エッセイ書評

絶対音感のドレミちゃん by 広瀬香美 〜 音についてプロについて どストレートに語った素敵エッセイ [書評]

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広瀬香美さんの初エッセイ「絶対音感のドレミちゃん」を読んだのでご紹介しよう。

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広瀬香美さんといえば日本を代表するシンガーソング・ライターの一人だ。

シンガーソング・ライターというのは、自分で作詞作曲をして、歌も唄うわけで、特殊な能力を三つも持っていることになる。

しかも彼女が登場した時代はバブル期で,今よりもずっと「スター」の価値が高かった頃。

そんな時代に登場し、今までずっと音楽シーン、そして芸能界で活躍を続ける香美さん。

芸能人や歌手の方が書くエッセイというのは、それほど珍しいものではないかもしれない。

しかし、今日紹介する広瀬香美さんの初エッセイ「絶対音感のドレミちゃん」は、色んな意味で稀有な本だ。

どう稀有なのかは本文でご紹介したい。

そして、この本は読んでいてとても楽しい1冊。

さっそく紹介しよう。

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絶対音感のドレミちゃん?

このエッセイのタイトルは「絶対音感のドレミちゃん」だ。

タイトルだけ見て意味が分かった人はいないだろう。僕だって分からなかった。

世の中には絶対音感を持っている人というのは比較的たくさんいる。

実は僕も絶対音感は持っている。

しかし、広瀬香美さんの場合、ただの絶対音感保持者ではないのだ。

あまりに聴覚を徹底して鍛えすぎてしまったため、普通の人とは違う、さまざまな音階が聴こえてしまうのだ。

その一つが、すべての言葉のフレーズが音階で聴こえてしまうこと。

例えば人の名前。

「山本直子(やまもとなおこ)さんは」音階で「ドミミミミドドさん」となってしまう。

香美さんにとっては、「なおこちゃん」は「ミドドちゃん」なのだ。

そして、彼女の名前「ひろせこうみ」は音階にすると「ソミレドレミ」になる。

だから、ドレミちゃんなのだ。

絶対音感のドレミちゃんというのは、彼女自身のことだったのだ。

こんなことをいきなり書いているエッセイはなかなかない(笑)。

ちなみに僕の名前「タチバナタケシ」は「レファミレミレド」じゃないかと思う(自信はない(笑))。

僕は「ミレド君」になるんだろうか。

「スター」として生きること

この本ですごく面白かった部分。

それは、香美さんがデビューしヒットを次々と飛ばし、スターダムをのし上がっていく過程で、彼女がどんなことを感じ・考えていたのかが、とても率直に語られているところ。

そして、「スター」の苦労や辛いところ、そして香美さんの「スター引退宣言」のあたり。

僕ら一般の人は、スターが普段何を考えてどんな生活をしているのか、ほとんど何も知らない。

特に香美さんのようなシンガーソング・ライターが、何を考えどんなことに悩んでいるのかなんて、知る術がない。

飾らず率直に、どちらかといえば淡々と語られる過去のエピソードは、その口調故に、逆に「これは相当大変だったんだろうなあ」と考えさせられる。

香美さんは2006年に自分の中で「スター」を引退し、今は自分の意識の中では「普通の人」として音楽に関わっているのだという。

「スター」から、「普通の音楽家」に変化したわけだ。

普通の音楽に転身しても、精力的に音楽活動を続ける香美さんの一つの「悟り」の境地が描かれいて、それもとても興味深い。

本気で突っ走って振り切った人だけが到達できる境地。

そんな風に思えてならない。

4オクターブを出し続けるということ

香美さんといえば、高音が魅力だが、彼女は実際には4オクターブの声域を持っているという。

そして、この「4オクターブの声域」を維持することが、いかに大変なことなのかが吐露されている。

あと興味深いのが、僕ら普通の人が、声域を広げたいときに、どんなトレーニングをすれば良いのかが、かなり細かく説明されている。

プロになりたいわけではなくても、カラオケで自分が好きな曲の高音パートが出ない!という人は多いと思う(僕もそうだ)。

そんな方は、この本に書かれている香美さん直伝のボイストレーニングにチャレンジしてみてはどうだろうか。

さらに、香美さんはいま、「4オクターブ」の声域から、もう1音上の音に声域を広げるトレーニングをずっと続けているという。

そのトレーニングの愚直さ、大変さにも敬服させられてしまう。

ずっとバリバリ現役の人というのは、「「徹底的」を習慣化して淡々と、しかも楽しくやっている」というのを実感した瞬間であった。

日米デュアルライフ

香美さんは学生時代にアメリカ留学したことをきっかけに、ずっと日本とアメリカを往復するデュアルライフを送っている。

最近流行りの「ノマド」を20年以上に渡って続けているのだから、超最先端である。

だが、香美さんがアメリカと日本を往復している本当の理由を知って、僕は感動してしまった。

まさに愚直のお手本で、これこそプロなのだと感激した。

その理由についてはぜひ本書を読んでいただきたいのだが、「なるほどー」と唸ったまま、しばらく呆然としてしまった。

若いときの夢を諦め忘れてしまう人が多い中、今でも夢を実現するために突っ走り続ける。

それが絶対音感のドレミちゃんの原動力なのだ。

本当に素晴らしいことだし、見習わなければならない。

まとめ

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シンガーソング・ライターで、ミリオンセラーという金字塔を持つ大スター。

そしてデビューから20年以上経っても第一線で活躍し続ける、まさに女王。

それなのに、全然偉ぶらず、とてもフレンドリーで可愛らしくて、楽しい方。

そんな広瀬香美さんの魅力がたっぷり詰まった素敵なエッセイだった。

本の中に、一緒にいる人が「何調」か分かってしまう、頭の中でその人の和音が鳴ってしまう、というくだりがあった。

香美さんご自身は「変ホ長調」なのだそうだ。

果たして僕は何調なんだろう。

今度お会いしたらぜひ教えてもらおう(笑)。

楽しく素敵なエッセイでした!

絶対音感のドレミちゃん」、オススメです!

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更新履歴

2015年1月2日 オリジナルコンテンツを公開しました。

2020年7月13日 内容を最新にアップデートしてリニューアルしました。

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