の素晴らしい点は、シンプルなメッセージの中に、とても心に響く、強く圧倒的なものが含まれているという点だ。決して美麗な字句を用いているのではないし、高度な論理に立脚しているわけでもない。ただ響くのだ。
「目標設定ではなくストーリーを設定しろ」、「照れと落ち込みは自意識過剰の典型」、「大切なのは「自分力」。自分力は知識ではなく経験で身に付く」、「ウソは過去を偽ること、ホラは将来を宣言すること」、「三日坊主になった自分を責めるのではなく、5日目に再スタートすることに心を集中させろ。100回三日坊主を繰り返せば300日だ」などなど。
カリスマ営業マン出身のコンサルタントと聞くと、精神論を振りかざす人という印象があるかもしれないが、同氏の主張はむしろ精神論を否定し、どうすれば根性や気合に依存しないで人生を切り開いていくかというスタンスに立脚しているように感じられ、その点にとても共感ができる。
一点残念に感じるのは、「ここは大事なポイントなので後で説明します」と書かれている数箇所について、結局最後まで触れられず、項目だけが同氏が経営する会社が運営する有償のセミナーの広告に記載され、セミナーの勧誘へとなだれ込んでいってしまっている点。そのような出し惜しみをしなくても、気に入った人はセミナーに出席したり講演を聴きに行ったりする可能性はあると思うので、きっぱりと書きかけたことは本に全て出してしまって欲しかった。
細かい不満はあるものの、桑原本一冊目、なかなか気に入った。これから何冊か、時系列順に読んでみようかと思う。
なお、残念ながら本書は現在絶版となっており、新品を入手することはできないようだ。僕は図書館で借りてきたが、アマゾンにも中古が出ているようだ。
碧天舎
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繰り返し反復が実践力をつくる!
内容はいいです。
賛否は分かれる!!!
何度読んでも感動する!
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