クリスティー・シェン & ブライス・リャン両氏著、「FIRE 最強の早期リタイア術 〜最速でお金から自由になれる究極メソッド」という本を読んだのでご紹介しよう。
タイトルの「FIRE」とは、Financial Independence, Retire Earlyの頭文字を取ったもので、「経済的自立、早期リタイア」という意味である。
長期分散の金融投資を続けることで投資からのリターンが生活費を上回る状態を作り、生きるために働く必要がなくなることを「経済的自立」と呼ぶ。
そして「経済的自立」を獲得し、「生きるための仕事から早期リタイア」する。
この二つがセットで「FIRE」である。
本書が火付け役となりFIREという概念は大きな話題となり、関連する本もたくさん出版されている。
元祖のこの本はぜひ読んでおきたいと思い手に取った。
さっそく紹介しよう。
31歳でFIREを達成したカップルの奇跡を辿るストーリー
本書はクリスティー・シェン氏とブライス・リャン両氏の共著という形になっているが、執筆はクリスティー・シェン氏によって行われている。
クリスティーとブライスはパートナーで、二人で協力しながらFIREへの道を歩み、FIREを達成したあとも、共に世界を旅するライフスタイルを歩んでいる。
クリスティーは中国の四川省の、非常に貧しい村で生まれ育った。
彼女はホームレスではなかったものの、ゴミの山でおもちゃを探すような幼少期を送った。
極度に貧しい幼少期を送ったおかげで、彼女はお金に対する執着を持つようになり、自らそれを「欠乏マインド」と呼んだ。
欠乏マインドのお陰で、クリスティーは「お金は何よりも大切なもの」と認識して育つことになった。
1988年にクリスティーの父親がカナダに移住し、2年後にクリスティーと母親も呼び寄せられ、カナダに移り住んだ。
一家の暮らしは少しずつ良くなり、クリスティーはカナダ最難関の大学でコンピューター・エンジニアリングを専攻し、無事卒業。
クリスティーはコンピュータ・エンジニアとして働き始め給与をもらうようになり、「貧困層」から「中産階級」に昇格した。
しかし彼女は幼少期からの「欠乏マインド」のため、まったく無駄遣いをせず、ひたすらお金を貯める生活を続けていった。
そしてクリスティーはブライスと結婚し、将来のビジョンを共有する。
仕事を始めて2年後のある日、二人は長期分散投資を行うことでFIREを目指すことにする。
様々な試行錯誤を行い、給与の大半を投資に注ぎ込むんだ結果、クリスティーが31歳のときに二人はFIREを達成した。
FIRE達成後のライフスタイル
FIREの前提となる「経済的自立」は、投資からのリターンが生活費を上回っている状態を指す。
この状態は、一時期だけ達成していてもダメで、継続的にリターンが生活費を上回っている必要がある。
つまり、金融市場が暴落したり、生活費を大きく増やしたりすれば、経済的自立は崩壊してしまう場合がある。
クリスティー夫妻は経済的自立を達成した後、仕事を辞め、世界中を旅する生活をスタートさせた。
旅をする前に自宅を処分し、身軽になっての旅立ちだった。
旅先を選ぶ際、2人は物価が安い東南アジアでの滞在期間を長めに取るなど工夫をした。
その結果、世界を旅しながらも2人は資産を大きく増やすことに成功した。
東南アジアなどは物価が安いため、生活コストを大きく抑えることができ、カナダに住んでいるときよりも安価に暮らすことができた。
また、インフレによる資産の目減りに対しても、インフレ率が低い国を選んで旅することで防ぐことが可能となった。
夫婦2人で旅を続けることが、生活コストを抑え、資産を増やす結果となっているのだ。
「食べるために働く」から「生き甲斐のために働く」へ
FIRE達成後、クリスティーは本書を含め執筆活動を中心に仕事をしている。
ビジネス書のほか児童小説を発表し、人気を博している。
クリスティーは大学で学んだコンピューターエンジニアリングの世界と決別し、今は自分の生き甲斐のために働いている。
食べるために長時間労働に耐えた日々とはまったく違う、自らがやりたいこと、世界に貢献できることを自由に行う日々を送っている。
クリスティーはFIREについて、以下のように書いている。
「経済的に自立するということは、必ずしも嫌いな仕事を辞めて世界を旅するということではありません。選択肢を持つということです。もし仕事を愛しているなら、ぜひその仕事を続けてください。FIREとは「Financial Independence, Retire Early (経済的自立、早期リタイヤ)」の略です。ただ、「RE」の部分はあなた次第です。好きな仕事を失ったり、うまくいかなかったときにあなたを守ってくれる鎧をつくるのは「FI」の部分だけです」。
旅をしながら執筆活動に勤しむ日々を送っていると資産は増えていく。
そのようなライフスタイルを「選択」することが可能となったのは、彼女たち二人がFIREを達成したからなのだ。
まとめ
クリスティーは幼いときの経験から「欠乏マインド」を持ち、投資をスタートさせる前の段階ですでに50万ドルの貯蓄を持っていた。
二人の貯蓄率は52〜78%に上っており、まったく気付かないまま、9年でFIREに到達できる状態を作っていた。
本書で詳しく触れているが、重要なのは収入がいくらかではなく、貯蓄率と利回りである。
クリスティー夫妻の場合も、大きな資産を持っていたわけではなく、むしろ極貧の環境で育ち、資産はまったくない状態からのスタートだった。
また、当初クリスティーは起業してビジネスを始めようとしたが、まったく上手くいかず、ビジネスは諦めている。
適切なポートフォリオを組んでひたすら貯蓄率を上げていくことでFIREを達成するスタイルは、「オプティマイザー」と呼ばれ、巷の「一獲千金」のイメージとは大きく異なる。
コツコツと堅実にお金を貯め、それを投資に回すことで、予想よりも短い期間でFIREに到達することができる。
多くの人に、新しい「ミリオネア」の形を提示した本なのだろう。
読んでおいて損はない、素晴らしい一冊だった。
オススメです!!
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。