ロシアによるウクライナに対する武力行使について、色々と想うことがある。
普段国際情勢や政治については書くことはないのだが、今回は自分の想いを言語化することにした。
Facebookに投稿したものだが、SNSだと流れていってしまうので、ブログにも転載することにした。
核放棄をしたウクライナ、約束されたはずの見返りは
ソ連崩壊時点でウクライナはアメリカ、ロシアに次ぐ世界3位、1,800基あまりの核を保有する核大国だった。
それを英・米・露が誘導し1994年の「ブダペスト覚書」で、ウクライナはすべての核兵器を放棄し、ロシアに譲り渡した。
核放棄の見返りとして、アメリカがウクライナの安全保障をする約束だったのだ。
ブダペスト覚書は国連安全保障委員会が履行を保証した国際合意だが、2014年のロシアによるクリミア侵攻も今回のウクライナ全土に対する攻撃も、アメリカはウクライナの安全保障をするという約束を守っていない。
ウクライナからしたら恨み骨髄だろうが、じゃあ、もし今アメリカがウクライナに派兵してロシア軍と対峙することになったら、世界は一体どうなるだろうか?
アメリカは、ロシアとの正面衝突を避けるために、ウクライナを見殺しにする選択をしたのだ。
ウクライナとロシアの入り組んだ歴史
ウクライナの歴史は本当に複雑で、民族構成も旧ソ連時代に強制移民でロシア人が大量に入ってきていたりなので、日本みたいな島国と違って非常にややこしい。
前回のクリミア半島への侵攻と実効支配も、あの件だけ見れば「ロシアの侵略」となるが、歴史を見ると、もうメチャクチャで、どっちが正しいのか分からない。
クリミア半島は元々はロシア領で、タタール人という民族が住んでいた。
原住民であるタタール人をスターリンが中央アジアに強制移住させ、代わりにロシア人を移住させたのだ。
だからクリミア半島は今もロシア人が多く暮らす地域だ。
それを、第二次大戦後に、当時のソ連書記長、ウクライナ人のフルシチョフが、クリミア半島の帰属をロシアからウクライナに変更した。
「両国の友好の印として」という意味不明な理由による帰属変更は、当時も物議を醸したそうだ。
フルシチョフからすれば、出身国のウクライナの領土拡張になるし、当時はロシアもウクライナもソ連の一部だから大したことはないと思っていたのかもしれない。
しかしソ連が崩壊してウクライナが独立すると、クリミア半島はそのままウクライナ領となり、クリミアに住むロシア人はウクライナにおける「少数民族」となってしまった。
クリミア半島におけるロシア人比率は60%を超えており、ウクライナ人は24%しかいない。
かつてはロシアの領土でありロシア人が住むクリミア半島を、プーチンが「奪還し、ロシア人を差別から解放した」という主張をしているわけで、これはもう、どっちが正しいかなんて、簡単に言えない。
ウクライナ全土を見ても、東部地区はロシア人が多く住み、西欧化を目指す西部地区とはまったく主義主張が違うのだ。
ウクライナで起こっていることは日本にとって「対岸の火事」で済むのか?
ウクライナは独立後、東部のロシア人が多い地区から選出された親ロシア派大統領と、西部の西欧化を目指す地区から推された大統領が交互に選出され、その度に国家の運営方針が大きく揺れてきた。
2014年以降は西欧化を進める大統領の政権が続き、それによって東部の親ロシア派の分離独立を目指す武力勢力との争いが続き、東部の一部地域は政府の力が及ばない状態が続いていた。
だから、ロシアとウクライナ、どっちが正しくてどっちが悪いと簡単に決めつけることはできないことは間違いない。
だが、ウクライナは主権国家であり、そのウクライナを武力で屈服させ、ロシアの思い通りにしようとする、「やったもん勝ち」が堂々とまかり通る世界は見ていて気分が悪い。
それに尖閣、台湾、北方領土など火種も近くにある状況で、「アメリカは、安全保障をする約束をしていたとしても、他国のために軍は派兵しない」ことが鮮明になってしまった。
もしもロシアや中国が日本に攻めて来たとき、アメリカはロシア、中国と全面衝突をしてでも、日本の安全保障をするだろうか?
ウクライナを今見殺しにしているように、ロシアや中国との全面衝突を避けるために、日本を見殺しにする可能性の方が高くないだろうか?
我々はその時に備えどうするべきなのかを、ちゃんと考えないといけない時期なんだと思う。
著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。