習慣化コンサルタントの古川武士さん著、「なぜ、あなたは変われないのか?」を読んだのでご紹介。
古川さんといえば、習慣化のスペシャリストだが、この本は、習慣の本ではあるが、ちょっと今までの古川さんのご著書とは経路が違う。
本書は「ビリーフ」、つまり「否定的な信じ込み」、「思い込み」について取り扱った本である。
ビリーフとは何か、ビリーフにはどんなものがあるのか、そしてビリーフが僕たちに与えるさまざまな悪影響について、分かりやすく解説されている。
そして、ここが習慣化コンサルタントの古川さんの真骨頂だが、自分の中にあるビリーフを解放するための習慣作りのプロセスも網羅されている。
ビリーフといえば、僕も長く岡部明美さんのLPL養成講座などで解放に向けて取り組んできたので、とても興味深く読ませていただいた。
さっそく紹介しよう。
なぜ、あなたは変われないのか? by 古川武士 〜 ビリーフを解放して無敵の自分に戻ろう!!
なぜ同じセミナーを受けても変われる人と変われない人がいるのか
僕はブログセミナーなど、多くのセミナーを開催している。
セミナーには様々な人が参加してくださるが、毎回セミナーに来てくれるのに、まったく行動に移さない人と、一度セミナーに来て、すぐに行動を起こす人がいることに気づいた。
僕は以前からその違いが気にかかっていた。
「やる気の問題?」「意志の強さ?」「僕の伝え方が悪い?」
さまざまな理由を考えたが、どうもしっくり来なかった。
たとえば「ブログ入門セミナー」を開催して、まだブログをやっていない人が二人参加してくれたとしよう。
二人ともまだブログを開設していないのだから、「能力」の差はないし、「経験」だって二人ともまだない。
それなのに、一人の人は、帰宅後すぐにブログを開設して楽しそうに投稿しているのに対し、もう一人の人は、ブログを開設することもしない。
どうしてこういう差が出てくるのだろうか。
この問いの答えが、心理学を学ぶようになって分かるようになった。
「変わりたいのに変われない」「やりたいのにやれない」「止めたいのに止められない」。
これらの、「したいのにてきない」という悩みの正体は、心の奥底に潜んでいる、「ビリーフ」の問題だったのだ。
ビリーフとは何か
「ビリーフ」というのは、ひとことでいうと、「無意識の信じ込み、思い込み」のことを言う。
「無意識」というところが肝で、意識していないので、本人がそのビリーフを信じている、ということを理解できていないことがポイントだ。
ビリーフには、ポジティブなものもネガティブなものもあるが、僕たちが「変わりたいのに変われない」という状況を作りだすのは、ほとんどすべてがネガティブなビリーフである。
ビリーフにはさまざまなものがある。
古川さんの分類によると、ビリーフは7種類だ。
・自分への認識:「私は○○な人間だ」「私は○○できない人間だ」
・他者への認識:「人は○○なものだ」「人は○○するものだ」
・世の中への認識:「世の中は○○だ」「世界は○○に向かっている」
・理想ルール:「○○であるべきだ」「○○するべきだ」
・禁止ルール:「○○してはいけない」「○○すべきではない」
・拡大解釈の法則:「○○は○○だ」例:「金持ちは悪いことをしている」「美人は性格が悪い」
・原因と結果の法則:「○○すると○○になる」例:「努力は必ず報われる」「お金があると心を失う」
恐らく世の中には「まったくビリーフがない人」というのは存在しないだろう。
なぜならこれらのビリーフは、世の中を見るときの一人ひとりの「認識」だからだ。
脳は、あるがままの世界を、そのまま捉えることはしない。
たとえば「世界」というのは、あるがままには、ただそこに存在しているだけだ。
これを古川さんは「一次世界」と呼んでいる。
私たちが世界を見る時には、一次世界を一人ひとり個別の、独自のフィルターを通して捉える。
ある人は、「世界はとても楽しく愉快な場所だ」と捉えるかもしれない。
別の人は、「世界は危険に満ちた場所だ」と捉える。
この、人それぞれのフィルターを通した世界を「二次世界」と古川さんは名付けている。
二次世界は世界中の人、それぞれ一人ずつ違うものだ。
同じできごとを「楽しい」と捉える人もいれば「つまらない」という人もいる。
僕たちが見ている世界は「現実」ではなく、実は「独自の二次世界」なのだ。
ビリーフに現実が吸い寄せられる
さて、ネガティブなビリーフを持って生きていると、何が問題なのか。
それは、「ビリーフで信じているとおりの人生を生きてしまうこと」だ。
上に書いたとおり、僕たちは世界を一人ひとり独自のフィルターを通して見ている。
仕事でも家庭内のことでも、僕たちはすべて自分の価値観、世界観というフィルターを通した「二次世界」を見ている。
ところがその価値観がビリーフに基づいたものだとすると、そのビリーフによってフィルターが歪められてしまっているのだ。
たとえば、「仕事が少ない人は評価されない」というビリーフを持っている人は、とにかく仕事をたくさんこなそうとして、常に多忙になる。
「男は浮気をするものだ」というビリーフを抱えている女性は、わざわざ浮気性の男性を選んで付き合ってしまう。
古川さんは以下のように書いている。
「わざわざ自分のビリーフを証明するような人と付き合い、そして辛い思いをするのです。「浮気しない誠実な人とつき合いたい」と言っても、そういう人には魅力を感じないのです。ビリーフが愛する人を選んでいる、とも言えます」
性善説を信じている社長が経営する会社には、誠実な社員が集まりそれが社風となり、さらに良い社員を招き寄せる。
いっぽう、性悪説を信じている社長の会社には、怠け者で不正をする人が集まるため、厳格な賞罰でマネジメントされ、社員は疑心暗鬼になり、さらに造反や不正を招いてしまう。
僕たちはビリーフで信じ込んでいる世界を生きる。
そのときに問題となるのが、ネガティブなビリーフを信じ込んでしまっていると、ネガティブな人生を、望んでいないのに、生き続けてしまうということだ。
「私には力がない」というビリーフを強く信じ込んでいる人は、自分が持っている本当の力を発揮することができない。
なぜなら、その人が力を発揮してしまったら、世界の仕組みが壊れてしまうからだ。
ビリーフは、持っていることに気づくことがなかなかできない。
それなのに、ビリーフがあると、そのビリーフの通りに生きてしまうのだ。
ビリーフを知って解放しよう
ネガティブなビリーフは、幼少期のできごとによって形成されることが多く、潜在意識に潜んでいるため、自覚することが難しい。
裏を返すと、「自分はこんなビリーフを持っていたのだ」と自覚することができると、ビリーフはすでに解体に限りなく近づいていると言える。
ビリーフ解体の手順は、大きく分類して以下のようになる。
・ビリーフに気づく
・ビリーフの存在を認めて呆れる
・ビリーフのメリットとデメリットを自覚する
・もうビリーフはいらない、と決める
・ビリーフを手放す
本書で古川さんは、1日5分の感情日記を書く習慣を作ることで、感情の裏に潜むビリーフに「気づく」ことを突破口にし、ネガティブなビリーフをポジティブなものに置き換えるプロセスを提唱している。
ビリーフは「気づく」が一番大変なプロセスだ。
なぜなら,僕を含むほとんどの人が、ビリーフを「思い込んでいる状態」ではなく、「事実だ」と信じ込んでいるからだ。
「夜の六本木は危険だ」と信じている人は、「あなたはそう思っているんですね?」と訊かれたら、きっとこう答えるだろう。
「『思っている』んじゃない、それが事実だ」と。
しかし、六本木で遊び慣れていて、ちっとも怖いと思っていない人は、「夜の六本木は安全だ」と思っている。
その人に、「六本木が安全だと思っているんですね?」と訊いてみよう。
きっと、「いやいや、危険だなんてことはないよ。安全なのが事実でしょ」と答えるだろう。
夜の街の定義程度なら大した話ではないが、これが「僕は無能だ」とか「仕事とは辛く苦しいものだ」というような思い込みの場合はどうだろう。
本来歩くべきまっすぐな道を外れ、ビリーフに囚われて歪められた人生を歩んでしまう可能性が高くなる。
だからこそ、感情日記を毎日書いて、自分の「感じ癖」を見つけ、その裏にどんなビリーフが隠れているかを見つけることが、とても大切になる。
まとめ
本書では、後半半分を割いて、具体例をあげつつ、人にはどのようなビリーフがあって、それによってどのような制限がかえっているのか、さらには、そのビリーフの置き換えの仕方までを解説している。
ビリーフと向き合うことは、自分の否定的な側面を深堀りすることになるので、辛くて苦しい作業になることもある。
だが、一度自分のビリーフに気づき、その存在を認めれば、あとはもう解放は目の前である。
ネガティブなビリーフをなくし、ポジティブなビリーフに置き換えていくことで、人生の可能性は無限大に広がっていく。
「自分には悪い思い込みがありそうだ」という人はもちろん、「僕なんて全然ないよ」という人も、人生が思い通りになっていない感覚があるなら、ぜひ一読されてはいかがだろうか。
ビリーフに正面から取り組まれた力作!オススメです!!
なぜ、あなたは変われないのか? のチェックはこちらから!!
古川武士さんの著作の書評はこちらにも!もう1記事いかが?
著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。