人生は一度きり、後戻りすることはできない。
だから一度きりの人生をどのように生きるか、僕たちは常に必死で考えている。
だが、一度きりの人生は、「どのように」生きるかだけではなく、もう一つ考えなければならない、重大なことがある。
それは、一度きりの人生を「誰と共に」生きるかだ。
いま日本では晩婚化が進むとともに、結婚しない人の数もどんどん増え、一生独身のまま過ごす人の比率が高まってきている。
もちろん結婚しない自由というのがあるわけで、一生一人で生活していくという判断は尊重されるべきだし、個人の自由だ。
だが、もし結婚したいのにできない、結婚に踏み切れないなどの理由でパートナーと歩む人生に入れないとしたら、それはとてももったいないことだ。
若者を取り巻く厳しい雇用環境や男性のいわゆる「草食化」などの影響もあってか、結婚に対するハードルは年々上がってしまっているようだ。
そんな時代に、吉越浩一郎さんが素敵な本を書いた。「ほんとうは仕事よりも大切なこと」という本だ。
サブタイトルに「いつか結婚するあなたへ贈る37の処方箋」とあるとおり、この本は吉越さんが若者に向けて書いた結婚のススメ論だ。
2012年で結婚40年を迎えたという吉越さんのアドバイスの中から、特に僕の心に響いた10の言葉を子のエントリーでとりあげたい。
一番大切な人、パートナーとともに歩むあなたに贈る10の大切な言葉
1. 仕事の生きがいなんて、あくまで期限つき
吉越さんの妻ダニエルさんはフランス人。
共にドイツのハイデルベルグ留学中に知り合い、当初は日本人とフランス人同士がドイツ語でコミュニケーションを取ったいう、国際派だ。
フランス人の妻を持つことで、日本人なら「当たり前」とされてきた、仕事や家庭に対する考え方を、若い頃から根本的に見直さなければならなかったという吉越さん。
そしてトリンプインターナショナル・ジャパン社長として、19年連続増収増益という実績を持つ吉越さんが敢えて放つ、「仕事の生き甲斐なんて期限つき」という言葉には重みがある。
猛烈に働いて残業して、社内で出世して高給取りになることが、家族の幸せに繋がる。
従来の日本企業の仕事観はそのようなものだった。
だが、フランスにはそんなメンタリティはかけらもない。
仕事は時間内にするもので、残業なんかする人はいない。
夕食は家族は一緒にテーブルにつき、ゆっくり会話を楽しむ。
「給料を持って帰ればいいだろう」というような発想はフランスでは受け入れられないのだ。
人生を80年として、円を描く。縦と横に1本ずつ線を引き4つに円を分ける。一つの領域が20年というわけだ。
すると、生まれてから最初の20年は赤ん坊から学生の時代なので、会社は関係ない。
そして、最後の20年は、定年から死ぬまで。ここも会社は関係ない。
こうして見れば、実は仕事とは、長い人生の半分しか関わらない、期間限定のものなのだ。
そんな期間限定の仕事にばかりフォーカスを当ててはいけない。
人生全体に、そしてパートナーと歩む日々に、もっと焦点を当てようではないか。
2. 結婚とは、ふたりで同じ方向を見つめて歩んでいくこと
「結婚と恋愛は違う」
日本ではこの言葉を使うとき、どちらかと言うとネガティブな意味を込めるのではないだろうか。
恋愛は楽しむものだが、結婚は義務や立場に縛られる、辛くてつまらないもの。
そんな意味合いを込めて使うことが多い。
だが、吉越さんの妻ダニエルさんは、吉越さんと結婚する時に、ドイツ語でこんなことを言った。
「いままでは見つめ合って過ごしてきたけど、これからは、手を取り合って同じ方向を見ながら歩んでいきましょう」
この言葉の原典はフランス人作家サン・テグジュペリのもので、一部をダニエルさんがアレンジしたものだそうだ。
恋愛の段階ではお互いのことだけを見て過ごす。でも結婚したあとは、長い道のりを隣どうし、一緒に歩き続けていく。だから、同じ方向を見ていないと、まっすぐに進んでいくことができない。
時には軌道修正をしないと、別々の方向に歩いてしまうこともあるだろう。
一緒に同じ方向を見ながら歩む。まさに結婚生活を一言で言い表す、名言だろう。
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。