数年前に手持ちのミシンが壊れて処分して以来、ずっとミシンのない生活をしていたのですが、
あ、「えーっ ミシンて、アナタ裁縫なんかすんの!?」って思った人いるでしょ。
しますってば、ちょっとだけど。
洋服ガンガン縫ったりするわけではないけれど、ちょっとしたことでミシンがあればなーと思う事がしばしばあり、時には実家の母に借りたりしていたのだけど、やっぱり自分のミシンが欲しくなった今日この頃。
かといって、たまに使うぐらいであまり値の張る物を買うのもちょっと。適当な中古があればいいんじゃないかと、とりあえずヤフオクで探し始めてしまったらハマりました!
色々なサイトをあたって調べているうちに、色々なことを知りました。
私にとって興味深かったのは、
・昔のミシンは高価だった。高価ということは良質で頑丈な部品を使い、精度高く作られているということ。
・昔のミシンは重かった。重いということも同様に、良質で頑丈な部品をふんだんに使っていたということ。そしてその重さがあるからこそ、モーター動作の振動を良い具合に安定させているということ。
・現代の安価なミシンはコスト第一のため、部品がチャチで、すぐ壊れ、軽い分だけ振動が激しく、性能も劣るということ。
・現代のミシンは、全般的にハイテクで様々な機能がこれでもかと付いていて一見目を惹くが,機械としての基本的な性能に疑問な物もあるらしいこと。
・つまり、現行の安いミシンを買うよりは、昔の高価なミシンを中古で買ったり直したりして使う方が良い選択であること。
・そのような観点で見た場合、日本のメーカーでは昔のジャノメがなんといっても最高であるらしいこと。
・・・というようなことを、複数のミシン修理技術者の方やミシンマニア(いるんですねー)の方のサイトで読み、私は至極納得したのでした。その考え、私も好きだ!
ミシン修理屋さんのサイト「昔のミシンを直して使いましょう」
ミシンを愛するミシン屋さん「しもだミシン」さんのサイト・ジャノメミシンについて
余談ですが、そのへん、考えてみれば日本のピアノ製造についても同じようなことが言われてますねー。「今のピアノは安く作ることばかり考えてるから材質が全然ダメ。」って調律師の方が良く言ってます。
さて、ジャノメのメーカーサイトに「ミシンの歴史資料館」というページがあります。ここに、ジャノメの代表的な機種の変遷が乗っています。
実際画像を色々見ると、昭和のジャノメはデザインがなんだかカッコイイ!もちろん機械そのものにも並々ならぬ情熱が注ぎ込まれていたようで、まさに昭和の物づくりスピリットが匂い立つかのようです。
そんなわけで、単なるミシン選びのはずが、すっかり楽しい未知の世界探検になってしまったので、その一部をご紹介しようと思います。少々マニアックになりますが、興味があればおつきあい下さい。
まずは、現在でも中古市場で人気を誇るという、1983年発売「メモリークラフト6000」というもの。
カクカクとした形と、なんとなく威圧感のある気合いの入った前面パネルがいかにも80年代って感じでよいです。このミシンは内部の構造が贅沢ですばらしいらしく、現在でも「ミシン屋さんも自分用に欲しがる名機」なんだそうです。
これの前身の「メモリア(5001後に 5002)」というのは日本初のコンピュータミシン。
それまでは機械式ミシンといって、針や送り歯の動きを、ダイヤルを回すなどして手動で調節していたのですが、メモリアになってそれをコンピューターで制御するようになったので、刺繍縫いや文字縫いなどの複雑な事もボタン1つでできるようになったという、いわゆるエポックメイキングな一台なんですね。
もちろん,内部の部品もこだわりまくった贅沢品なんだそうです。それは実際に分解して触る人だからこそ実感すること・・・そんなミシンマニアの方のブログ「男のミシン」がなかなか面白く、つい読みふけってしまいましたのでご紹介します。
「機械式からコンピュータ式へ」っていうのは、いわばマニュアル車からオートマ車になったような感じでしょうか?
音楽の世界で言えば、アナログシンセサイザー全盛だった70年代から、80年代になって初のフルデジタルシンセサイザー、「ヤマハ DX7」が発売されて一斉を風靡したことを思い出します。DX7が83年発売ということを知ると、奇しくもメモリークラフト6000の83年発売というのと、リンクする時代性を感じますね。
さて、私にとって魅力的な年代はここまで。それ以前にちょっと戻りましょう。
〜〜昭和のジャノメのかわいい形を色々〜〜
■320型 はブログ「男のミシン」へリンク。
■365型
■560型
■672型
■802型
現代のミシンは、もちろん物にもよりますが、だいたい全体真っ白でソフトな曲線ライン、赤やピンクに塗られたボタンやダイヤル、エレンガントな筆記体の文字が踊るような、いかにも「奥サマ」受け狙いなデザインも多く、機械として惹かれるような佇まいはあまりありません。
しかしどうでしょうか、この昔のミシン達。
「縫います!仕事します!以上!」みたいな質実剛健な潔さがいいじゃありませんか。
しかも中身は、調整さえすれば今も現役でバリバリ働ける上等なメカだっていうのなら、ますます魅力的です。
「道具なんて便利なら何でもいいじゃんか」っていう考えもあるでしょうが、私はやっぱり、本質をきっちり押さえた姿勢やその物の持つ佇まいに惚れて手に入れたい方なので、「ぜひ今回は中古のジャノメを」と心に決めたのでした。
実際、ヤフーオークションにはしばしば中古で色々出てきているので,状態をよく検討すれば選択肢はわりとあるようです。
私の場合、色々言ってても実はヘヴィーユーザーでも洋裁上級者でもないので、そんなに華麗な機能はいらないのです。コンピュータ式のメモリアやメモリークラフトも良さそうだけど、たぶん刺繍も文字縫いもしないし、今までも機械式でずっと慣れていたから別にコンピュータ式じゃなくてもいいなと思う。しかし、ミシン扱いの上級者でもないので、あまり古すぎても使いこなせないと思う・・・。
それで気になってきたのがこれです。「エクセル813」。
メモリアが出る少し前の1976年発売、「機械式ミシンの最高機種」と言われたものです。このシンプルで硬派な外観と緑に光るパネルがいい感じ。
メカに関してもマニア関係者の皆さんの評判も良いようです。ぜひ、これがうまく手に入ればと願う次第。
もちろん古い物ですから、修理や調整が必要になるリスクも覚悟しなければなりませんが、それを承知で、だけど惹かれてしまう昭和ミシン・・・。
ほんとは早くミシンが欲しかったのだけど、何か知らんがここまで入り込んでしまったので、どれになるかわかりませんが、焦らず機会を狙って良さそうなものを手に入れたいと思います。
付け足しですが、ブログ「男のミシン」のKSKさんによる、色々なミシンの動作音を画像付きで載せたエントリーがあるので興味ある方はどうぞ。
「いや〜マニアって!」と驚嘆しつつ、結構面白かったです。
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