エッセイ書評

マックスむらい、村井智建を語る。 — なんなんだ、この暑苦しい疾走感は!モリモリと湧き出すエネルギーが凄いぞ!! [書評]

エッセイ書評
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僕は日ごろあまりYouTubeは熱心には観ていない。だから最近流行りの「ユーチューバー」という方の動画も、あまり観る機会がない。

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そもそも僕はゲームというものをほとんどやらない。

iPhoneにはたくさんのアプリが入っているが、ゲームアプリは過去にRucKyGAMES氏作のゲームを2つ3つ落としたことがある程度だ。

そんな僕でも、マックスむらいというユーチューバ−が大人気で、チャンネル登録者が100万人を超えている、ということくらいは知っている。


 

そしてYouTubeもゲームもやらないけれど、僕はマックスむらいのことが大好きだ。

彼はユーチューバ−としての顔のほかに、会社経営者としての顔、そしてブロガーとしての顔、さらにはiPhoneマニアとしての顔も持っている。

詳しくは書かないが、僕はマックスむらいの、ユーチューバー以外の顔の方が詳しい。

僕にとって彼は、マックスむらいよりは、AppBankの「村井ちゃん」であり、ブロガー「エンポスさん(彼のTwitterアカウント @entrypostman からついたあだ名)」の方が呼びやすい。

そんな村井ちゃんが自伝を出したという。「マックスむらい、村井智建を語る。」である。

 

マックスむらい、村井智建を語る。マックスむらい KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-12-13
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若いのに自伝とは、とビックリしたが、読んでみたところ、かなり面白かった。

マックスむらいのファンには小中学生も多いと聞くが、そのせいか「まえがき」にこんな一文があって笑ってしまった。

「文字が多くて難しく感じるかもしれませんが、ちょっとだけがんばって、最後まで読んでもらえたらうれしいです」

書籍の前書きに、「文字が多くて」と書かれているのに初めて出会った。さすが村井ちゃん(笑)。

さっそく紹介しよう。

 

 

マックスむらい、村井智建を語る。 — なんなんだ、この暑苦しい疾走感は!モリモリと湧き出すエネルギーが凄いぞ!!

奥能登の牧場に生まれた元気な少年

のちのマックスむらいこと、村井少年は、石川県の能登半島にある穴水という町に生まれた。

実家は牧場を営んでいて、たくさんの牛に囲まれて育ったという。

この本では村井少年のさまざまなエピソードが書かれているが、読んでいて感じるのは、「ああ、両親や周囲の人たちに愛されて、すくすくと育ったんだな」ということ。

実際に会うと分かるのだが、マックスむらい氏は、絵に描いたような好青年である。

前に進む力がとても強く、人の悪口を言ったり嫌な顔をしたりということが全然ない。

見るからに自己肯定感が高く、何にでもニコニコ笑ってチャレンジしてしまいそうなオーラが出まくっているのである。

そのエネルギーというか、オーラの源は、能登半島の牧場での生活にあったか、と妙に納得してしまった。

後には実家の牧場が倒産したりと大変な思いもするようだが、幼少期に周囲に愛されて育った人は逆境に強いということを改めて実感させられた。

 

 

防衛大学校入学、そして。

高校では合唱部に所属したという村井ちゃん。

僕は村井ちゃんとカラオケに行ったことがあるのだが、確かに彼はむちゃくちゃ発声が良くて、姿勢良く大きな声で、そして上手に歌っていた。

そして東大を受験したが失敗し、防衛大学校に進学する。

全寮制で給料も出るという防衛大学校。そこできエピソードも何だかおかしくて笑えるので、ぜひ本書を読んでみてもらいたいのだが、彼は入学してわずか3ヵ月ちょっとで、入学した防衛大学校を退校してしまう。

その理由は、防衛大学校を卒業してから先に敷かれている「自衛隊幹部」というレールに、自分の未来を描けなかったからだという。

親に相談することもなく防衛大学校を退校した村井ちゃんは、ここからいよいよ「インターネット」と出会うことになる。

体育会系の「しごき」をゲーム感覚で楽しめてしまう「強さ」「しぶとさ」が彼の強みだと実感することが多いパート。

そして当時から、とにかく人を惹き付ける魅力を持った男だということが分かる。

人を惹き付ける力は、ネットでレバレッジがかかる。

そのことは、後で分かることなのだが。

 

 

ビジネスとの出会い、そしてiPhoneとの出会い

防衛大学校を退校した村井ちゃんは、全財産である段ボール箱一つを抱え、東京在住の友人宅に転がり込み、そこで仕事を探し始めた。

そして彼はネットベンチャー、ガイアックスという会社に入社し、猛烈に働き始める。

中学校時代バスケ部、高校時代は合唱部、そして防衛大学校と、体育会系の環境の中で育ってきた彼にとって、ベンチャーの過酷な労働環境も怖いものではなかった。

徐々に頭角を現わし、プロジェクトを任され、やがて執行役員にまで登り詰めた彼だが、組織化ができず、猛烈に働く彼に部下が着いて行けない状態になる。

朝から顧客のところへ飛び出していき、部下との打ち合わせは深夜1時〜3時というような日が続き、耐えられなくなった部下がどんどん辞めて行く状況になる。

ほとんど寝る時間もなく突っ走った日々だったが、ガイアックス社は業績が苦しくなり、彼は執行役員を降りることになる。

紆余曲折があり、彼はガイアックスの子会社の社長となり、そこで再び快進撃の日々に入るが、やがてそのビジネスを部下に任せ、自分は新しいビジネスを模索し始める。

そして、そのタイミングで登場したのが、iPhoneだった。

当時の村井ちゃんはWindowsユーザーでAppleのことはほとんど知らなかった。

しかし、iPhone 3Gの発売は話題になっており、発売日には行列が出来る騒ぎとなっていたため、表参道のソフトバンクショップまで行列の見物に行ったという。

行列にはネット関係者が多数並んでいて、それらの人たちと話をしているうちにiPhoneが欲しくなり、行列の最後尾に、後に一緒にAppBankを立ち上げることになる相棒宮下氏らとともに並び、iPhoneをゲットした。

そして、そこからAppBankの快進撃が始まり、そこからマックスむらいが生まれることになる。

僕が村井ちゃんを知ったのは、彼がAppBankを立ち上げたあとだから、当然このあたりのエピソードのことは知らなかった。。

運命を変えるiPhoneとの出会いは、実はとてもあっけないものだっのだ。

人の人生とは、そんなものかもしれない。

 

 

まとめ

この本を読んでいて一貫して感じることは、村井ちゃんが持つスピード感の凄さである。

「自分は即決したことしかない」と自分でも語っているが、物事を決める際に「迷ったり」「悩んだり」している状態がまったくないのだ。

即決して、決めたことについては全力でモリモリと進んでいく。

そのモリモリと進んでいく様子がすごく暑苦しい(笑)。

とくに、ガイアックスで執行役員となり、プロジェクトを引っ張っているときの彼の進みっぷりは非常に暑苦しいし、部下からしたら最悪の上司だっただろう。

でも、暑苦しくても、妙に清々しいのだ。疾走感があって、読んでいて気持ちがいいのだ。

きっとこの疾走感こそが、村井ちゃんを、AppBankを、そしてマックスむらいを多くの人が支持する理由なのではないだろうか。

一緒に走っているような気持ちになる。そしてもっと一緒に走りたいと感じる。

それが彼の大きな魅力なんだろう。

そう感じた。

この本は、AppBankが始まるところで終わっている。

ここから先の彼の人生がどんなものになるのかを、100万人以上の彼のファンとともに、生暖かく見守っていきたいと思う。

暑苦しくて爽やかという不思議な読後感を伴う素敵な本だった。

この疾走感、ちょっと癖になるかも。

 

 

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