勝間和代さん著、「できないのは あなたのせいじゃない」という本を読んだのでご紹介しよう。
この本は親やメディア、企業などによる「社会的洗脳」からの脱却をテーマにしている。
日本はとても素敵な国だが、同調圧力が強く「他人と同じであること」を強要する風土が問題だ。
同調圧力が強いと「他人から抜きん出る」ことは悪いこととなってしまい、自分で自分の能力を抑えて生きることになってしまう。
勝間さんがこのように強く問題提起をしていることに感謝し、僕もさらにがんばって自分の発信をしていこうと認識を新たにした。
それではご紹介をスタート。
ブレインロックとは?
「ブレインロック」とは、 親やマスメディア、それに勤務先企業などの社会的洗脳により我々が自らの可能性を閉ざし、脳にロックをかけてしまうことを指す。
たとえば、子供の頃から親が言い続けた言葉がやがて自分の価値観となり、親の言葉どおりに行動するようになる。
「男は男らしく、女は女らしく」
「女は結婚して子供を産み、家庭に入るのが一番の幸せ」
「良い大学に行って良い会社に入って出世してこそ男」
「持ち家がないと一人前とはいえない」
「貯金さえしていればいい。投資は危険だ」
などなど。
親としては子供を愛するからこそ、子供の為を思って言っている。
問題は親の時代と子供の生きる時代にはギャップがあり、世界はどんどん変化して親の価値観が機能しなくなっていることである。
また、親と子供では持っている能力や適性が異なる場合も多く、親の想う通りの人生が子供にとって最良の人生とは限らない点も問題になる。
親からの呪縛から離れるためには、まず自分の価値観が親の言動に強い影響を受けている事実に気づくことが大切だ。
そして親の主張に反論したり忌み嫌ったりするのではなく、静かに距離をとり自分の価値観に従って生きること。
「三つ子の魂百まで」という言葉のとおり、我々は子供のころに親から言われたことを大人になってもずっと引き摺って生きている。
親の影響下に自分があると認識すること、その影響下から出ると決意すること、その後は親の言葉はありがたく受け止めつつも、自分の価値観に従って行動することで、親からのブレインロックを解除できるのだ。
勤務先が自分を縛り洗脳する
社会人になると親にかわり勤務先の企業が我々を洗脳する相手の一つとなる。
勤めている会社のトップや上司、先輩社員などの価値観に我々は知らず知らずのうちに縛られてしまう。
「夜遅くまで残業しているのは良く頑張っている証拠」
「長く働くことが尊い」
「仕事とは辛くて苦しいもの」
「営業は靴底が擦り切れるまで歩いて稼ぐもの」
「前例を勝手に変えてはいけない」
「上司や先輩に反対意見を言うのは生意気。黙って従うもの」
また、仕事でミスをした時などに上司に叱責されたことで「自分はダメな人間だ」というブレインロックがかかってしまい、力を出せなくなってしまうケースもある。
企業による洗脳の最大の問題は、部下は上司やトップを選ぶことができないこと。
パワハラ上司の下で働くようなことになると、体や心に不調をきたし、命にも関わる場合も出てくる。
ストレスや過労によるうつ病など健康被害があったときには、即休職や配置転換の申し出、もしくは転職するなど「逃げる」ことも大切な選択肢だ。
マスメディアによる洗脳から脱出せよ
もう一つの強力な洗脳はマスメディアによるものだ。
日本のテレビは「勧善懲悪」の構図を好む。
時代劇の「水戸黄門」に代表される「正義の味方が悪者を駆逐する」という図式を、ドラマだけでなくバラエティーやニュース報道でも意図的に使っている。
そのような番組を長年見続けていると、我々は「公正世界仮説」というブレインロックにかかってしまう。
公正世界仮説について、勝間さんは以下のように説明している。
「 公正世界仮説とは、「悪い人には悪い結果が、よい人にはよい結果がもたらされるべき」という社会的な認知バイアスのことで、社会心理学で使われる言葉の一つです」。
しかし現実世界は「水戸黄門」のような勧善懲悪の世界ではない。
さらに問題なのは、「悪い人は、最後にはひどい目にあう」という考えが「ひどい目にあっているのは悪い人だから」と逆転してしまうことだ。
すると「痴漢にあったのは、あんなに短いスカートを履いていたからだ」と、被害者を責めるような発想になってしまう。
また、マスメディアは視聴者の不安を煽るような悪いニュースばかりを垂れ流す。
その理由は、我々人間は防衛本能を持っており、良いニュースより不安を感じる悪いニュースに敏感に反応するからだ。
つまり悪いニュースを流し続けた方が多くの視聴者がテレビや新聞に釘付けになってくれるのだ。
そのようなニュースを見続けると「世界は危険に満ちていて、世の中はどんどん悪くなっている」という価値観に縛られてしまう。
「危険な世界で自分は何もできない無力な存在」と信じ込まされることで、我々は本来持つ自らの可能性を閉ざしてしまうのだ。
マスメディアによる洗脳から脱出するには、マスメディアからの情報を遮断するのが最適だ。
僕自身もう10年以上テレビも新聞もない生活をしているが、それぐらいでちょうど良い。
必要な情報は自分から探しに行く、そして不要な情報には一切触れない。
マスメディアによる情報は恣意的に加工されているものが圧倒的に多い。
メディアの情報を鵜呑みにせず距離を置くことが大切だ。
まとめ
我々が「ブレインロック」に掛かってしまう原因の1つに「現状維持が好き」という点がある。
親や上司、テレビが言ってることを鵜呑みにして思考停止していれば、自分で考えなくて良いから楽なのだ。
そして企業やメディア、もっというと政権などからすると、思考停止している人の方が扱いやすい。
変化を受け入れ日々改善しようとすると、日常は劇的に楽しく刺激的になるが、楽ではない。
特に日本は教育で「考える力」を育ませないため、なおさら思考停止して自ら洗脳に嵌り込んでしまう人が多い。
しかしこれからの時代、画一的な幸せの形がなくなり一人一人が自分に最適な生き方、価値観を持つ必要が生じている。
それは同時に他者からの押し付けられた価値観に従って生きるのではなく、自分が本当に生きたい道を選ぶことができる時代でもある。
ブレインロックを解除して、本当の自分の可能性を開花させるのに、遅過ぎることはない。
とても深くて鋭いテーマの素晴らしい一冊でした。
オススメです!!
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。