自分らしさって何なのだろう?
価値観が多様化している。
ニュースやメディアはそう喧伝している。
では自分らしさとはいったい何なのだろう?
隣の人と自分の違いはどこにあるのだろうか。
様々な働き方、生き方が紹介される今日この頃だが、自分は何をしたらいいのかが分からない。
夢もないし目標も良く分からない。
そんな中でどうやって自分らしさを見つけていけばいいのか。
そんな悩みを持つ僕ら多くの日本人にとって、まさにピッタリの本と出会うことができた。
四角大輔さんが書いた「やらなくてもいい、できなくてもいい。」という本だ。
やらなくてもいい、できなくてもいい。 | ||||
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四角さんは名音楽プロデューサーとして、絢香、Superfly、Chemistryなどを世に送り出してきた人物だ。
そして四角さんはプロデューサーとしての地位と収入を捨ててニュージーランドに移住し、両国の企業のコンサルなどを行なっているという。
「高収入」「地位」「安定」を捨てた四角さんはこの本の中で、自分らしさを見つける方法をたくさん提唱している。
「やらねば」「できるようにならなければ」の時代から、「やらなくてもいい」「できなくてもいい」の時代へ。
四角さんが送るメッセージはこの本に44収録されている。
このエントリーでは、その中から僕が特に共感した10のメッセージをお届けしたい。
早速いってみよう。
しなやかに生きたい!「自分らしさ」が見つかる10の法則!
1. 夢が分からなくてもいい!
「将来の夢はなんですか?」
そう訊かれたときに、「夢 = 職業」だと思い込んでいる人が多い。
「広告代理店て営業マンになりたい」というような「夢」だ。
だが、本当に夢は具体的でなければいけないのだろうか?
むしろ、夢は漠然としていた方が良いのではないだろうか。
具体的すぎる夢は、達成できなかった瞬間に終了となってしまう。
四角さんも元々は「NHKに入社してドキュメンタリー番組を制作する」という、非常に具体的な夢を持っていたという。
だが残念ながら四角さんはNHKに就職することができず、挫折感を味わったという。
だが、結果としては本命ではなかったレコード会社で四角さんはプロデューサーとして、NHKでやりたかったことをできるようになった。
四角さんがNHKでやりたかったことの本質とは、「人に感動を与えて、人生観や考え方が変わってしまうようなものをつくり、届ける」ということだったと後から気づいたという。
夢は漠然としててもいいし、分からないなら分からなくてもいい。
無理に現実的な視点から具体的な夢を持ってしまうと、結果として自分を縛ってしまうことになるし、不要な挫折感を味わうことにもなる。
夢は分からなくてもいい。
2. 夜遅くまで会社にいなくてもいい!
「仕事がデキるヤツ」は猛烈に働き、それでもいつも颯爽と元気に会社にやってくる。
そんなイメージを持っている人も多いのではないだろうか。
成果を出して認められるためには、人の2倍も3倍も働かないといけない。
そのためには日々夜中まで仕事をして、同僚よりも先に進まないといけない。
四角さんも自分に自信がない間は、そのような想いに囚われ長時間労働に明け暮れていたという。
だが、長時間労働が常態化すれば体調は悪化しパフォーマンスは落ち、結果として仕事の質が下がる。
そして仕事の質が低下すれば人に迷惑をかけ仕事に穴を空けたりすることもでてくる。
それではまったく本末転倒なのだ。
本当に大切なことはパフォーマンスを最大にすることなのだ。
人間の体力、精神力には限界がある。当たり前のことだ。
労働時間ではなくパフォーマンスを最大化することの必要性に気づいた四角さんは、どんどん仕事を減らし始めたという。
そしてその結果、労働時間と反比例するように仕事で成果が出始め、ついにはプロデューサーとして大成功を収めることができた。
特に管理職、マネジメントをする立場の人間は、判断ミスにを犯せば部下や関係者の苦労を無駄にしかねない。
だからこそ、仕事を早く終え帰宅すること、運動をして体調を整えること、栄養のバランスを考えて食事を摂ることなどに最大の気配りをする必要がある。
ビジネスに関わる人は、アスリートと同等の体調管理をするべきだ。四角さんは言う。
そのためにも、「長く働く」 = 「仕事をしている」という価値観を取り外すことが必要だ。
「何をやらないか」を決めることこそが、生きる上で一番大切なことなのだ。
3. 「つきあいの悪いヤツ」でいい!
会社勤めをしていると、同僚や先輩との「社内飲み」の機会が多いケースもあるだろう。
社内飲みに顔を出さないと、先輩や上司から「つきあいが悪い」言われたり、冷たくされたりすることもあるかもしれない。
だが、たとえ「つきあいが悪い」と揶揄されたとしても、社内飲みはできるだけ参加しない方が良い。
社内飲みは全員共通の話題ということで、どうしても仕事の愚痴や上司の悪口が延々と繰り返されることになりがちだ。
しかも飲み会は仕事が終わった後の貴重な時間を大きく費やすことになる。
四角さんもレコード会社就職当初の営業担当時代から、社内飲みには参加しないようにしていたという。
社内飲みでは知識も人脈も広がらず、結果として時間とお金の浪費となってしまう。
交流するのであれば社外の人、それもできるだけ業界が違い知識や経験が異なる人と交流しよう。
会社では「あいつは付き合いが悪い」と思われるくらいでいいのだ。無理に付きあっても良いことは何もない。
4. 無理に友達は作らなくてもいい!
小学校時代に激しいイジメを受け、人づきあいが苦手だったという四角さん。
そんな性格を変えようと高校時代にアメリカ留学を果たした。
プエルトリコ人など中南米人が多い地区の高校に留学した四角さんは当初友達がまったく作れず苦労したという。
だが、大好きだった野球を通じて徐々に同級生と心が通うようになったという。
試合で結果を出すこと。そして自分自身の心にある熱い想いをハッキリ口に出して語ること。
最後の大会で敗北し、「これでお前らと一緒に試合ができるのが最後になるのが悲しい」と泣く四角さんに、中南米人のクラスメートは歩み寄り一緒に泣いたという。
無理に迎合してうわべのつきあいしかできない友達を作るのではなく、自分の想いを語り、熱さを表に出すことが必要なのだ。
たとえ言葉が違っても、本当に大切なことを一生懸命やる姿というのは必ず人の心に刺さるものだ。
5. 大企業の名刺も肩書きもなくていい!
本当のプロとは、「受け手の心を忘れない人」だ。
その道のエキスパートになってくると、知識も経験も豊富になるので、どうしてもマニアックな方向に指向が向いてしまいがちだ。
四角さんの音楽業界でも、「上手い」ことが「いい」ことだと勘違いしてしまいがちだという。
だが、多くのリスナーは、細かい技術の稚拙よりも、どれだけ人の心を揺さぶるかどうか、端的に言えば「楽しいか」「気持ちがいいか」でしか音楽を聴いていない。
だからこそ、仕事の立場などを取り外し、「人の心」で物事を判断するのがプロなのだ。
「自分は課長だから」とか「私の立場ではこれはできません」という基準は、時としては避けて通れない場合もあるだろう。
だが、そんなときも最初から立場で考えるのではなく、一人の人間としての判断基準で考えるところからスタートして欲しい。
大企業にいなくても良い仕事はできる。
立場や役職を超えた、人としての感覚と判断を忘れずにいることが、成功の秘訣なのだ。
6. ひとつだけできればいい!
レコード会社入社当初、四角さんは札幌で営業担当として働いていた。
その時の四角さんは、会社や上司の言うことをきかず、つきあいも悪く、自他共にダメ社員として扱われ、最低の評価をされていたという。
その営業スタイルは独特で、とにかく自分の好きなアーティストしか推薦せず、ひたすらCDショップをマメに回るというものだった。
当時まだ無名だった平井堅を四角さんはとても気に入っていて、とにかく押し続けたという。
会社が指示してくる他のアーティストのことは無視してひたすら自分が好きな平井堅を押しまくったのだという。
ひたすらCDショップに顔を出し、平井堅を推す、という活動を続けると、やがて変化が現われる。
札幌支社は担当エリアが北海道全域だったこともあり、徐々に北海道全域で平井堅が売れ始める。
そしてついには全国シェアにおける北海道の比率が30%にまで高まり、北海道で平井堅がブレイクするという事態となる。
そしてその「ひたすら平井堅を推しまくる営業」の噂が東京本社の平井堅担当プロデューサーの耳に入り、四角さんは北海道エリア担当の営業から、平井堅のアシスタント・プロデューサーに抜擢されることになる。
会社の指示に従ってまんべんなく多くのアーティストを売っていれば、業務上のバランスや社内の人間関係はずっと良いものになっただろう。
だが、自分が納得しているか、自分の心に刺さっているかをアンテナの判断基準にすることは非常に大切だ。
目先の人間関係や小さな業務目標の達成よりも、本当の自分の心にしたがって突き進むことが、大きなステップになるのだ。
7. 目上の人に媚びなくてもいい!
プロデューサーとして仕事をするにあたり四角さんが大切にしていたこととして、「クレド」を持つということを挙げている。
「クレド」とは「中心軸となる方針」のことで、周囲から「この人はブレない」と理解されることが大切なのだという。
そして、その「ブレない」ことの中で、どんな立場の人が相手であっても同じ態度・姿勢で接することが大切だ。
チーフプロデューサーであってもアシスタントであっても、同じようにフラットに接するのだ。
アシスタントを雑に扱う人も多い。
今までは「できない」と言っていたのに、チーフプロデューサーが出てくると急に「できます」と態度を豹変させる人もいるという。
そういう人達がチームの中心にいると、そのチームには一体感が生まれず、若手や立場が低い人達は義務感として仕事をしてしまう。
それでは、「本当に良い作品を作る」という共通の目的が達成されなくなってしまう。
相手が偉い人であろうと、アシスタントであろうと、同じように接し、ブレない。
人間関係を作っていくうえでとても大切なことだ。
8. 欠点は直さなくてもいい!
子供の頃学校では、成績が悪い科目を何とかするように指導された。
欠点は直せ。そう習ってきた。
だが、これからの時代は、欠点を直して平均的な人間を目指すよりも、長所を徹底的に伸ばし活き活きと生きるべきだろう。
四角さんがChemistryをプロデュースした時も、「そのままでいい」をモットーに、彼らの欠点はそのまま直さない方針を採ったという。
Chemistryは歌は圧倒的だったが、喋ることが苦手で、どうしたらいいか、と四角さんに相談してきたという。
四角さんは取り繕うことをせず、「上手く答えられない質問には『すみません、何と答えていいか分からないです』とそのまま返事するように」と指導したという。
その結果、喋りはダメだけれど歌い出すと凄いというイメージが定着し、それが内気な男子中学生・高校生らの圧倒的支持を受けることになったのだという。
人間誰しも、一番完璧な人に好感を持つ訳ではない。
欠点は欠点としてそのままさらけ出し、良いところを集中的に伸ばすのが、これからの時代に合っているのだろう。
9. 自分らしく生きてもいい!
アーティストとは、特別な人ではない。
四角さんはそう言う。
四角さんの定義では、アーティストとは「自分らしさとは何か?といういちばん大切なことを、ちゃんと理解したうえで、それを追求し続けている人」である。
ということは、裏を返せば、アートなどの仕事をしていなくても、「自分らしさを知っている人はすべてアーティスト」ということになる。
つまり、自分自身を理解していればアーティストになれる、つまり、誰もがアーティストになれるということだ。
では、どうすれば自分らしさを理解できるのだろうか。
そのためには、自分の好きなことを一生懸命やってみることだ。
好きなことをやっていれば、表情も自然と明るくなって人とのコミュニケーションもスムーズになるかもしれない。
もし何が好きなのか自分では分からないという場合はどうすればいいだろうか。
その時には周囲の友人たちに相談してみたらどうだろうか。
その際は「相談したい」ではなく「プロデュースして欲しい」と言うのがコツだ。
「私の得意なことを伸ばしたいからプロデュースしてほしい」と友達に言われたとしたら、楽しく面白く、あなたの長所を指摘してくれるだろう。
「いつもおしゃれでセンスいいよね。スタイリストとかいいんじゃないの?」「いつも小説を読んでるよね。編集の仕事に興味はないの?」
身近な人だからこそ見える客観的かつ具体的なポイントを指摘してもらいつつ、楽しく夢を語ってはどうだろうか。
「自分らしく生きるというのは、まわりと比べるものではなく、自分が何をしている時が一番キラキラ輝いているかを追求することなのです」
四角さんはそう語っている。
10. 隣の芝生は見なくていい!
四角さんはワーナーミュージックを退社し、学生時代からの憧れだったニュージーランドでの生活へと大きく舵を切った。
プロデューサーとして成功していて、地位も収入もある状態から自ら下りてしまうことに、周囲は「もったいない」と言ったという。
だが、四角さんは自分で自分の進む道を選んでいけば、他人の芝生が青く見えることはない、という。
わざわざオフロードを選んで走ったわけではないが、結果として自分の好きなこと、やりたいことを選んできたら、今の道に辿り着いた。
逆に自分で判断をしない人たちが、「生活を派手にしたい」「もっといい車に乗りたい」といった物質的充足を求めるのではないだろうか。
自分の価値観で考え、自分で自分が進む道を決める。
そうすれば、自然と自分のやりたいことが見えてくる。
そしてもう一つ大切なこと。
それは「急ぎすぎない」ということだ。目標はすぐ達成できなくていい。
四角さんはニュージーランドへの移住に15年の準備期間を持ったという。
人生には多くの段階があり、一歩一歩進んでいかないと、夢はかなっていかない。
そして2年や3年で達成できる夢は、実は大した夢ではないのだ。
10年、15年という長く大きなスパンで夢を持ち、大股ではなく小さな歩幅でコツコツ歩み続ける。
ブレない自分を持ち、自分の価値観を信じて進んでいく。
そうすれば、きっといつか自分だけの夢が叶う日がくるだろう。
まとめ
「夢」「目標」「自分らしさ」。
これらのキーワードを語るとき、僕らはつい他人と自分を比較してしまいがちだ。
「隣の課のあいつよりも早くリーダーになりたい」「学生時代の同期仲間で最初に年収一千万を突破したい」などなど。
だが、他人との比較は本当の自分らしさを教えてはくれない。
自分らしさとは、あくまでも自分の中にある「楽しさ」や「活き活き」「キラキラ」いったキーワードを大切にすることで育つものだからだ。
多くのアーティストの「楽しい」「活き活き」「キラキラ」を客観的に見つめ、その素晴らしさ、自分らしさを最大限に発揮させる手伝いをすることで、Superflyや絢香、Chemistryらを大スターへと育ててきた四角さん。
そんな四角さんが放つメッセージは、意外にもとてもパーソナルで等身大なものばかりだ。
僕らは誰もがアーティストなのだ。
自分らしさを追求すれば僕らはみなアーティストになれる。
今日から、友達や恋人、パートナーと一緒に、お互いの「らしさ」をプロデュースしてみてはどうだろうか。
一人で悩むより、一緒に考えることで、楽しく素敵なヒントが見つかるかもしれない。
このエントリーでは10のメッセージを取り上げたが、ここに書けたのは、この本の魅力のごくごくわずかだ。
「自分らしさって何なんだろう?」「どうすれば自分らしく生きられるのか?」
そんな疑問を持ってこのエントリーを読み、興味を持ったなら、是非この本を手に取って呼んでみて欲しい。
今までの価値観や習慣をぶち破り自分らしさを手に入れたい人必読の書!素晴らしかったです。オススメ!
やらなくてもいい、できなくてもいい。 | ||||
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。