皆さんは腸腰筋(ちょうようきん)という筋肉をご存知だろうか。
腰と脇腹から股の付け根に至る筋肉なのだが、体の奥深くにあるため直接触ることができない。
腸腰筋の位置については、こちらのサイトを参照してください。
体の奥深くにある地味な筋肉だが、我々が直立したり座ったりする姿勢を維持するのに非常に重要な役割を担っている。
また、この腸腰筋が硬直して「こむら返り」の状態が起きると、いわゆる「ギックリ腰」や「急性腰痛」の状態になる。
腸腰筋は直接マッサージをしたり鍼を打ったりできない場所にあるため、存在を知らない人も多い。
僕自身、7〜8年前に急性腰痛の治療で整体に行った時、整体の先生から初めて腸腰筋の存在を教えられた。
その際整体の先生から腸腰筋を伸ばすストレッチの方法を教わっていた。
今回、その時の記憶が蘇ったことで、自分の身体に起こっていることを正しく把握することができた。
僕に起こっていたことを紹介しよう。
ランニング中に下脇腹に痛みを感じるようになった
一週間ほど前から、ランニング中の上下動のたびに、右の下脇腹あたりに鈍痛を感じるようになった。
はじめは痛みというほどではなく、「響く」という感覚に近かった。
この頃筋トレの強度を増しており、腹筋も強めにしていたので、筋肉痛なのかと思っていた。
痛みはランニングの時だけ感じて、徒歩やデスクワークで座っている時、料理でキッチンに立っている時、 階段の上り下りなどでは感じなかった。
筋肉痛なら自然に治ると思っていたが、痛みは日に日に、徐々にではあるが強くなっていった。
響くと言う程度ではなく、しびれるような痛みがズン、ズン、と腹に響き、ランニングに影響するようになってきた。
右下の脇腹とお腹正面の間あたりに痛みの箇所があるのだが、表面ではなく奥の方であった。
ランニングの時と、あと眠っているときに体を横にし丸めて眠ると、時々痛みというほどではないがズーンと響く感覚を感じるようになった。
痛みが徐々に強くなり「腸の腫瘍」を疑い始めた
極端な痛みではないが、日に日に悪化していることは間違いなく、僕は徐々に心配になり始めていた。
お風呂に入る前に裸で鏡の前に立ち、痛みの箇所を押して探ってみた。
おへそから2〜3センチ下を右に行き、おへそと股の付け根のちょうど中間あたり。
その辺をぎゅっと押すと奥に強く痛む場所があった。
ちょうどジーンズのベルトの高さあたりである。
最初僕は、体の奥のほうに痛みのポイントがあるため、腸に腫瘍ができたのではないかと疑った。
腫瘍でなくても何らかの原因で腸に炎症が起こっており、腸が腫れて痛んでいるのではないか。
でもそれにしては、僕は食欲旺盛、快眠快便、お酒も美味しく、性欲も活発だった。
痛みがあるとは言いつつ、筋トレもランニングも問題なくこなしていた。
腸に腫瘍があって、こんなに活発に活動ができるだろうか。
その点は疑問だった。
あと、ランニングの時に感じる痛みも、直接指でポイントを押したときの痛みも、やはり筋肉痛に近い、筋の痛みという感触があった。
もし内臓疾患で、腸に腫瘍ができているなら、放置して良いことは何もない。
どうしたものかと思っていた3日前の夜、日課のストレッチをしているときに、僕は突然「腸腰筋」のことを思い出したのだ。
腸腰筋のストレッチで腹痛が一気に改善
整体で腸腰筋のストレッチを教えてもらった時は、腸腰筋が痛んだわけではなかった。
その時は急性腰痛で腰を曲げることも動かすこともままならない状態で、特に股の付け根や脇腹など体の前面や側面が痛かったわけではなかった。
しかし、当時整体で教わった腸腰筋ストレッチをしたときの腸腰筋が伸びるときの痛みと、今回の下脇腹の奥の痛みに共通点を感じたのだ。
腸腰筋ストレッチは腰痛を繰り返していたころは時々やっていたが、ここ4〜5年ほどまったく腰痛にならなくなってからは、すっかり忘れてしまっていた。
僕は早速ヨガマットの上で腸腰筋を伸ばすストレッチを両足に対し入念に行った。
こちらのサイトにあるようなストレッチだ。
ストレッチの後、指で痛みのポイントを押してみたが、その時点では変化は良く分からなかった。
その日はそのまま眠り、 翌日もう一度確認することにした。
その夜は、眠っているときに横向きになって体を丸めても、痛みが出なかったような気がした。
そして翌日ランニングの前に、もう一度腸腰筋ストレッチを入念に行った。
ストレッチ後3kmのランニングをしたが、前日までランニングの上下動のたびに感じた痛みがほぼまったくなくなっていて驚いた。
ランニングから戻りシャワーを浴びた後、裸の状態で痛みのポイントを指で押してみた。
まだ弱い痛みは感じるものの、前日よりは大幅に軽減していた。
その日も眠る前にもう一度腸腰筋ストレッチを入念に行ってから眠った。
翌朝に着替えるときに痛みのポイントを指で押したが、もうあまり痛みは感じなくなっていた。
僕の下脇腹の原因不明の腹痛は、腸腰筋の硬直による痛みだったのだ。
腸の腫瘍など内臓疾患でなくて本当に良かった。
内臓疾患やヘルニアと間違えられる腸腰筋の痛みに気をつけよう
腸腰筋についてもっと知りたいと思い、検索していくつかのサイトを読んでみた。
腸腰筋の痛みは腰に出ることもあるし、脇腹や僕の例のように腹痛と勘違いするケースもあるようだ。
またヘルニアと間違えられるケースもあり、ひどい場合は痛みがないヘルニアの手術を受けてしまうケースも紹介されていた。
僕の場合ラッキーだったことに、整体の先生から腸腰筋の存在と痛みの発生原因、そして対策としてのストレッチを教わっていたことだ。
腸腰筋の硬直は座りっぱなしの仕事の人、ランニングを長距離行う、キック運動を繰り返す人に起こりやすい。
僕は座り仕事でランニングもしているわけだから、まさに腸腰筋の硬直が起こりやすいタイプの人間である。
あと、当時整体の先生に言われたのが、僕は過去105kgの肥満体だった時期が長かったことも影響しているそうだ。
肥満体だった当時の僕は、座る姿勢が悪くお腹が出て足をがばっと開いて座る癖がついていた。
その姿勢で長く動かずにいた後遺症が、腸腰筋が硬直しやすい状態を生み出しているそうだ。
もし今回のケースで僕が腸腰筋の存在とストレッチ方法を知らなかったらどうしていただろうと想像した。
もし痛みが腰だったなら整体かカイロプラクティックに行っただろう。
しかし今回は下脇腹のどちらかと言うとおへそ寄り、つまり「脇腹」というよりは「おなか」が痛いという感覚だった。
痛みの原因が腸腰筋と気づくまで、僕は内科に行こうかと考えていた。
もし内科を受診していたとしたら、当然ながら「腸腰筋の硬直」という方向には話は進まなかっただろう。
いくつも検査を受けたり、不安な時間とある意味無駄なお金を使うことになっていたように思う。
今回腸腰筋に痛みが出た原因の一つは、僕が執筆を音声入力に切り替えたため、執筆時の姿勢がiMacに向かって前傾になったこと。
今までよりも体が前傾した状態で長時間固定固定されるようになったため、腸腰筋がより収縮したまま耐える姿勢になったことが大きいのではないか。
それに加え僕が今ランニングの距離を伸ばしているため、もう一つの収縮の要因であるキック運動を盛んに行ったことで痛みが出たように思う。
今後は痛みが出ないように、腸腰筋ストレッチを日課にしてリラックスできるようにしていきたいと思う。
いずれにしても、内臓疾患と勘違いするような痛みなので、今後同じ痛みで悩む人の参考になればと思い書き残すことにした。
著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。