エッセイライフハック

人生を劇的に変えるとは、ニュートラルのレベルをコツコツ上げていくこと

エッセイ
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人間には好不調の波がある。元気な日もあれば、どうしてもやる気がでない日もある。

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何か大きな決断をして、人生を劇的に変えようとする。

その決意は素晴らしい。

でも、人生を劇的に変えるということは、「ずっと変え続けなければならない」ことを意味する。

終わりがないのだ。終点はない。敢えて言うなら、人生が終わる時が終点だろうか。

 

 

ダイエットに例えれば、「体重を10kg落とす」ことを目標にすると、目標を達成したあとリバウンドする確率が高くなる。

何故なら、一度でも目標体重に到達すれば、それで「終わり」になってしまうからだ。

でも、僕たちが目指すべきは、「体重を10kg落とし、落ちた状態をキープすること」であるはずだ。

体重が落ちてスリムな身体を手に入れたら、一生ずっとスリムなままでいたい。誰でもそう思うだろう。

そして、キープするという目標には、終わりがないのだ。

減量している間だけ食事を減らして運動するのではなく、減量期間が終わったあとも、ずっと食事に気を遣い運動を続ける人でありつづける必要がある。

この違いは、実はとても大きい。

 

 

大きなチャレンジをする時に、僕らのモチベーションはとても高くなる。

「絶対に東大に合格するぞ!」「難関資格をゲットするぞ!」と気合いを入れて、全ての照準を一点に絞り、突破を目論む。

そのこと自体は悪いことではない。

だが、目標を突破すること一点に目標を絞ると、突破した後に燃え尽きることが多くなる。

せっかく目標を突破して希望の大学に入ったのに、入学後は遊んでばかりで全然勉強しませんでした、ということは、実に良くある話。

 

 

チャレンジをする時に、モチベーション高く、ポジティブな思考であることは悪いことではない。ネガティブよりはずっと良い。

でも、終わりがないチャレンジを続けていく時には、本来の自分以上にポジティブであろうとすることは、時として息切れを招き、疲れてしまう原因ともなる。

無理があるのだ。

では、どうしたらいいのか。

 

 

僕は、ニュートラルな状態のレベルを上げていくことが一番の近道なのだと思っている。

あまりにも高過ぎる目標を掲げて1ヵ月で疲れ果てるのではなく、ちょっとずつ、ちょっとずつ自分のレベルを上げていく。

村上春樹さんが以前エッセイに書かれていたが、彼も、日々原稿を書く時間をちょっとずつ長くしていくという活動をしているそうだ。

一気に生活を変えようとしても、身体は付いてこない。

だから、身体が気づかない程度、ちょっとずつちょっとずつ、仕事の水準を上げていく。ハードルを高くしていく。

それが、ニュートラルのレベルを上げることだと僕は思っている。

 

 

では、ニュートラルのレベルを上げるには、どうしたらいいのか。

僕は、平均点を上げていくことだと思っている。

すごく頑張れた時には、最高スコアが出るだろう。

でも、時にはダメダメな日もあって、どうにもならないこともある。

 

 

早寝早起きを例にする。頑張って5日連続で5時起きできたけれど、週末の2日はどっと疲れが出て昼まで寝倒したとする。

その週は5時起きが5日、そして12時起きが2日だ。これを7日の平均にすると、7時起床という計算になる。

この平均値の7時起床を、翌週はちょっとでも上回れるようにするのだ。

平均が7時ということは、無理に5時に起きなくても、平日を6時起きにして休日2日を9時起きにしても、平均は6時51分となり、改善したことになる。

「たかが9分じゃないか」と思う人もいるかもしれない。

だが、それが現実なのだ。人間はそんなに短期には変われない。

それでも、毎週9分を3ヵ月間改善し続ければ、約二時間の改善となるのだ。

7時に起きていた人が5時起きになれば、それは劇的な改善と言っても良いのではないだろうか。

 

 

以前はさまざまな自分に関する平均値を出すのは大変だった。いちいち計算しなければならないし、記録を残すためにはエクセルなどに記録する必要があった。

でも今は、iPhoneに膨大な数のライフログ系アプリが出ていて、簡単にデータを記録し、そして集計してくれる。

10年前には、とてもじゃないが面倒で出来なかったことが、今はとても簡単にできるようになっている。

だからこそ、平均値を算出し、その平均値がちょっとでも上がっていくように、見返して欲しいのだ。

 

 

僕たちは欲張りなので、頑張ったらすぐに成果が出ないとガッカリしてしまう。

成果は必ず出る。でも、僕たちが期待するよりワンテンポ遅れてやってくるのが成果なのだ。

必要以上にポジティブに明るく無理をし続けると、しんどくなる。

それよりは、自然体のレベルが上がっていくように、ほんのちょっとずつ、進化を目指していこう。

平熱は急には上げられないが、コツコツと運動をして生活スタイルを改善することにより、平熱を上げることができる。

実際僕は3年前は平熱が35.5度前後だったが、今は36.7度前後まで上がってきた。

人生を劇的に変えるとは、平熱を3年かかって1度上げることに似ていないだろうか。

ニュートラルのレベルが上がる感覚が掴めると、とても楽に進化に取り組めるようになると思う。

コツコツ頑張ろう。

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