今週のミュージック・レビューは1985年発表のThe Power Stationのアルバム、"The Power Station"を紹介しよう。
The Power Stationは恒久的なバンドではなく時限ユニットとして登場した。そのため活動期間もごく短く、アルバムもこの一枚しか発売されていない。
にも関わらず、その作品の完成度の高さと発表当時のインパクト、そしてメンバーのきらびやかさなどから、80年代の伝説となっている。
メンバーはヴォーカルがRobert Palmer、ギターがDuran DuranのAndy Taylor、ベースが同じくDuran DuranのJohn Taylor,そしてドラムがChicのTony Thompsonという布陣であった。
Duran DuranのメンバーであったAndyとJohnは、Duran Duranの音楽の嗜好性がニューロマ・アイドルバンド的であったことに元々不満を持っていたとされ、バンドが二つの別プロジェクトを立ち上げ活動することになった際に、Tony ThompsonとRobert Palmerを誘い、このThe Power Stationを結成した(残りのDuran Duranメンバーは別途Arcadiaというユニットを結成)。
バンド名はNYのThe Power Stationスタジオから採用した(今は名前が変わっている)。
Power Stationの特徴を3つ挙げろと言われれば、恐らく誰もがすぐに僕と同じことを思い付くのではないだろうか。それぐらい彼らは突出していたし素晴らしかった。まさに伝説と言われる所以であろう。
1. Robert Palmerのダンディーでセクシーな歌声とメンバー全員が美形であった故のビジュアルのカッコ良さ
2. AndyとJohnのソリッドで攻撃的なサウンドとTony Thompsonのドカドカ・ズドズドと響く圧倒的なドラムによる硬質で強いロックと、プロデューサーBernard Edwardsによるファンクの融合によるダンサブルな仕上がり
3. Some Like it Hot, Get It Onに代表される、猛烈にクールな楽曲と、セクシーで印象的なプロモーション・ビデオ
今回久し振りに聴きたくなってCDを入手したのだが、もうとにかくカッコいい。Robert Palmerの渋くて若干擦れた声とAndyのディストーションばりばりのギターが良くマッチしているし、ベースとドラムもとにかく攻撃的。そしてこのバンドのカッコ良さはなんといっても「大人の色気」なのだろう。Robert Palmerのフロントというのが、彼らの存在をハードで攻撃的ながら青臭さのない、大人のロックに昇華させているのだ。
このバンドの成功により、Robert Palmerはこの後ソロ・アルバムでも"Addicted to Love"などの大ヒットを飛ばして大スターにのし上がり、プロデューサーのBernard Edwardsも大いに評価を高めたが、時限ユニットしての存在だったため、オリジナル・メンバーでのライブ・ツアーはついに実現しなかった。
そして2003年には,ヴォーカルのRobert PalmerとドラムスのTony Thompsonが相次いで亡くなり、4人による再結成の願いは永遠の夢となってしまった。
RobertとTonyの命が失われた今、本当に'80の伝説となってしまったThe Power Stationのサウンドに身を委ねよう。こんな色っぽいロックはなかなかない。
懐かしいね~、Some like it hotとか映像もカッコよかったもんね。
そうそう、ビデオがカッコ良かったんだよね。ちょっとアダルトな感じで(笑)。