組織や場所に縛られずに働き、自由に世界を飛び回って生きる。
そんな生き方に憧れる人も多いだろう。
特に昨年の東日本大震災を経験した僕たちは、働き方、生き方について根本的に見つめ直そうという意識が高まっている。
今までは一生の生活を支える「安心」の代名詞だったマイホームが、「土地と会社に縛られる」代名詞へと変化しつつあるのだ。
住宅ローンがあるから会社を辞められない。会社があるから引っ越したくても東京から出られない。
10年前にこんな考え方をする人はほとんどいなかったのではないだろうか。
そんな時代に世界を旅しながら積極的に情報をアウトプットし続ける、まさにノマドライフを実践している作家がいる。
本田直之さんだ。
本田さんはハワイと東京に拠点を持つ「デュアルライフ」の実践者として知られているが、昨年からはさらに世界への旅の時間を増やし、一年の6ヶ月をハワイ、4ヶ月を東京、2ヶ月をその他の国で過ごしたという。
そんな本田直之さんの新刊のタイトルはずばり「ノマドライフ」。
もう冒頭から興奮しっぱなしの素晴らしい本だった。
僕が独立してやってきたこと、やろうとしていること、やりたいことが全部書いてある。
今年読んだ中でここまででダントツNo.1のお奨め本!
ノマドライフ 好きな場所に住んで自由に働くために、やっておくべきこと本田直之 朝日新聞出版 2012-03-16 売り上げランキング : 41
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日本人として最先端のグローバル・ノマド実践者の立場から、普通のサラリーマンである僕らがどうやって究極の自由「ノマドライフ」を手に入れるかを分かりやすく解説したすごい本だ。
「ノマドライフ」を手に入れたいという人は是非この本を通読して欲しいのだが、このエントリーではその中でも僕が特に気に入ったキーワードを10選び出してみた。
早速紹介しよう。
絶対実現!!普通のサラリーマンが「ノマドライフ」を手に入れる10の準備
1. モノ、場所、時間、お金から自由になろう
高度経済成長からバブル経済を経てきた日本のサラリーマンたち。
企業で勤める人たちの価値観は、かつての上司、先輩などから引き継がれていることが多い。
そこには「結婚したら家を買って一人前」「週末はマイカーでゴルフ」「時計に凝るのが男の趣味」など、「持つこと」「所有すること」が価値であるという刷り込みが多い。
だが、これらの価値観は、一生会社に勤めて安泰、しかも年収は右肩上がりという大前提あってのことだ。
そしてこれらの価値観は、実は会社が「従業員を企業に縛りつけるために構築されたトラップ」でもあるのだ。
35年の住宅ローンを抱えたら、その人は一番の働き盛りの時期を、会社のために捧げるだろう。
無理な転勤や異動を言い渡しても、家族のためにせっせと働くだろう。
そのような思惑に乗ってしまっていないか?
これからの時代は、土地、家、車、ゴルフクラブといったモノが多いことが、逆に足枷になる。
そしてそれら物質文化の正反対に位置するのが、持たない生活。自由な生活だ。
モノ、場所、時間、お金から自由になること。
それがノマドライフのスタイルだとまずは知ろう。
そこからすべてが始まるのだ。
2. 収入は一時的に減るものだと認識しよう
かつてのビジネスパーソンの生涯年収のイメージは、ずっと右肩上がりというものだった。
だが、もしノマドライフを実践しようと思うなら、一旦は収入が減るものだと認識しよう。
特に会社勤めを辞めて独立したり、海外移住などをすれば、確実に年収は減る。
僕自身の話しをすると、昨年4月に退職して独立したわけだが、この一年の収入はサラリーマン時代より大幅に減った。
だが、それでいいのだ。そんなものなのだ。
本田さんは書いている。
「ノマドライフは、収入は一度下がりますが、続けるうちに上がってきます。なぜ上がるのか。ノマドライフは、続けていくと、ライフスタイルそのものがコンテンツになるからです。ライフスタイルを突き詰めるほどに生活や仕事のスキルが上がり、その上がったスキルからビジネスをクリエイトする能力がつくのです」
この一時的に収入が下がることが怖くて、独立・フリー、ノマド生活に踏み込めない人も多いだろう。
だからこそ、定期収入があるうちから、無駄なお金を使わない生活、シンプルな生活を心がけ、バッファ(貯金)を持っておくことも必要だ。
また、思い切って半分の生活費で一ヶ月を乗り切る訓練などをして、自分の金銭感覚を鍛えておくことも大切だ。
いずれにしても、収入が減ることを必要以上に恐れてはいけない。
3. ノマドライフは「今すぐ」はできない
人生にはさまざまなステージがあり、その人その人のポジションがある。
もしあなたが大学を卒業して2年、最初の勤務先に勤めているなら、ノマドライフは「時期尚早」と考えよう。
ノマドライフは後の章でも書くが、独立した個人同士がコラボレーションをして働いていく世界だ。
会社組織のように、先輩や上司がいて、あなたを育てたり守ってくれたりすることがない。
社会に出て最初の5年は、少なくとも「ベースを作る時期」として、目一杯働くべきだ。
きちんとしたビジネススキルがないままノマドライフに突入すると、何もかもが中途半端になってしまう。
自分が一人で独立して働いていけるだけのビジネススキルと実績を持つまでは、我慢するべきだ。
本田さんご自身は、ノマドライフに突入するまでに15年という長い歳月を準備に充てたという。
詳しくは本書に「6つのフェーズ」として説明されているので、こちらを読んでいただきたい。
4. 「マルチキャリア」の準備をしよう
ノマドライフ = フリーということで、何の準備もなく会社を辞めてはいけない。
会社に勤めているからこそ安定収入があるのだから、その時期を有効に使って準備をしよう。
その時に意識すべきは「マルチキャリア」であり、「クリエイティビティ」である。
よく「本業」「副業」という言い方をする人がいるが、独立してノマドライフを実践するようになると、この考え方は消滅する。
僕自身いまはブロガーであり、作家であり、講演者であり、コンサルタントであるわけだが、どれが本業でどれが副業ということを意識したことはない。
ブログの広告収入だけをとっても、Google、Amazon、リンクシェア、楽天など複数の企業からの収入に分かれるし、書籍の執筆も何社もの出版社と並列して進めていく。
フリーで仕事をするときに、取引先が一社だけというの非常に危険な状態だ。
相手先が倒産した瞬間に収入がゼロになるし、価格交渉などでも不利になる。
常にマルチキャリアを意識して準備をしよう。
そしてもう一つ大切なのは、「時給」という考え方を排除することだ。
会社勤めをしつつ独立の準備のために夜アルバイトで牛丼屋で働く。
これは拘束時間が増えているだけで、ノマドライフに向けた準備にまったくなっていない。
生活費を捻出するための副業ではないので、クリエイティビティを磨けるものを選ぼう。
情報提供、創作、アイデアなど、自分の価値がお金を生むような仕組みを考え実践することが必要だ。
5. コラボレーションでゆるい繋がりを持とう
ノマドワークでとても大切なのはコラボレーションという考え方だ。
「来月仕事がないんで回してください」とお願いするのはコラボレーションではない。
個と個、そして個と企業が組んでビジネスを展開させていくのがコラボレーションだ。
そしてそのために僕らに必要なのは、「個の力」だ。
別の誰かが仕事を頼みたくなるような魅力を持つことが求められる。
自分を磨き、スキルを高め、「この仕事はあなたが一番でしょうから是非お願いしたい」と言われるようになろう。
そしてそのためには、時としては目先の利益よりも強い人間関係を優先する必要もある。
是非組みたい相手との初の仕事なら、利益ど返ししてでも最優先で取り組む。
そんな気概も必要だ。
6. 仕事と遊びの垣根をなくそう
僕自身フリーになって嫌というほど分かったのだが、この世界には仕事と遊びの区別がない。いや、いらないのだ。
例えば僕はいま本田さんの本を紹介するブログを書いている。
これは仕事だろうか?遊びだろうか?
ブログの広告収入から収入を得ているという意味では仕事かもしれない。
だが、僕自身が読んで猛烈に興奮した本を読者の皆さんに紹介したくてウズウズしながら書いているという意味では、遊びかもしれない。
ブロガー同士の飲み会は「情報共有」という仕事だが、「仲の良い仲間との楽しい時間」という遊びでもある。
本田さんはノマドライフの生き方を以下のように定義している。
「楽しいこと = ライフスタイル系 + スキル + マーケット」
つまり、何か楽しいことをしつつ、お金をもらえる仕組みを作るところから考えようということだ。
定期収入がある会社員だからこそ、余裕を持って「楽しいこと」を考えられるだろう。
是非楽しみつつ準備してみて欲しい。
7. 減らすことこそ「自由」なのだと知ろう
「ノマドライフは本田さんや高城剛みたいなお金持ちの特権」と思っている人がまだまだ多い。
確かに常時世界中を飛び回るような自由な生活にいきなり突入しようと思えば、それなりの資金が必要だ。
だが、何も海外に出ていくことだけが「ノマドライフ」ではない。
隣町に移動するのもノマド。実家と家を往復するのもノマドだ。
ここで問題になるのは、ライフスタイル、考え方の転換だ。
僕らは「モノを持つ」ことが幸せだと教えられてきた。
だからこそ「もっとたくさんモノを持つ」ことができるお金を追い求めてきたのだ。
だが、これからの時代は「減らすことが自由」なのだと知ろう。
ただ減らすのではない、減らしていく過程で、本当に大切なものを選ぶのだ。
削ぎ落としてシンプルにする。
マネジメントをやりたくないなら、あえて昇進のオファーを断ってもいいのだ。
年収は上がらないが自分のやりたい仕事ができる。いらないモノに固執していてはお金優先になってしまいできない選択が、シンプルな生活を中心に据えれば可能になる。
この本ではニュージーランドでノマドライフをスタートさせた四角大輔さんの例を挙げている。
四角さんは物価の安いニュージーランドでは、夫婦二人なら自家菜園など工夫をしていることもあり、年収300万円あれば何の問題もなく生活できると語っている。
ノマドに移行し年収が減ることが「悪」ではない。
自由な中でクリエイティビティを発揮して自分の価値を高めることを目指そう。
そのためには、減らすことこそが「自由」なのだと知ろう。
8. すべて自己責任という思考を持とう
ノマドライフを実践するには、強い自己責任思考が必要だ。
ビジネスにおいても、生活においても、他人のせいにして愚痴を言うことはできないのだ。
会社勤めの人は上司の愚痴を言って憂さを晴らすことができる。
同じ境遇の同僚と文句を言いつつ酒を飲むのは楽しいかもしれない。
だが、もしあなたがノマドライフを将来のビジョンとして描くなら、そのような飲み会とは縁を切るべきだろう。
自分の責任はすべて自分で負う思考は、会社勤めの時から訓練できる。
その日に備えて準備をしておこう。
9. ひと回り以上違う世代とつき合おう
本田さんがこの項目を書いていて僕はビックリしたし、嬉しかった。
本田さんは僕の一歳年上だ。43歳。僕は42歳。
僕自身最近仲良くしている仲間は20代半ばから30代前半の人が多い。
それが自然に感じられるし楽しいからだ。
なぜ楽しいかというと、発想が柔軟で自分とは明確に違う価値観を持っているため、強い刺激になるからだ。
さらにデキる若者たちは野心的で行動も速い。
彼らから見習う点が非常に多く感じていたので、本田さんが僕と同じことを思っていると知って嬉しかった。
10. ブランディングツールとしてセルフメディアを持とう
ノマドライフを送っていると、周囲から「この人は何をしている人なんだ?」という目で見られることが多くなる。
だからこそ、ブログやSNSを積極的に活用して、「自分の強み」や自分の考えを発信し、自分自身をブランディングしていこう。
セルフメディアを「集客」や「集金」に使うのは非常にもったいない。
ネットには距離感を超越するという強みがあるのだから、いつも会っているわけではない人たちに、自分の思考をシェアしていこう。
「自分はまだサラリーマンだから」と考えずに、ノマドライフをスタートさせる時点までにある程度の自分ブランドを構築しておくことが必要だ。
まとめ
ノマドライフというと、お金持ちの道楽のように感じる人も多いのではないだろうか。
だが、ノマドライフはこれからの生き方のチョイスの一つになった。
クラウドが発達してネットワーク網も高速化し、いつどこにいても仕事ができるようになったからだ。
会社から離れ独立して仕事をしたい。
そのように夢見る人は多いだろう。
このエントリーで紹介できたのは、この本の1/30くらいにすぎない。
もしあなたが「いつかは自分も本田さんのように世界を飛び回りつつ自由に仕事をしたい」と願うなら、是非この本を読んでみて欲しい。
「ノマドライフは簡単ではない」
本田さんはハッキリ書いている。
だからこそ潔いではないか。僕もノマドの端くれとして感じる。ノマドは大変な面もある。
だが、それと引き換えに手に入れられる「自由」「時間」はかけがえのないものだ。
興味を持ったなら、準備は一日でも早い方が良い。
今日から夢のノマドライフに向けて、スタートして欲しい。
願わなければ、夢は叶わない。
今年No.1の凄い本だった!お奨め!!
ノマドライフ 好きな場所に住んで自由に働くために、やっておくべきこと本田直之 朝日新聞出版 2012-03-16 売り上げランキング : 41
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。