2021年10月から東海道・山陽新幹線の「のぞみ号」で試行サービスが始まった「S Work車両」を利用してみたので感想をご紹介。
「S Work車両」とは、のぞみ号車内でパソコンやスマホなどの端末を積極的に利用したい人向けのサービスだ。
僕自身、 新幹線を含む電車での移動時間はパソコンを持ち込んで仕事をしたい人間である。
仕事をする場合、ノートパソコンのキーボードを打つことになるが、過去数回、近くに座っている人から「打鍵音がうるさい」と注意されたことがあった。
それ以来、できるだけ乗客が少ない車両を選ぼうと、グリーン車を利用したりしてきたが、やはり常に気を遣うものだ。
また、最近はコロナの影響もありオンラインでのミーティングも多くなっているらしく、車内でオンラインミーティングをする人もいるようだ。
携帯電話の通話やオンラインミーティングも、車内で行うと迷惑行為となってしまう場合が多く、ビジネスマンは肩身が狭い思いをしてきた。
「S Work車両」は、 パソコンやスマホの利用を積極的に行いたい人がまとまって乗ることで、気兼ねなく利用できる環境を整えた新サービスである。
今回初めて実際に乗車してみたので、その感想を書いてみる。
「S Work車両」は「のぞみ号」の7号車、普通指定席である
「S Work車両」とは、東海道・山陽新幹線「のぞみ号」の7号車を「S Work車両」と呼ぶようにしただけであり、特別な車両ではなく、普通指定席である。
料金も通常の普通指定券と同額で利用できる。
「S Work車両」の予約は、オンラインの「スマートEX」または「Express予約」のみに対応している。
JR東海のサイトによる、「S Work車両」の説明は以下の通り。
ビジネスパーソン向け「S Work車両」
ビジネスパーソン向けに、マナーを守りつつパソコン等を気兼ねなくお使いいただける車両を設定します。
「S Work車両」とは
「S Work」車両は、新幹線(Shinkansen)で、仕事を進めたいお客様のご利用を想定した車両です。
「S Work車両」のポイント
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- ビジネスという同じ目的でご利用になるお客様同士、気兼ねなく仕事を進めていただくことを想定した車両です。
- パソコンの打鍵音、携帯電話、Webミーティングの通話音等、仕事を進めるうえでの最低限の作業音はお客様同士相互に許容いただいたうえでご利用ください。
- 東海道・山陽新幹線の「のぞみ」号の7号車(普通車指定席)に設定します。
※年末年始など、設定しない場合もございます。 - EX予約・スマートEXからのみご予約が可能です。 EX予約・スマートEXで普通車指定席をご予約される場合と同額で、追加料金なくご利用になれます。
- 乗車日当日、列車発車時刻の4分前まで予約可能です。
- 購入後、予約の変更は列車発車時刻前まで何度でも手数料無料です。
※発券後の変更は制限があります。
というわけで、「S Work車両」は、パソコンの打鍵音やオンラインミーティング、携帯電話の通話等を、「お互いに許容しよう」という人が利用する想定となっている。
今後新型車両等が登場した場合どうなるかわからないが、現段階では特に電源などの設備が強化されているわけではない。
一部の最新型車両ではWi-Fiがスピードアップしているそうだが、まだ全車両というわけではないようだ。
「S Work車両」に乗ってみた感想
2021年11月22日と24日に、東海道新幹線のぞみ号で、「S Work車両」を利用してみた。
僕が利用したのは往復とも「E列」、 つまり2人掛けの窓際の席で、利用区間は新横浜 ⇔ 名古屋間だった。
この席はもともと電源が用意されており、ノートパソコンやスマホを電源に接続して使用することができる。
往復とも、僕の隣には乗客はおらず、快適に乗車することができた。
通路側の席には電源がないため、満席になった場合などは、利用する席によって快適度が変わるだろう。
ただ、それは「S Work車両」ではなくても、普通席を利用する限り同じ条件である。
というか、2列の場合はE列、3列の場合はA列とC列にしか予約を入れないという暗黙の了解があるように、キレイに3列だけ乗客が座っていた。
普段僕は、新幹線乗車中はiPhoneのテザリング機能を使いMacBook Proに接続している。
今回試しに「S Work車両」 のWi-Fiを少し使ってみたが、テザリングの方が快適だったので、短い時間でテザリングに戻した。
ただ、数年前に比べると新幹線内のWi-Fiもだいぶ高速化しており、今後「S Work車両」 向けにWi-Fiが強化されると、かなり快適になるかもしれない。
一番大きかったのは「心理的」安心感
今回「S Work車両」を利用してみて一番良かったのは「心理的なプレッシャーから解放されたこと」であった。
敢えて7号車に乗っている人は、全員が「パソコンやスマホの利用を許容している人」である。
従って、マナーを守って利用している限り、周囲から「迷惑行為」と判断される心配がない。
安心して、MacBook Proを開き、記事を書くことができるのが嬉しかった。
今までだと、周囲に子供連れの人やお年寄りがいると、迷惑をかけているのではないかと心配して、遠慮がちに仕事をするようになっていた。
「S Work車両」の場合は全員が「お互い様」と認識している前提で乗っていられるので、気が楽なのだ。
帰りの電車で、通路を挟んだ反対側の座席でウェブミーティングをしている人がいた。
その人はヘッドセットをし、マイクに向かって小声で会話をしていたので、ヘッドフォンをして作業していた僕には何も聞こえなかったし、まったく迷惑に感じなかった。
今回は往復とも、座席に座って携帯電話で通話をしている人には出会わなかったが、この環境でマナーを守り小声で通話をしてくれる限り、「お互い様」と許容して良いように思う。
まとめ ビジネス目的の人と、それ以外の人で使い分けられるのが良い
往復とも利用したのが平日だったこともあり、「S Work車両」を 利用している乗客のほとんどがスーツ姿の男性だった。
「S Work車両」には、大声で会話する団体客もいないし、泣いてしまう赤ちゃん連れもいない。
ほぼ全員がビジネス目的で乗っている人ばかりで、 車内はむしろ静かであった。
スーツ姿の男性ばかりでちょっと殺風景だが、僕は楽な気持ちで旅ができて良かった。
ほとんどの乗客が一人で乗っており、皆さん粛々と淡々と、パソコンを開き仕事をしていた。
目的が明確であり、利用する人たちもハッキリしている。
そして、ビジネス目的の人が7号車に集結することで、「パソコンや携帯電話を使って欲しくない」と思って乗車している人にとってもプラスだろう。
今後、曜日や時間帯によっては、「S Work車両」がさらに拡大し、ビジネス目的の人とそれ以外の人で、車両を使い分けるようになっていくと良いのではないか。
グリーン車なども、いずれはパソコンと携帯電話を許容する車両と、使わない車両に分かれていくと良いのではないだろうか。
かつて車内でタバコが吸えた時代も、喫煙車両と禁煙車両が分けられていた。
電子機器の使用に関しても、許容する車両と塩嶺する車両に分けていくことで、それぞれがストレスない旅をできるようになれば良いと感じた。
著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。