最初に謝っておこう。僕はこの本を読むまで津田大介氏のことを嫌っていた。それは彼の代名詞でもあるTwitter上での実況中継、別名"Tsutdaる"が鬱陶しいと感じていたからなのと、彼の容姿がどうも怪しい金髪兄ちゃんという感じだったためなのだが、今回本書を読んでその考えが間違いだったことを認識した。津田さんごめんなさい。
そもそも僕は@tsuda氏がTwitter上でTsudaっているところには遭遇したことがない。彼のことをフォローはさせてもらっているのだが、特定のリストには彼を加えていないため、光の速さで流れるTLに紛れてしまい、彼のTsudaるを認識したことはない。
僕が認識していたのは、津田氏とは全く別の人が、僕がまだTLで全てを追っていた頃に、自分に興味のないテレビ中継を延々と実況していてうんざりしたのを、「きっと津田氏が広めたせいでこういうことをする人が増えたのだろう」と思い込み、津田氏 = うざい、というひどい図式ができあがってしまっていたのだ。
だが、本書を読んでみると、津田氏のTwitterに対するアプローチがとても真摯で、しかもミッションを感じつつ活動していることに気付かせられ、自らの過ちに気付いたとい次第。
そう、本書の内容はかなり硬派である。「Twitterって楽しいね〜みんなで繋がってゆるーく楽しもうよー」というアプローチとはむしろ正反対で、何故Twitterがここまで人々の心を掴んだのか、その歴史と特徴、米国での政治に置けるTwitter活用事例、日本における政治利用と今後、Tsudaることの意義と問題点、Tiwtterの未来とその限界などが、非常に論理的かつ熱く、そしてエッジが効いた文章で書かれていて、かなりの高水準な仕上がりであった。
Twitterの持つ強力なリアルタイム性と伝播力については僕も充分認識しているつもりだったが、リアルタイム検索の強力さについては、まだあまり認識できていなかったので、非常に勉強になった。今後気になるキーワードがあった場合などには,まずはTwitterで検索してみて、人々がどのようにそのキーワードを呟いているかを確認してみたい。
巻末には勝間和代氏との対談も載っているのだが、これかまたなかなか面白い。特に面白かったのが、TweetDeckなどのクライアントでは、TL表示にその人のフォロワー数が表示できてしまうのだが、これがその人物の現在のTwitterにおける影響力を如実に表していて、シビアである、というくだりはとても興味深く、僕もTweetDeckでフォロー数表示をオンにしてしまった(そしてこれがまた実際興味深いのだ)。
Twitterは初心者にはあまりやさしいツールではない。事前知識なく始めてしまうと、「宇宙に俺独り」状態になってしまい、何が楽しいのかさっぱり分からない。だが、ある程度のネット・リテラシーがある人が何らかのきっかけを得てブレイクしてしまうと、こんなに面白く有意義なメディアは他にないと実感できる。
僕自身Twitterを始めてもうすぐ1年半だが、去年の春までは何が楽しいのか分からず放置していたため、実質の活動期間はまだ9ヶ月程度だろうが、今ではTwitterのない生活なんて考えられないほど、Twitterと深く関わり、そして楽しんでいる。
本書はノウハウ本ではないので、これを読んだからといってTwitterの操作法が分かるようになるわけではない。だが、始めてみてちょっと面白くなった人は、本書から得るものは多いのではないかと思う。
津田氏を見直した。今度彼がTsudaるところをしっかりTLで追いたいと感じた。
洋泉社
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