桑原正守氏の著書を読むのはこれが二冊目。ちょっとしたご縁で同氏の講演を収録したDVDを見る機会があり、なかなか良かったので興味を持ち、著書を古い順に読んでいるところ。
ちなみに一冊目は「絵に餅を描け」。
今では経営コンサルタントという側面が強い桑原氏だが、自身の出身がフル・コミッションでのカリスマ営業マンということもあり、多くの営業関係の著書や教材の開発も手がけている。
そして僕自身も営業出身ということで同氏には近しいものを感じているのだが、本書もなかなか面白かった。
厚さ1cmもない本で、しかも厚手のコート紙に刷られていて、しかも見開きの片側はイラストなので、本当にあっという間に読めてしまうのだが、こういった本はさらっと読んだだけではなかなか深い部分にまで言葉が響いてこないものだ。本書を手にした人のうち、自身の営業成績を何とかしたいという人は、一度読んで終わりではなく、本書から学んだ点が実践できるようになるまで、繰り返し読み返すことをお勧めする(著者は『6回は読んでください』と言っている)。
さて、本書のタイトルは「売れまくり」の法則である。売りまくりではなく売れまくりである点がとても重要である。
著者が指摘するように、20世紀の営業マンは製品が良ければ売れたかもしれない。だが、21世紀の入り、日本にはモノが溢れ、どの製品を買ってもそこそこモノは良いという時代になった。
だからこそ、営業マンは、ごり押ししてもお客さんは嫌悪感を抱くばかりで売れるようにはならない。いかにお客さんに選ばれるようになるか、つまり「売りまくる」のではなく「売れまくる」ようになるかを突き詰めると、実は人間の根本からの実力、『人間力』を鍛えなければならない、という、なかなか奥が深い話になって行く。
マスター営業マンとヘボ営業マンの思考パターンの違いという形で対比しながら話が展開するが、象徴的なのが、ヘボ英御マンは「成功の反対は失敗だ」と考え、失敗しないように生きるのに対して、マスター営業マンは「成功の反対は平凡だ」と考え、リスクを取ってでも新しいこと、大きなことにチャレンジしていくという対比は、なかなか見事だし、実際その通りだろう。
カリスマ営業マンの説法というと、精神論、根性論のオンパレードと警戒する人もいるかもしれないが、桑原氏の導きはまさその正反対で、とても分かりやすくしかも論理的に、どのように人間力を上げていくかを導いてくれる。
あくまでも入門書的位置づけで、しかも半分とイラストなので、上級者向きの本でないことは確かだが、営業の仕事でこれから生活していこうとしている若者や、自身の成績が頭打ちになっている中堅営業マン、それにフリーで仕事をしている人なんかにも読んでもらうと勉強になる点が多いと思う。
精神力や根性論ではないと書いたが、成功するためには強い心とやりとげるための圧倒的な熱意は絶対に必要だ。そこは勘違いしてはいけない。
次の本を手に取るのが楽しみだ。
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悪習慣を変えるきっかけになるはず
カリスマですが・・・
新人セールスマン向け
この本は一体・・・
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