つい数年前まで、ほとんどの人にとってネットは「匿名で遊ぶ場所」だった。
でも、今や僕ら普通の人のネット上での活動は、とても「遊び」とは呼べない、大きなムーブメントへと変貌を遂げつつある。
かつてはごく一部の特別な人だけが活動していたネットの世界に、多くのリアルな人々がなだれ込んできたからだ。
日本では2ちゃんねるの影響もあり、ネットは匿名で誹謗中傷が渦巻く場所。危険な一帯という印象を持つ人が多かった。
でも、いまやFacebookやLinkedinなどの実名主義のSNSの登場により、ネットとリアルの境界線はどんどんなくなりつつある。
そんな時代だからこそ、ブログやFacebookを活用して人脈を構築するという活動も、かつてないほど重要視されるようになった。
とは言えどうやってネット上で人脈を作り、その人脈をリアルの世界で活用すればいいのか、ほとんどの人は分からないだろう。
そんな悩みを解決してくれるのが本書「営業いらずのソーシャルメディア人脈術」だ。
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人数合わせに意味はない!
以前何度か「異業種交流会」的なイベントに出席したことがある。
さまざまなバックグラウンドを持つ人が集い名刺交換をする場なのだが、当時はほとんど意味がなかった。
新たな人脈が出来るかと期待して出席してせっせと名刺交換をするのだが、その後に続いていかないのだ。
業界も背景も参加する意図もバラバラの人とバンバン名刺交換ばかりしても、発展するものは得にくい。
名刺のコレクションをしているのではないのだ。
それと同じことがネット上の人脈形成にも言える。
TwitterやFacebookで、やたらと大人数をどんどんフォローしている人がいる。
フォローする人のことを精査したうえでの活動なら分かるが、そうでないなら数合わせは意味がない。
ソーシャルにおける人脈とは、人数がいかに多いかではなく、何人の人があなたを応援してくれるか、にかかっているからだ。
あなたを応援してくれる人を育てよう!
ソーシャルメディアを活用した人脈作りで重要なのは、いかに信頼される人間になるかだ。
あなたのことを信頼して、あなたがもたらす情報を「いいね!」と感じてくれる人になれるかどうか。
これが大切なポイント。
だからこそ、ニッチな分野で構わないので、専門家になって、他の人が知らない情報を発信していこう。
「キャラが立っていて」「ニッチ分野の専門家」になる。
これによってあなたの情報は鮮度があがり、応援してくれる人がぐっと増える。
こうして応援してくれる人を育てていくのだ。
友達には売るな!友達の友達が買ってくれる!
ソーシャルでのビジネスには鉄則がある。
「売り込み」をしないことだ。
これは、売り込みをされてみれば良く分かる。
鬱陶しいのだ。
Facebookはリアルな人間関係がそのままネット上に形成されている場だ。
だからこそ、友達に押し売りのように自分の商品やサービスを売り込んではいけない。
直接の友達は、あなたのことを応援してくれればいいのだ。
応援は、「いいね!」や「シェア」のような形で表現される。
多くの友達が「いいね!」や「シェア」をしてくれれば、友達のウォールにあなたの情報が表示され、結果として「友達の友達」があなたの商品やサービスを買ってくれる可能性が高くなる。
商品を売りたい人は、「売り込み」ではなく「ご紹介」程度に留め、あとは拡散の手段を増やしていけば良い。
本当に良い商品であれば、もちろん友達だって買ってくれる。でも重要なのは、あなたのことを友達が拡散してくれるかどうかなのだ。
だからこそ、友達に対しては売り込みをしてはいけないのだ。
まとめ
TwitterやFacebookでの僕らの繋がりは「ゆるい」と良く表現される。
確かに初めて会ってしばらく歓談した程度の人間関係でも「お友達」としてくくるわけだから、従来のリアルな世界の「友達」よりもかなり緩い括りになっていることは確かだろう。
でも、そういった独立した人間同士のゆるい信頼関係こそが、マスの時代が終わろうとしている現代における、情報伝達のベースになっていくのだろう。
そんな時代の人脈形成に戸惑っているなら、是非この本を読んでみて欲しい。
意外に辛口な一面もあるのだが、その辛口な部分こそが、ネット人脈が誤解されたり敬遠される原因となっている「ダーク」な人たちに対しての発言なので、まっとうにネットで活動している人は、高木氏の辛口コメントに拍手を送るだろう。
まさにこれからの人脈術がぎっしり詰まった良書である。
オススメ!
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。