本書は勝間氏が大ブレイクすることになった「10倍シリーズ3部作」の3作目であり、勝間氏の著書が自己啓発本の代名詞にもなっている「勝間本」と呼ばれる完成形となったと言っても良い、総合的に非常に優れた作品である。
10倍シリーズについては前2作についてもレビューを書いているので以下にリンクしておこう。
・無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法 by 勝間和代
個人的には本書は勝間氏の著作の中でベスト3に入る優れたものと感じている。氏の全ての作品を読んだ訳ではないが、「やればできる」と「お金は銀行に預けるな」、そしてこの「効率が10倍アップする新・知的生産術 — 自分をグーグル化する方法 —」が僕の中ではベスト3だ。
もう3年近く前に出された本で、その後勝間氏は本書に書いたことと類似した主張を繰り返しているので、今となっては新鮮さは失われつつあるが、この本が出た当時には、相当の衝撃があったであろうことは容易に想像できる。
何が素晴らしいかをまとめると、以下の3点に集約されるのではないだろうか。
・学習や読書、コンピュータによる効率化などだけではなく、食事、睡眠、運動といった普段なかなか意識的に取り組みにくい事項も含め、人間の生活全てを網羅して効率化・最適化させようと提案している点
・ネットやガジェットなどのデジタル機器を最大限活用しつつも、書籍や自転車などのアナログ機器・情報も最大限取り込むことで、人間にしかできない形での効率化・最適化を提示しており、中心がデバイスや情報ではなく、あくまでも人間である点
・本を読んだだけではスタートを切りにくい人達向けに、最終章に具体的なスタート方法が示されていたり、参考になると著者が考える資料情報が大量に含まれるなど、作りが親切である点
といったところだろうか。
「効率を10倍にする」というタイトル自体は刺激的だが、一つ一つの提案はごく当たり前のことも多く、だがその当たり前のことが現実にはなかなか実践できていないことに、本書によって改めて気付かせられる。例えば「煙草を吸うな」「テレビをぼんやり見るな」といった事柄は、頭では分かっていても、実行できていない人も多いのではないだろうか。
また、彼女の本がどうしてここまでブレイクしたのかというと、彼女が大きな全体像をブレイクダウンして細分化し、それを整理する「フレームワーク力」が高いからなのだということも、本書でいやというほど実感させられた。これについては彼女自身が本書内でも「自分の一番得意な分野」と書いている。
他の人が書いた自己啓発本と同じようなことが書いてあるのに、何故か勝間氏が書くとすごく魅力的に感じたり、実行に移せそうに思えるのは、彼女の切り口と項目建てが斬新で魅力的なためで、これこそがフレームワーク力なのだと感心した。
本書に書いてあることをいきなり全て実行すると、おそらく全てが三日坊主になってしまうと思うが、まずは出来ることから取り組み始め、徐々に自分自身の生活と人生のチューンアップを目指してはどうだろうか。
ダイヤモンド社
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むしろおっさんなんじゃないかと。。。思うくらいオトコらしい。
どのように情報を扱うかがわからない人にはよい本だなと感じました
フレームワーク力
著者の効率良い生活スタイルの紹介
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