茂木健一郎氏はテレビへの露出が強い方のようだが僕はテレビを見ないのでこの人のことは、「テレビに出てる脳科学者の人」ぐらいき知識しかなかった。
本書は能に関する専門家としての立場から、生活すなわち人生をどのように豊かに実りあるものにしていくかという観点から書かれている自己啓発書である。
読み始めてすぐに、何だか読みにくいぞ、と感じたのだが、やがて理由が分かる。脱線が多く、しかもその脱線が著者の自伝的エッセイになっていて、本題から微妙に外れそうで外れない、すれすれのところまで行っては戻ってくる、という形を繰り返しているのだ。
もちろん著者は意図的にそのように構成しているのだ。ならばということで、読み方を自己啓発書的読書からエッセイ的読書に変えたところ、楽しく読めるようになった。目的的に読むと混乱する読書も、楽しみとして読めば不安も不満も出てこないケースというのがある。
そしてもう一つ感じたのが、本書は「脳」が全てのキーワードになってはいるものの、実はそのキーワードを取り除いてしまうと、巷に溢れている自己啓発書が言っていることとほとんど同じことを繰り返しているに過ぎず、期待していたほどは新しい発見がない。
例えばセレンディピティについては勝間和代氏の著書に詳しいし、セルフ・ブランディングで「個人のGoogle時価総額」を上げることについても、つい先日佐々木俊尚氏の著書で読んだばかりだ。
あと難を感じたのは、本書で述べられている脳の働きのうち、どこまでが科学的に立証されていることで、どこからが著者の想像で書かれていることなのかが素人には判断できないという点がある。著者は専門家だから区別できているのだろうが、一般人にはその区別がつかず、若干混乱することになった。
もちろん全体を通して楽しめるし寄り道ついでに語られる著者の個性が濃くて興味深くはあるが、どうも「脳」というキーワードに無理やり結びつけて語っているように感じられなくもない。
というわけで、自己啓発書として読むには、それぞれの項目に対しての深堀も少なく洞察も軽いので消化不良となるように感じた。著者のエッセイ&自伝として読むと、著者に興味がある人は楽しく知識を得られて良いのではないだろうか。
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茂木 健一郎
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「健やかに生きるための考え方、生き方」を、脳科学者の視点で語った一冊
脳に良い刺激になるのでは。。 脳の活用法3部作 前向きな気持ちになれた どことなく既読感あり、でもすぐに忘れてしまいそう |
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