[review] こんにちはアン

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こんにちはアン〈上〉 (新潮文庫)
バッジ ウィルソン
新潮社
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世界的に有名な、モンゴメリ作「赤毛のアン」は、孤児院を出たアンがグリーンゲイブルスに到着するところから物語が始まりますが、本作はモンゴメリから100年の後、現代の作家であるバッジ・ウィルソンが、それ以前のアンの幼少時代(生まれる前から孤児院を出るところまで)を描いた作品です。英語原題はずばり Before Green Gables。

つまり、「赤毛のアン」の中で折々ちりばめられたアンの幼少期の生い立ちや思い出話の断片を忠実に拾って、詳細に膨らませて一遍の小説にしてしまったのです。

「赤毛のアン」ではアンの思い出話から「みなしごで苦労の多かった子供」ということが知れるわけですが、この「こんにちはアン」ではその「苦労」の壮絶な中身が詳細に語られることとなります。

それはそれは壮絶でかわいそうで、ちょっと「おしん」みたい・・・。

でもその中で、後のアンが持っているすばらしい感受性や知性や希望がこうして育まれていたんだな、と納得できるものになっています。

バッジ・ウィルソンさんは、アンと同じくカナダ・ノヴァスコシア出身。その思い入れには特別なものがあったのでしょう。いかにも他人の後付けといった感じは全然なくて、モンゴメリの世界と違和感なく地続きになってしまうような、綿密かつ忠実な作話ぶりで、この後すぐに本家「アン」を読んでも違和感がありません。原作への敬意と愛情あふれる労作だと思います。

 

ちなみに今春、BSフジ「世界名作劇場」でアニメ化されます。

音楽は私ではありません。お話を頂いたのですがコンペで落ちました(爆)。

でもそれがきっかけで出会った本。おすすめですよ!

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このページは、そのらが2009年2月24日 16:10に書いたブログ記事です。

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