世の中には「親切な本」と「不親切な本」がある。
親切な本と出会おう
僕も年間200冊以上を読むようになり、その差が徐々に分かるようになってきた。
親切な本とは、一言でいえば、言うべきことを全部網羅的に書いていて、読者に与えようという「コントリビューション」の姿勢が見える本。
尊敬する勝間和代さんの本がその典型で、参考文献も多く、網羅的かつ的確で、読んで勉強になるし、実践できる形に落とし込んであるから、簡単に実行できる。
一方不親切な本は、「出し惜しみが激しい」本。自分が凄いということばかり書いて、肝心の部分は隠している。そして巻末に高額セミナーやDVD教材への誘導があってオシマイ。
要は「ここから先を知りたいならセミナーやDVDを買え」という本がその典型。
そういうのは「本」とは言わない。「宣材」というべきだ。
そこまでひどくなくても、不親切な本は世の中にたくさんある。そしてそういう本ではなく、できるだけ親切な本に出会いたいといつも願っている。
さて、今日紹介する鳥居祐一さんの「あなたの夢実現を加速させる「人脈塾」」は、非常に親切な本である。
あなたの夢実現を加速させる「人脈塾」
鳥居 祐一 角川学芸出版 2012-03-24
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一言で言うと、「え?そこまで書いちゃっていいの?」というスタイルで書かれている。
どういうことかというと、「ブランド人がブランド人になるための水面下でやっていること」と「ブランド人がブランド力を高めるためにこっそりやっていること」をどーんと書いているのだ。惜しげもなく。
水に浮かんでいる白鳥と一緒で、普通ブランド人の方達は、「僕は何にも努力なんかしなくても、才能でイケちゃってますよー」と涼しい顔をしていることが多い。
しかし白鳥は、水面下で必死に足ひれを動かして前に進んでいるのである。ブランド人もそれと一緒だ。
要は、きれいごとだけではなく、ホンネがたくさん書かれていて、非常に参考になる、ということ。
特に、鳥居さんのような、自分ブランドで活動されている方ご本人の言葉として語られている点が貴重だ。
早速紹介しよう。
ブランド人になろう!
本書のタイトルは「人脈塾」となっているが、この本に書いてあることを端的に表すと、「ソーシャル時代のブランド人の作り方」ということになるだろう。
人脈とは何のために作るか。それはもちろん人間一人では何もできないからだ。
そして僕自身、本を4冊出版したりして、多くの素晴らしい実績をあげられている方々とお会いするようになって分かったことがある。
それは、僕自身が会社員の頃に考えていた「人脈」と、ブランド人の方々が考えている「人脈」は、大きく質が違うということだ。
その違いを一言で言うならば、「ブランド人同士は、お互いの幸せと成功を本気で応援しつつ、正のスパイラルでお互いをどんどん高め合っている」ということ。
ブランド人の方々は、常に「相手に何をしてあげられるか」「何をすると相手は喜ぶか」「何が相手にとっての貢献になるか」を真剣に考えている。
そう、真剣にだ。
なぜなら、相手に送った「貢献という正の波動」が必ず自分に返ってきて、自分を幸せにしてくれると知っているからだと思う。
一方サラリーマン時代の僕は、人脈を「自分に有利なことをしてくれる力を持った人」と繋がっていること、ぐらいに思っていた。
営業をしていたので、大口のお客さんの責任者を知っていて紹介してくれる人、とか、自社にとって有利な情報を提供してくれる人、とか、そんなものだ。
でも、当時の僕の考え方には重大な問題があった。自分が相手に何をしてあげられるかを、まったく考えていなかったのだ。
彼は何のために自分に時間を割いてくれるのだろう、なぜ自分に有利になるよう計らってくれるのだろう。彼にとってその行為はどの程度の負担だったのだろう。
そういったことを僕はほとんど考えず、お礼に菓子折りくらいを渡してペコペコお礼をすれば、それでOKだと思っていた。
でも、独立して分かった。それは全然OKではない。とんでもなく失礼な行為だったということが。
鳥居さんは書いている。「活躍するステージがある程度一緒でないと、お互いのメリットは享受できません。だから軽はずみな紹介はできないし、するべきではないのです」。
これは本当にその通りで、人にはそれぞれのステージというものがある。
これは不思議と目に見えないものながらお互いに強く意識するものなのだ。
大きくステージが違うと、お互いがお互いに貢献し合えるスパイラルが起こせず、下の人から上の人に一方的に「お願い」というような形になってしまう。
僕はそういう場合には、「個人コンサル」というような形で、謝礼を支払ってお願いや相談をするべきだと考える。
自分のスタンダードを上げよう!
鳥居さんは「自分のスタンダードを上げよう」とも書いている。
スタンダードの上げ方の実践方法は本書を読んでいただきたいのだが、結局は「正しい方法での努力」を「最大限」に行い、さらに、「ブランディングでレバレッジをかける」ことだ。
正しいブランディングは自分の強みを正しく見せることだ。
多くの失敗ブランディングは、自分の強みを大げさに見せているために起こる。
底上げはすぐにバレるし長続きしない。そして底上げに気付いた人たちは失望し、その人から離れてしまう。まったくの逆効果だ。
正しい努力をしてブランディングを行い、自分のスタンダードを上げる。
僕自身の例で言えば、ブログがたくさんの方に読んでいただけるようになったということと、1年間に本を4冊出版したという事実が、僕のスタンダードを上げてくれたわけだ。
先日、あるパーティー会場で鳥居さんと約3年ぶりにお会いする機会を得た。
僕はもちろん鳥居さんを憶えていたが、鳥居さんは僕のことを憶えていなかった。
それも当然で、僕が前回鳥居さんにお会いしたのは、拙著「ノマドワーカーという生き方」にも書いた、2010年6月の出版セミナーの時だったのだ。
セミナーについてのブログはこちら↓。
セミナーには50人以上の人が参加していた。参加者には有名アナウンサーの方や大企業経営者の方、カリスマコンサルタントの方、既に著作を出版されている方などが多く、僕は超アウェイ状態だった。
アウェイというだけではない、先ほど書いた、「ステージ」が極端に低い人間として参加した形になった。
一方の鳥居さんは、このセミナーの主宰者である。著名な参加者の方の接待で多忙な鳥居さんに対して、僕は話しをする「内容」がなかった。
だから、鳥居さんと個人的な話しをすることもできなかったし、鳥居さんの記憶に残るような何かが当時はなかった。
だから鳥居さんの記憶に残らなくても当然なのだ。
でも今回は違った。僕は鳥居さんに自分から話しかけ、3年前に鳥居さんのセミナーを受け、自分も出版して自分ブランドで生きて行こうと決意したのだと自己紹介した。
そして、拙著「ノマドワーカーという生き方」で、鳥居さんと鳥居さんのセミナーについて紹介させていただいている旨説明させてもらい、後日ご献本させていただいた。
鳥居さんとはFacebookでお友達になっていただき、時折鳥居さんは僕の書き込みにコメントまでくださるようになった。
大変光栄なわけだが、客観的に言えば、僕が本を出版し、そこそこ売れ、その中で鳥居さんのセミナーが素晴らしかったと書いたことが、鳥居さんにとってコントリビューションになったからこそ、僕は鳥居さんのお友達の一人に加えていただけたわけだ。
自慢がしたくてこれを書いたのではない。「ステージが上がる」とはどういうことで、コントリビューションとは何なのか、その具体例を示したかったのだ。
自分のスタンダードをコツコツと上げていくことで、人脈もバージョンアップしていくのだ。
まとめ
今回普段あまり書かない僕自身の舞台裏みたいなことを書いたのは、鳥居さんのこのご本のスタンスに共鳴してのことだ。
自分が本を出してたくさんの新しい、そして素晴らしい友人(と呼ぶのは大変おこがましいが)ができた。
それらの新しい友人は、僕が階段を上って新しいフロアーに顔をのぞかせたら、「ようこそ!待ってたよ!」と手を伸ばして僕を引き上げてくれ、輪に加えてくれた。
そして僕は、彼らがお互いの幸福と成功を本気で願い、本気で応援し合っている姿を見て、心から感激し、感服したのだ。
彼らは決して群れない。普段は一人ひとり独立して自律的に働いている。
でもお互いのさらなる発展や幸せを大きな声で応援しているし、できる範囲でのアシストを惜しまない。
「これが本当の人脈の力か!」と驚いたことを良く憶えている。
「自分は本も出していないし自分を売込めるものが何もない」と嘆く必要はまったくない。
誰しも必ず強みは持っているもので、そこを磨く努力をしているかどうかの差があるだけだからだ。
これから「自分ブランド」で仕事をしていきたいと願う人は多いだろう。
ブランドは自分自身だ。
自分を磨けばブランド力は上がる。
そしてブランド力が上がれば人脈力もアップする。
雲の上にいる別ステージの人から名刺を貰って喜ぶのではなく、自分と同じステージの人と、一緒に階段を上っていこう。
自分のステージが上がれば、階上の人たちは、きっとあなたに手をさしのべて、引っぱり上げてくれるだろう。
その日に向けて、是非頑張って欲しい。
ブランド人としてのスタートには、この一冊は外せない。
是非読んでみてください。オススメです!( ´ ▽ ` )ノ
あなたの夢実現を加速させる「人脈塾」
鳥居 祐一 角川学芸出版 2012-03-24
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。