昨夜行われたサッカーワールドカップの日本対ポーランド戦。
0-1で敗れたが、同じグループのセネガルと勝ち点、得失点差、総得点もすべて並んだ。
そして警告数の差であるフェアプレーポイントの差で2点セネガルを上回った結果、日本は2大会ぶりの決勝トーナメント進出が決まった。
この試合に関して、たくさんの批判が出ている。
批判のポイントは2つ。
一つは、先発から主力メンバーを6人入れ替え、控えメンバーで戦ったこと。
そしてもう一つは、後半の最後の10分を、0-1で負けているにも関わらず、パス回しをして攻めず、そのまま試合終了となったこと。
でも僕は、この試合は西野監督の、非常に高度な戦略、そしてそれを実行に移す大胆さが現れた、凄い試合だったと思う。
もちろんポーランドに3-0とかで勝って、スカッと爽やかに決勝トーナメントに進めたら、それが最高だっただろう。
でも、西野監督にとって、ポーランド戦に快勝することは、決して最優先の課題ではなかった。
西野監督にとっての最優先課題は、「決勝トーナメントに進出する」だけではなく、「主力メンバーがベストのコンディションで決勝トーナメントのピッチに立つこと」だ。
つまり、「決勝トーナメント初戦の勝利の確率を1%でも高くすること」が、西野監督がポーランド戦で最優先課題に掲げたテーマだったと僕は思う。
気温35度という過酷なコンディションのなか、連戦の疲れが溜まる主力メンバーを6人休ませてでも、決勝トーナメントに進める。
西野監督はその賭けに出て、そして勝ったわけだ。
しかも相手は今大会不調とはいえ、FIFAランキング8位のポーランド。
西野監督にとって、シナリオは以下の順位だったと想像する。
- 控えメンバーが活躍してポーランドに快勝して決勝T進出
- ポーランドと引き分けて決勝T進出
- ポーランドに負けても決勝T進出
- ポーランドに負けてグループリーグ敗退
もちろん4の選択肢は絶対に避けなければならないわけだ。
そして、「ポーランド戦に快勝する」ことよりも、「決勝Tに勝ち上がる」ことの方が大事だし、さらに大事なのは、勝ち上がったあとの、トーナメントでどう戦うか。
すでにグループ敗退が決まっているポーランド相手に全力で闘うことを避け、控えメンバーで闘ってでもトーナメントに進める可能性に賭けた。
だから、最後の10分のパス回しにしても、昨日のメンバーの実力からして、攻めに行ったらポーランドにカウンターで攻められ、逆に失点する可能性が高いと判断し、敢えて攻めなかった(実際後半に日本は点を取りに行った結果カウンターで失点した)。
別会場で同時に行われていたコロンビアとセネガルの試合で、コロンビアが先制したからこそ取れた戦術で、大胆な賭けだったわけだが、西野監督はその賭けに勝ったのだ。
先発から大迫も香川も乾も本田も長谷部も抜いた時点で、西野監督はポーランド戦を見ているのではなく、決勝トーナメント初戦を見ていた。
「6人抜いても勝ち残れる」というのは、「ポーランド戦に勝つ」ではなく、「決勝トーナメント初戦に最高のコンディションのベストメンバーで立つ」ことを意味する。
それはすなわち、「まだ一度も決勝トーナメントで勝ったことがない日本が、最初の勝利を本気で目指している」ことを内外に強くアピールした結果である。
ポーランド戦の結果は、西野監督の戦略の前半半分の結果だ。
西野監督の戦略の全貌が明らかになるのは、ベルギー戦の試合が終わったとき。
そう思うと、日本代表は西野監督を批判するなんて、とんでもないことで、今こそ西野監督の戦略と勇気、そしてそれを全力で実行した日本代表メンバーに、最敬礼と称賛の声を届けたい。
頑張れ日本!!
著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。