先日の「日刊たち」に書いたとおり、ブログのスタイルを変更します。
書評に関しても、従来よりも大幅に文字数を減らして簡潔なスタイルにしていきます。
そしてその分数を多くしていきます。
たくさん本を読んでいるので、良い本をできるだけたくさん皆さんに紹介して、シェアしたいというのが意図です。
よろしくお願いします。
ソーシャル時代のハイブリッド読書術 by 倉下忠憲
今日紹介するのは、倉下忠憲さんの「ソーシャル時代のハイブリッド読書術」というご本。
倉下さんの著書は全部読んでいる。学者肌で論理的な部分と、小説家風の文体が融合した独特の存在感が好きだ。
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タイトルのとおり、読書術の本なのだが、ネットが普及し、電子書籍もやっと日本でも本格展開しはじめた現代の、進化した読書の姿を追求しているのがこの本の特徴だ。
「ハイブリッド読書術」って何だ?
本書の構成は、「そもそも何で本を読むのか」「本との出会い方」「本の読み方」「アウトプットの仕方」そして「新しい時代のソーシャル読書」という流れになっている。
「読書」というのは従来は一人で読むものだったし、読書という行為自体は今でも孤独な作業である(ここでいう「孤独」は悪い意味ではない)。
しかし、読書という行為に付随するさまざまな箇所に、ソーシャルメディアの恩恵を受けることが可能になってきている。
それを活用できれば、読書で得られるモノは、格段に大きくなるし、情報摂取のスピードも速くなる。
アナログとデジタル、個と集合体という組み合わせを駆使するのが、「ハイブリッド読書術」ということだろう。
ハイブリッドに本と出会う
当たり前のことだが、僕らは何らかの方法で、自分が読む本と出会っている。
20年前だったら、その方法はかなり限定されていた。新聞や雑誌の広告、雑誌の書評、書店で眺めて買う、友人・知人からの口コミなどだろうか。
しかし、今はそれら従来の方法に加えて、多くの可能性が開かれている。
このブログのように、書評ブログを通じての出会いもその典型だ。
20年前にはブログ自体が存在していなかったが、今ではおびただしい数の書評ブログが存在している。
自分の好みと近い人のフィルターを通して、自分が読む本と出会うことが可能だ。
ブログだけではない。FacebookやTwitterでは、フォローしている人や知人・友人が、自分が読んだ本を紹介していることが良くある。
それらの投稿を経由して本の存在を知り、購入に至るケースも非常に多くなっている。知人・友人というフィルターを通しているので、安心感があるのだ。
また、大きな変化として、著者が直接自分の本の宣伝・告知を行えるようになったことも挙げられる。
著者自身がブログやTwitter、Facebookなどを通じて、自分が本を出版したことを告知できるようになった。
これも20年前にはまったく考えられなかったことだが、今では「自分メディア」を持つことで、告知は簡単に行える。
そしてそれは「告知」にとどまらず、Amazonキャンペーンのような「宣伝」「営業」活動も、著者自身が行えるようになった。
読者は好きな著者のソーシャルメディアを購読することで、常に最新情報を著者本人から得ることができるようになった。
そしてもう一つ忘れてはならないのが、Amazonに象徴される、ネット巨大書店の存在だ。
現状僕は本の約半数をAmazonで購入し、残りの半分をリアル書店で購入している。
Amazonの最大の特徴は膨大な品揃えと、おすすめリストによる類書の自動表示である。
購入する本が決まっている場合、品切れが滅多にない膨大な在庫を誇るネット書店経由で購入すれば確実だ。
また、ある特定の分野に関する書籍を集中的に読みたい場合には、類書の表示がスムーズであるため、まとめ買いがしやすいメリットがある。
これらのネット活用の良さもある一方で、リアル書店の良さは失われていないというのが本書の意見だし、僕もそれには完全に同意である。
倉下さんはネット時代の書店の役割を「本と出会える場所」と定義している。これは本当にその通り。
読みたい本が具体的にハッキリしていない場合や、どんな本があるのか知りたい場合には、リアル書店で実際に手に取り、目次や表紙を眺めるのが確実だ。
さらに、リアル書店では、まったく予想もしていなかった本と突然出会い、運命的に引き寄せられることもある。
僕自身、1999年に出会った「ランニングで落ちる!あなたの体脂肪」という本がまさに運命の出会いだった。
時間潰しにたまたま訪れた書店でこの本を見つけたことが、僕の人生を大きく変えることになった。
というわけで、本との出会いの可能性はネットとソーシャルの発達で格段に容易になった。
あとは確実に良い本、自分と合う本と出会うことが大切で、その点についても倉下さんは「本の選び方7条」として以下を紹介している。
・自分のレベルに合わせる
・ベストセラーとの付き合い方
・できるだけ複数の視点を
・本から本へと渡り歩く
・一人の著者を通して読む
・「積ん読」を受け入れる
・時には冒険をしてみる
読書に不慣れな人は、一冊読んで終わりとなってしまうことが多いと思うが、「本から本に渡り歩く」や「一人の著者を通して読む」などを実践すると、読書レベルは確実に上がっていくと思う。
詳しくは本書を読んでみて欲しい。
ブログでソーシャルリーディング
読書で一番大切なことは何か。
それは「アウトプット」である。
たとえば読書術の本を読んだなら、本に書かれている有効そうなテクニックを自分で試してみることがアウトプット、要は「行動」になる。
タスク管理の本を読んだら、自分のタスク管理手法に採り入れて改善する。ランニングの本を読んだら、走ってみる。これが一番大切だ。
何もしなければ結果は変わらない。知識は増えるが行動を伴わない知識にはあまり意味がない。
そしてもう一つの「アウトプット」の形が、読書記録を残すことだ。
読書記録を残すことで、自分がその本から何を吸収したのかが体系的に理解できるようになる。
本書で倉下さんはEvernoteによる読書ノート作成法と、ブログに書評を書く方法を紹介している。
その中で僕は、特にブログに書評を書くことをオススメしたい。
「書評」というと敷居が高いと感じるならば、「読書ノート」や「書感」など、軽めの言葉を使ってもいいだろう。
ブログは人に見せるものである。
自分が本を読んでその内容を人に紹介するためには、その本の内容を理解していないと書くことができない。
一冊の本を「ただ何となく読んで、読み終わって終了」というのと、「読み終わったら本の内容を書評に書くぞ」と思いながら読むのでは、理解度に雲泥の差が出てくる。
僕自身ブログを初めて書評を書こうと思ったのは、アクセスをいただくというよりは、自分の中の思考整理という目的が強かった。
今回ブログを短くして頻度を上げようと思ったのも、こうしてアウトプットしようと思うと、読書の質が上がるからだ。
慣れないうちは、なかなかうまく書けずもどかしく感じるかもしれないが、誰でも最初は下手くそなのだ。
気にせず思うままに書けば良いと思う。
読書は人生を劇的に変える強力な武器だ
読書という行為は決して派手なことではない。
一人でじっと黙ってページをめくり、時々思索に耽る。そしてそこから知識を吸収し、自分の血肉へと変えていく。
読書を習慣的にしない人は、この行為の持つ破壊力を過小評価している。
僕自身サラリーマン時代の終盤、「人生を劇的に変えよう」と決意するまでは、ほとんど本を読んでいなかった。
読んでも年間数冊で、しかも軽い小説が中心で、ビジネス書はまったくと言っていいほど読んでいなかった。
でも「人生を劇的に変える」と決めて、ビジネス書や自己啓発書を乱読するうち、さまざまな著者が訴えかけるメッセージが、徐々に自分の血となり肉となることを感じた。
著者は何年も、何十年もかけて経験したことや、高度な専門知識を本に書いている。
僕ら読者は、それをわずか1,000円程度のお金で疑似体験することができる。
しかも、多くの本は、僕ら読者が読後に実行に移せるように、体系化されているので、著者が経験した失敗や試行錯誤を回避し、最短距離で進むことができる。
「人生を変えたい」と願う方は、是非読書をしていただきたいと、切に願う。
もし現状読書の習慣がなく、「どんな本を読んだらいいか分からない」という方は、まずはソーシャル時代の読書案内として、本書を手に取ってみてはいかがだろうか。
ネットとリアル、そして速読や熟読。紙の本と電子書籍。さまざまな組み合わせと可能性が現代の読書にはある。
その可能性が体感できる素敵な本だ。
オススメです(^-^)。
ソーシャル時代のハイブリッド読書術倉下 忠憲 シーアンドアール研究所 2013-03-26 売り上げランキング : 3269
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倉下忠憲さんの他の書籍の書評は以下にあります:
- 超実践的Evernote活用法! “EVERNOTE「超」仕事術” by 倉下忠憲
- もはやEvernote本ではない! 書評「Evernote「超」知的生産術」 by 倉下忠憲
- 自分を磨け! 書評「Facebook X Twitterで実践するセルフブランディング」 by 倉下忠憲
- アナログとデジタルの豊潤なる融合 「ハイブリッド発想術」
- クラウド時代に「手書き力」を武器にする方法
著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。