アルリンド・クルス「完璧なサンビスタ」
ブラジル、サンバのアーティストです。
よくわからないけど偶然みつけて勘で買ったアルバム・・・が大当たりで、また1つ私の中で名盤となりました。
1曲目の「Meu Lugar」(マドゥレイラこそ俺の居場所)が始まったとたんに、清澄な空気と光に満ちた幸せな世界が広がります。
「俺の居場所は、鉄の神オグンと嵐の女神イアンサンの道。あそこには朝までサンバがあり、どこにもサンバの揺れがある。
俺の居場所は、闘いと汗、より良い世界への希望に満ち、祝杯のビールに囲まれたところ。
俺の居場所は、あまたの伝説と光の存在があり、オズワルド・クルースやカスカドゥーア、ヴァス・ロボ、イラジャーもすぐそば。
俺の居場所は、微笑み、平和と喜びの地、口にする、その名からして甘美な、マドゥレイラ」 〜ライナーノーツより引用
この、「マドゥレイラ〜〜」と入ってくるところでいきなり視界がバーンと開けるような広がりが感動的。それから後半変遷してさらに世界が美しく広がって行くすばらしい出来の曲だと思います。
そんな一曲目を筆頭に、次から次へとメロディーが比類なく美しい曲ばかり。
サンバはサビをみんなで合唱するところが良さの1つだと思いますが、まさに合唱するにふさわしいシンプルかつ魅力的なメロディーで、覚えて一緒に歌ってみるとその流れにますます引き込まれてしまいます。
派手でもなく、熱くもなく、がんばってない、とんがってない、訴えてない。
でもべつに「癒し」でもない、夢や理想でもない。
力の抜けた、一言で言って「幸せな音楽」。
それも何か特別な幸せじゃなくて、「普通の日常が幸せなのっていいなー」っていう感じでしょうか。
私はブラジルのことに詳しくないけれど、きっとマドゥレイラっていうのは自然に恵まれて空気がきれいな土地なんだろうなー、とか、きっとこの人は地域のコミュニティーや家族に恵まれて、働いてしゃべって笑って泣いて怒って、普通に日々の生活を味わう、それでいいんじゃない? って感じなんだろうなー、とか思うのです。
うん、それでいいんじゃないかなー。
ほっとしたい時、キレイな気持ちになりたい時におすすめ。