世の中には数多くのiPhoneアプリ開発者向けの本がある。
僕自身は開発者ではないが、開発者向けの書籍がどんどん出版されていることは知っている。
だが、本書「iPhoneアプリで稼ごう」は、今までのどの開発本とも違う、新たな切り口の本である。
そう、本書はiPhoneアプリ開発をビジネスとして捉え、いかにマネタイズするかに特化した本なのだ。
著者丸山弘詩様よりご献本いただきました。誠にありがとうございました。
iPhoneアプリで稼ごう
丸山弘詩 毎日コミュニケーションズ 2011-07-30
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ランキング入りしないアプリは存在しないのと同じ
iPhone 3Gが発売され日本でもApp Storeがオープンしたのが3年前のこと。
あの頃iPhoneアプリ開発の世界は、小さな村みたいなところで、開発者もブロガーも人数が少なかったので、だいたいお互いの名前と顔が一致した。
だが、今やiPhoneアプリ開発は爆発的に規模が拡大し、多くの大手企業も参入する、まさにレッドオーシャンとなった。
iPhoneという小さなデバイスで動作するアプリは、単機能でシンプルなものが好まれる傾向にある。
そのため、個人の開発者でも良い製品を投入すれば一獲千金のチャンスがあるとされてきた。
だが、今やApp Storeで販売されるアプリは数十万に及ぶ。
そのため、新作アプリが発売されても、App Storeのランキング上位に入れることは至難の業となりつつある。
そして、一般のユーザーから見て、ランキングにいないアプリは存在しないのと同じ。
これからのiPhoneアプリ開発者は、ただアプリを作るのではなく、どうやって稼ぐかを、真剣に考えなければならなくなったのだ。
どうやって稼ぐのか
本書は開発者向けに作られているが、ソースコードは一行も出てこない。
代わりに本書では、開発者が実際にiPhoneアプリで稼ぐために必要で、しかも今まで誰もカバーしてこのなかった大事なことが網羅されている。
たとえば企画書の書き方、Appleの審査でリジェクトされないポイント、App Storeのレビューが荒れた時の対策など、
その中でもっとも大切なことは、マネタイズの方法だ。
iPhoneアプリを個人で開発するのか、企業から受託して行うのか。
アプリを有料で販売するのか。無料で配布して、アプリ内課金を行うのか。
2011年、市場が成熟しつつあるなかで、iPhoneアプリ開発者がきっちり稼ぐためのノウハウがぎっしり詰まっている。
第一人者インタビューの凄み
本書には、アプリ開発者8名、そして業界関係者2名の10名ものインタビューが収録されている。
このインタビューの迫力が素晴らしい。
まさに第一人者の深津氏、金田氏、浅田氏をはじめ、第一線で活躍する人達の、リアルな声が新鮮だ。
売れているアプリ開発者はアプリにどのような想いを込めているのか。
売れる、つまり人気のあるアプリには、どのような特徴があるのか。
開発者たちのもつこだわりとは、何なのか。
普段滅多に触れることができない、売上本数の推移グラフや金額などのデータまで開陳されており、まさに「億単位」という言葉の持つ重みを感じることができる。
まとめ
当たり前のことだが、iPhoneアプリ開発は、ビジネスである。
良いアプリを開発して正しいタイミングでリリースして多くの人にダウンロードしてもらうことにより、多くの収益を得て成功した人もいる。
だがその一方で、「こんなはずじゃなかった」と感じている人も多い。
ただリリースするだけではダメなのだ。
いかに稼ぐかを計画し、必要な人とコラボレーションし、タイミングを測り、宣伝もする。
やるべきことを正しくやることで、成功への道はぐっと近づいてくる。
アプリ開発者の人はもちろん、iPhoneアプリ・ビジネスに関わる人、これから関わりたいという全ての人にお薦めする。
開発者必読の書。
デザインはポップだが、内容はハードコアだ。
遊びじゃない。だから面白い。
iPhoneアプリで稼ごう
丸山弘詩 毎日コミュニケーションズ 2011-07-30
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。