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勝間和代さんの新刊「「有名人になる」ということ」を読んで

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勝間和代さんの新刊が出た。タイトルは「「有名人になる」ということ」。

今まで多くのビジネス書が「パーソナル・ブランディング」について語ってきた。

でも、ブランディングが成功した結果がどうなるのかについて書いた本というのはこれまで存在しなかったように思う。

 

 

一部の芸能人の独白とか、プロダクション関係者の暴露本などはあったが、それらは特定の個人や団体にフォーカスしていて、汎用的ではない。

この「「有名人になる」ということ」は、勝間さんがこの5年間に経験したことを分かりやすく解説したうえで、そのメリットとデメリットを分析し、有名人になる方法や「おわコン(終わったコンテンツ)」現象の回避方法などが明示されている稀有な本だ。

 

 

「有名人になる」ということ (ディスカヴァー携書)

勝間 和代 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2012-04-28
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by ヨメレバ

 

 

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「有名人プロジェクト」

本書はとにかく興味深く、かじりつくようにあっという間に読了した。

何故そんなに面白く感じたか。

それは、僕自身が勝間さんの後を追うように、「有名人プロジェクト」を推進している最中だからだ。

 

 

勝間さんはもともとは投資顧問業をするつもりで会社を立ち上げたのだか、その直後にリーマンショックに襲われ、大口顧客を失った。

そして自身のブランディングのためと、いざというとき自分と家族ぐらいが食べられるようにと思って書いていた本があった。

社員もいる状況のなか、個人の書籍の印税と講演程度では、とても会社を維持することはできないと判断した。

 

 

ここから、勝間さんの「有名人プロジェクト」がスタートしたという。

勝間さんはたまたま有名人になったのではない。

自身のプロジェクトとして、会社の存亡を賭けて、計画的に「有名人になった」のだ。

 

 

一方の僕は、5年前には情報発信する手段すら持たず、ただの無名サラリーマンだった。

それが今では多いときは月間160万PVもの方が読みに来てくれるブログの中の人になった。

そして今月にはデビュー書籍も出せることになった。

セミナーを開催すれば、100人もの方が毎回話しを聞きに集まってくれる。

そしてこれらの僕の活動も、すべて計画的に行なってきたものだ。

 

 

勝間さんが「有名人」を「地上波のキー局テレビ番組にコンスタントに出ている人」と定義しているのに対して、僕のプロジェクトは、勝間さんが5年前に当たり前のように立っていた「本を出して自分ブランドを売っていく」という位置に努力してやっと到達しているにすぎないわけだが、「売れるようになりたい」と明確に思い活動してきた結果がここにある。

 

 

書籍が売れるかどうかは分からないし、今後どうなっていくかは分からないが、ここまでは狙ってやってきた。

今のところ地上波キー局の番組にコンスタントに出られる可能性もないし、その方向性でのコンテンツ化はあまり考えていないので、スケールはぐっと小さいのだが(苦笑)。

 

 

ライフスタイルのコンテンツ化のゴールとは?

芸能人ではなく、文化人的アプローチから「有名人」になる。

それは、「ライフスタイルのコンテンツ化」なのだと僕は考えている。

「あの人のように生きたい」「あの人に憧れる」

そう思ってもらえて初めて、文化人は「有名人」になるのではないだろうか。

 

 

もともと勝間さんが大ブームになったのも、3人の子供を抱えるシングルマザーでありつつも、完全に自立して自分のやりたいことをやり、人前で講演しどんどんヒット作を出し、という、勝間さんの生き様自体が多くの女性に支持された結果だろう。

勝間さんのような大ブームにはならずとも、本田直之さんや小山龍介さんなどのヒットメーカーも、彼らのライフスタイル自体が魅力的で、生き様がそのままコンテンツになっているからなのだと僕は認識している。

 

 

今回この本を読んで、意図的に作られた芸能人ではなく、文化人が自分自身をコンテンツ化するという行為の難しさを改めて感じた。

いや、言葉が足りていない。コンテンツ化することも難しいのだが、もっと難しいのは、自分自身をコンテンツ化してそれが大ブームになってしまうと、その以降は自身のブランドを自分でもコントロールできないという事実に、今さらながら恐怖したといった方がいいだろうか。

 

 

勝間さんは有名人になることのデメリットを「衆人監視の中で生きること」と「見知らぬ人たちから批判され攻撃されることを「日常」と考えなければいけないこと」と書いている。

勝間さんの悪口を言う人に会ったことが何度かあるが、勝間さんを悪く言っている人は、ほぼ100%勝間さんの本を読んでいない。

「何となく生意気だ」とか「口うるさい」とかという、ひどく曖昧な理由で文句を言っている人が多いのだ。

 

 

だが、ビジネス書を熱心に読みその内容を理解しようと努力する人間の数よりも、地上波テレビでお笑い芸人の軽薄なコメントを観て笑っている人の方が2桁くらい多いのが現実だろう。

そうなると、地上波のバラエティー番組などに出て自身の知名度を上げても、発言機会がごく限定される番組で自分のもともと持つ主張ができないのであれば、知名度の上昇と反比例してブランドイメージは低下してしまうこともある。

もちろんそれらデメリットを上回るメリットも存在するわけだが、この「自分ではまったくコントロールができない」状態というのが、何とも気持ちが悪く恐ろしく感じられるものだ。

 

 

ブームは終わる

勝間さんは、有名人のブームは持っても1〜2年と書いている。

勝間さんは思うところあって意図的に地上波テレビへの露出を減らしたところ、てきめんに「勝間和代はもう終わった」と言われるようになったという。

 

 

ブームが去ると、それら元有名人は「終わコン」(終わったコンテンツ)と呼ばれるのだという。

そして、1番恐ろしいことは、一度有名人になった人は、「元有名人」になることはできても、「無名の人」には決して戻れないという事実だ。

有名人になるということは、後戻りできないプロジェクトなのだ。

 

 

この本には、どうやったら有名人になれるかが具体的ステップで分かりやすく書かれているが、この「後戻りできない」一方通行の道であるということは、くれぐれもきっちり認識してから進むべきだろう。

覚悟が必要だ。

 

 

それでも有名人を目指す理由

どちらかというと有名人になることのリスクばかりを捉えてしまいがちだが、もちろんメリットも大きい。

最大のメリットは「人脈のひろがりによるチャンスのひろがり」と勝間さんは書いている。

そしてもう一つのメリットは「発言力がつき、やろうと思ったこと、考えたこと、目指すことができやすくなる」ことだ。

 

 

自分自身に目指す世界観があり、その実現に社会的使命を持つならば、この二つのメリットが持つ威力は大きい。

逆に、個人的な見栄や自尊心だけで有名人を目指すならば、ひょっとすると一時的高揚感は得られたとしても、メリットよりもデメリットが上回るのではないだろうか。

 

 

いずれにしても逆戻りできない道であることを勝間さんは明確に示してくれた。

進むと決めたなら、本書を熟読して最大効率で「有名人になる」プロジェクトを推進していただきたい。

 

 

まとめ

こんなに書評を書くのに苦しむことは滅多にないというほど今回の書評は書きにくかった。

なぜそんなに書きにくかったかというと、僕がこの本を客観的に読めなかったからだと思う。

まだ「有名人」にもなっていないのに、自分のことに置き換えようという意識が働いてしまうのだ。

 

 

ブログのアクセスがどんどん増え出版も控え、雑誌にも記事が載るようになってきた。

僕は「有名人になろう」とは思っていなかったが、「自分ブランドで勝負できる人間になりたい」と思っていた。

だから、テレビに出るチャンスがあれば出たいと思っていたし、それは良いことだと考えていた。

 

 

だが、もちろん人生はそこで終わりではない。

僕のようなキャラクターに大きなブームはこないと思っているが、メディアへの露出を強める戦略を採れば、可能性はゼロではない。

だからこそこの本はやたらとリアルだったし、怖いとも思った。

 

 

大ブームを起こした勝間さんだからこそ書ける一冊。

まさに究極のパーソナル・ブランディング本といえるだろう。

「いつかビッグに」「有名になりたい!」と思っているあなたは、是非一読を。

強烈なインパクトを持つ一冊。オススメ!

 

 

「有名人になる」ということ (ディスカヴァー携書)

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