最近「男の健康」に関する本に興味があり、何冊か読んできているが、これもその一冊。読み始めるまで分かっていなかったのだが、著者の川嶋朗氏は、まさに男性の冷えをメイン・ターゲットにしてこの本を書いていて、僕のテーマにぴったりだった。
まず最初に一つ定義しておきたいのだが、本書で扱っているテーマは「冷え」である。所謂「冷え性」の「冷え」であって、最近話題の「低体温」と「冷え」は、類似したり重複したりする部分もあるが、まったくの同義語ではないことを理解しておく必要がある。低体温は冷えの諸症状の一つでもあり、また、冷えの原因の一つでもある。
まず男性における冷えの第一の要因として冒頭で取り上げられているのが、「メタボ」、つまり脂肪である。脂肪が多く身体に付くと、その箇所には血流がなくなるため身体の中に冷えた脂を持つことになり、これが男性の身体を冷やす要因となっている。
それ以外にも、世の男性の身体が冷える要因は山ほどある。寝不足の身体での朝シャワー、朝食を食べずに出勤、食事代わりの冷たい缶コーヒー、会社の強過ぎるエアコン、仕事のストレスによる冷や汗、そして夜は空きっ腹に流し込む冷たいビールと焼酎水割り、酔って真夜中に帰宅すると風呂も入らずそのまま布団にばったり…。
いかがだろうか、上のような生活をしている男性は少なくないのではないだろうか。一方で、著者は、男性はほとんど自分の身体が冷えていることを意識できていないとも説く。冷えは女子供だけのものと考え、冷えきった身体を暖める努力をせず、その結果心身に様々な疾病や障害を抱えるようになっているという。
医師である著者は「医学的根拠はない」と断りながらも、身体の冷えが心をも冷やすとともに、癌を始めとする重大な疾病の要因の一つとなっていると力説する。また、最近の子供がすぐにキレる要因にも、子供たちの身体と心の冷えが大きく関係していると解説している。
では、僕たちは冷えに対して何をすれば良いのか。答えは明快。暖めるのだ。まずは身体を、そしてその結果心も。
シャワーではなくきちんと湯船に漬る入浴、無理した薄着をやめて保温性の高い下着を着る、冷たい飲み物や身体を冷やす食べ物を避け、暖かい飲み物や身体を暖める食べ物を摂る、冷える箇所にカイロを貼る、靴下を2枚履く、冷える箇所をマッサージする、運動をするなど、誰にでも簡単にできる対策が示されている。
そしてもう一つ、西洋医学への過度の依存からの脱却も必要と本書では説いている。西洋医学では熱が出れば解熱剤を、打ち身には消炎鎮痛剤を処方するが、発熱や打ち身による身体の腫れは,身体が自分自身を正常な状態に戻すためのプロセスとして機能しているもので、それを薬で消してしまうことは、一時的に苦痛を緩和することにはなっても、症状の改善を逆に遅らせてしまうことになるケースもある。
僕自身、この2年で大幅に体重が減ったこともあり、冬場の寒さが身に染みるようになったため、今年の冬は防寒下着のお世話になっている。また、ゆったり湯船に漬ってから眠ることは必須の日課となっている。
ノイローゼや鬱病の人達の身体を診察すると、ほぽ全ての患者さんの身体はひんやりと冷たいのだと著者は言う。冷えきった身体を暖めることから治療をスタートすると、身体が温まっただけで症状が劇的に改善する場合もあるという。
全ての人に効果があるかは分からないが、冷えが万病のもと、というのはとても説得力があり、読んでいて頷く点が多かった。この冬は、いかに身体と心を冷やさずに乗り切れるか、いろいろ試してみようと思う。
集英社
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子育て中のおとうさんおかあさんにも読んでほしい
老若男女に読んでほしい!
簡単に実行できる方法がいっぱい!
冷すな、温めろ!
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