生き方・ライフスタイル書評

ライフログのすすめ by ゴードン・ベル & ジム・ゲメル 〜 僕らの人生は永遠に残される!! [書評]

生き方・ライフスタイル書評
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ブックレビュー2010年の68冊目はゴードン・ベル & ジム・ゲメル両氏著、「ライフログのすすめ」を読了。

僕自身が勘違いをしていたので最初に断っておくが、本書が取り扱っているのは「ライフ・ログ」であって「ライフ・ブログ」ではない。

生活・人生をデジタルに記憶していこうということと、それをブログで不特定多数に公開することは別モノである。

その点注意が必要だ。

僕自身がブログやTwitterに日常生活の様々な活動記録を残しているため、本書が提案しているライフログ自体は、それほど目新しいものとは感じなかった。

が、もし本書があと2年早く出ていたなら、近未来小説を読むようにワクワク・ドキドキしながら読むことができたのではないかと思う。

このブログの読者にはiPhoneやTwitterのユーザーが多いので、僕が実際が行っているライフ・ログ活動を書き出してみると、以下のようなものになる。

  • iPhoneアプリおはようパンダで日々の睡眠時間を記録する
  • FileMaker Proで独自作成した日記帳データベースに日記を書く
  • iPhoneアプリRunKeeper ProとRunKeeperのWebサイトでランニングの走行距離と地図情報を記録する
  • Withings WiFi BodyScaleとWithingsサイト、それにiPhoneアプリWeightbotで日々の体重と体脂肪率を記録する
  • WebサイトEat SmartまたはiPhoneアプリRecRec Dietで日々の食事と摂取カロリーを記録する
  • iPhoneアプリFourSquareで外出先にチェックインして、行き先とその日時を記録する
  • Mac、iPhoneアプリのiComptaで日々のお金の出入りを記録する
  • Media Markerサイトに読書記録を投稿・記録する
  • デジカメを使って写真を撮る(ジオタグが付いていると尚良い)
  • iPhoneで動画を撮影する
  • iPhoneで音声を録音する
  • ブログを書いて更新する
  • Twitterでツイートする

これらの記録を不特定多数にインターネット経由で公開するかどうかは本書のテーマではない。

本書で薦めているのは、これらのデジタルなログを取り、それらを家族や友人、自分自身、そして自分の子孫達のために有効活用しよう、ということなのだ。

記憶は年月とともに劣化して曖昧となり、そして本人の死とともに永遠に失われる。

だが、本人の身体から脱出しデジタル化されたライフログ・データは、ハードウェアの故障などがなければ、永遠に残される。しかも劣化もせずに。

それはつまり、僕達が細かいデータを記録すればするほど、僕達の人生がよりリアルに丸ごと、データとして記録されるということだ。

そしてそれは、僕達の存在を、よりリアルに客観化するデータとなる。

ゴードン・ベル氏の提言を実現するために現段階でまだ実現できていないことは、上述したライフログを包括的に一元管理できる「ライフロガー」アプリの普及であろう。

上で箇条書きにしたように現段階ではライフログはバラバラに収集されており、それを時系列に沿って俯瞰的に閲覧したり加工したりできるソフトウェアはまだ一般的にはなっていない。

僕が本書を読んで一番感銘を受けたのは、僕らがライフログを残すことによって、人類は将来、100年前、200年前に生きた、自らの祖先の生活を、詳細に知ることが出来るようになる。

そしてそれとともに、そこに生きた人間の足跡や想いは、たとえ本人が死んだとしても、データが残存している限り永遠に消えることはないという点だ。

赤の他人のライフログを詳細に閲覧したいと思う人はほとんどいないだろうが、実際には会ったことのない自分のひいおじいちゃんの肉声を、録音された音声ファイルで聞いたり、動き回る姿を動画ファイルで見たり、そしてどのような価値観を持ち、何を愛していたのかをブログなどのテキストで読むことができるというのは、とても素晴らしいことのように思える。

iPhoneのようなスマートフォン端末にGPSや動画撮影も可能なカメラ、マイクなどが搭載されたことで、これらライフログの収集は一気に夢物語から現実のものへと変化したと言える。

あと5年もすれば、本格的なライフログ編集アプリが登場し、僕らは僕ら自身の手で、自分の人生を簡単に振り返り、俯瞰できるようになるだろう。

とても楽しみだ。

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