今週のミュージックレビューは満を持してジミ・ヘンドリクスの"ライブ・アット・モンタレー"を紹介しよう。
音楽好きなら若い人でも「"ジミヘン"というスーパースターが昔いたらしい」ぐらいは知っていると思うし、僕らと同年代やそれ以上の人にとっては釈迦に説法だろうが、まずはジミヘンとは何者かを簡単に説明しておこう。
Jimiは1942年生まれのアメリカ人だが、デビューはイギリスからであり、1966年のデビュー当時に彼のライブを聴いたEric CraptonやJeff Beckは、Jimiのあまりのギターテクニックに廃業を考えたほどで、ライヴには長蛇の列ができるようになった。
そんなJimi Hendrixは母国アメリカでは無名の存在だったが、1967年にアメリカはカリフォルニア州モンタレーで開催された野外フェスティバル、"Monterey Pop Festival"に出演し、圧倒的なパフォーマンスで聴衆の度肝を抜き、同じくこのフェスティバルで大ブレイクしたJanis Joplinと並んで、一躍スーパースターに座にのし上がった。
Jimiはその後1970年にわずか27歳で謎の死をとげ、まさに伝説となったわけだが、今回紹介する"Live at Monterey"は、上述したMonterey Pop Festivalの彼の衝撃のライヴを収めたもので、CDだけではなく映像も残っており、DVDでも発売されている。
言葉で語るよりも、まずはこちらの映像を見てもらえば、僕が言いたいことは、全て伝わるのではないだろうか。
いかがだろうか、これはライブ最後の曲、"Wild Thing"である。圧巻なのは、演奏のクォリティーだけではなく、曲の終盤で彼がギターを燃やし破壊するパフォーマンスで、67年当時この映像はあまりにも衝撃的で、日本でも「ジミヘンはすげー」という伝説になっている要因の一つだろう。
ちなみに、アメリカでのロックフェスとして、1969年のウッドストックが非常に有名で、こちらのフェスにもジミヘンは参加してはいるのだが、このギター燃やしパフォーマンスはモンタレーでの出来事である。
このギター燃やしパフォーマンスには伏線があって面白いので紹介しよう。当日彼の出番の前の前がThe Who"の担当であった。The Whoも大暴れで有名なバンドだったが、最後の曲"My Generation"で、ギターやドラムをめちゃくちゃに破壊するパフォーマンスを見せて聴衆の度肝を抜いた。
当時アメリカではまだ無名で、ブレイクを狙っていたJimiは、何とかしてThe Whoのインパクトを上回るショッキングなイベントをと考え、ステージ上でギターに火をつけるパフォーマンスを思い付いたという。なかなか策士な一面である。
せっかくなのでThe WhoのMy Generationの映像も貼っておこう(笑)。
この時The Whoが大暴れしなかったら、ひょっとしてジミヘンのギター燃やしはなかったかもしれない?そう思うとWhoの大暴れが歴史を変えたのかも知れない。
それにしてもこのライブのJimiのパフォーマンスはすごい。ファイナルのWild Thingだけではなく、全編を通して抜群のクォリティーで、これは40年以上を経た今もまったく色褪せない。まさに20世紀のスーパースターだ。