著者の高木氏は、合唱団指揮者〜オーケストラ指揮者を経験した後、NPO法人「ネットワーク地球村」を立ち上げて、現在はその活動に邁進しておられる方とのことです。
タイトルだけ見ると、音楽の専門家向けの本のようですが、全然違いました!
指揮者が指揮台に立った時、そもそもまず楽団員が楽器を構えるか、音楽が始まるのか、そこが第一の関門・・・・なのだとか。
ええっ!?それってどういうこと!?
・・・そんな話から始まります。
つまりそれは「指示や命令、依願で人は動かない」という話であり、そこから、オーケストラ指揮のエピソードを通じて、音楽の現場を超えて全ての人にとって関わりのある、人間関係やマネジメント、生き方のスタンス、本当の幸せとは何か・・・まで語られてゆくのです。
しかし、最初から著者がそのようなことをわかっていたわけではありません。そこに至るにあたり、壮絶な「転機」があったことが後半語られます。
「勝つための指揮者」としてなりふり構わぬ必死な頑張りをしていた頃、交通事故で瀕死の重傷を負い、半年間身動きもできず寝たきりになるという試練がやってきたのです。
指揮やピアノ復帰などありえない、せめて車椅子に乗れるようになったらラッキー、というほどのダメージを受けて、ベッドの上で来る日も来る日も自問自答の日々を送ります。
その中で、これまでの生き方の根本的な誤りに気づき、人生の本当の意味と自分の使命を知る・・・。それは180度転換というには余りある、もうこれは「悟り」なんじゃないかと私は思いました。
事故という最悪の試練を、ここまで人生の大転換の機会とすることができた著者の人間力・精神力に、思わず唸ってしまいます。
その大きな気づきを得てから後、順調な回復ぶりを示し、とうとう指揮者として復帰できるまでになりました。
それからは、自分の内からあふれるエネルギーに突き動かされるように、音楽という枠を超えて、もっとグローバルな活動に邁進されるようになったとのこと。
本書後半は、そんな著者が体で知った、世界と人間の様々な「法則」が書かれています。
音楽関係者にとっては、「音楽って本当は何だったのか?自分達は何をやってきたのか?」を問い直す機会になるでしょうし、それほど音楽に縁のない方にとっても日頃の自分を振り返り、また改善へと向かってゆける示唆に富んでいる本だと思います。
それにしても言い方は悪いけど「いっぺん死んだ人」はすごい!!
私の友人にもそのような人がいます。やっぱり生き方も性格もガラッと変わってます。そして強いです。幸せそうです。
逆に言えば、死の淵まで行かないとなかなかわからない、ってこと・・・。それほど私達は日頃色んなものに翻弄されて、曇った目で右往左往しているのだろうなあ。
何もかも、一旦捨てる勇気が湧いた時に
人間は一つ成長している気がします。
僕も何度かそんな経験がありますが、
いまだに何一つまともなものが無いのが
偉人と凡人の違いでしょうか?
>指揮者が指揮台に立った時、そもそもまず楽団員が
>楽器を構えるか、音楽が始まるのか、そこが第一の関門・・・・
深いですねぇ・・・・
読む限り、指揮者というのは相当大変な仕事のようです。やっぱりある種の「偉人」かもしれないなーと思います。
まあ、私達はそれぞれにそれなりのペースで成長すればいいですよね!?