あなたが誰かから悩みを相談されたとき、相談を受けるときに「アドバイス」「指導」よりもずっと大切なことがある。
僕、立花岳志はブロガーでもあるが、カウンセラー、そしてコンサルタントとしての仕事もしている。
カウンセラーやコンサルタントというのは、人の悩みの相談に乗るのが仕事である。
知らない人は、「さぞかしビシバシと明確なアドバイスをするんでしょうね」と思うかもしれないが、実は逆なの。
アドバイスや指導よりも、もっとずっと大切なことがある。
相談を受けるとき、やってはいけないこととは?
誰でも、自分がやっていること、やろうとしていることに自信があるときは、悩まないでスイスイと進んでいくもの。
でも、自分ではどうして良いか分からないことが起こったとき、僕たちは誰かのアドバイスが欲しくて、人に相談するのだ。
そう、僕たちはアドバイスが欲しくて人に相談する。
でも、そのときに、とっても大切なことがある。
人が他人に相談をしたいとき、その人は思考がネガティブになっていたり、精神的に弱っていたりして、心の健全度が下がっていることが多い。
相談したい内容がネガティブなことだったり、弱気なことだったりしたなら、なおさらだ。
そんなとき、もしあなたが相談を受ける側だったなら、やってはいけないことがある。
やってはいけないこととは、「アドバイス」、「正論を説く」、「指導する」、さらには「説教する」である。
アドバイスが欲しくて相談に来た人にアドバイスをしてはいけない?どういうこと?
そう思うかもしれないが、ここがとても大切なところ。
アドバイスの前に必要なのは「共感」「受容」である
あなたに相談に来ている人は、あなたに「共感して欲しくて」相談に来ているのだ。
「そうなんだね」
「大変なんだね」
「疲れてるんだね」
「もう無理って感じるんだね」
あなたにアドバイスを求めに来る彼ら、彼女らは、アドバイスや指導の前に、まずはあなたに理解してもらいたがっている。寄り添ってもらいたがっている。
「指導」の前に「受容」を。
「アドバイス」の前に「共感」を。
相手の言葉を受け入れ受容する言葉、共感する態度こそが一番最初に必要なもの。
どんなにあなたが言っていることが正しかったとしても、相手の言葉を遮っていきなり正論をアドバイスしても本人には届かない。
そればかりか、話を遮られたら相談している人は「この人は話を聴いてくれない」「私のことを受け入れてくれていない」と判断し、ガッカリし、心を閉ざしてしまう。
せっかくあなたが正しいことを言っているのに、あなたのアドバイスは相手の心に届かないばかりか、あなたは「聴いてくれない人」のレッテルを貼られ、ときとして嫌われてしまう。
人から相談を受けたなら、アドバイスが的確か、あなたの意見が正しいかどうかよりも、遥かに大切なことがある。
それは、「共感」して、相談している人に「寄り添い続ける」こと。
相手の話を最後までしっかり聴き、相づちを打ち、うなずき、共感すること。
たとえ相談者とあなたの意見が合わないとしても、遮って主張したりせず、ちゃんと相手の話を受け止めて、聴き続けること。
「ちゃんと聴いてるよ」
「あなたのことを理解しようと務めているよ」
「どんな状態でもあなたに寄り添っているよ」
この安心感が欲しくて、人はあなたに相談をしている。
だから、その安心感を与えてあげることができれば、相談しにきた人は安心するし、あなたに対して心を開くだろう。
心を開いてお互いが信頼関係を構築したあとで、相談者に提案する形でアドバイスや指導をして、その人が抱えている問題が解決したら最高だ。
でも、たとえ相談者が抱えている問題が解決しなくてもいい、くらいに僕は思っている。
「共感なき解決」では人は救われない
「共感なき解決」では人は救われない。
いっぽう「解決なき共感」」は、相談する人の心に響き、その結果事態が改善する可能性は高い。
僕がカウンセラーのお仕事で、非常に大事にしていることがこれ。
「一心不乱に、ただ聴き続けること」。
90分のセッション枠で、長いときは80分以上聴き続けることもある。
クライアントがそれを強く求めているとき、中断して話を割り込ませても、良いことは何もない。
そして、80分聴き続けたからこそ、残りの10分で劇的に悩みや辛い状況が解放されたことも多々ある。
慣れていない人、特に男性は「相談に乗る」というと、即「一瞬で解決しなきゃ」「的確なアドバイスを与えなきゃ」と気負ってしまうことが多い。
そして、相手の話を遮って喋らせず、長々とアドバイスをして、やがてそれが説教になってしまったりする。
そうすると、相談に来た人は「この人は話を聴いてくれない」とガッカリして、あなたには、もう相談には来なくなってしまう。
つまり、あなたは嫌われてしまうのだ。
しかも、残念なことに、相談された側であるあなたは「あなたが話を聴かなかったたために相手をガッカリさせている」という自覚すらなかったりする。
特に男性はどうしてもロジカルに、合理的に考えるように社会でたたき込まれてしまうため、「解決してナンボ」と短絡的に考えがちだ。
でも、男女問わず、悩んでいて相談したい人は、「解決」がという「結果」が欲しいのではない。
共感により、言葉の奥にある「本当に言いたかったこと」に初めて気付く
自分の言葉を相手に伝え、
それが相手に伝わり、
相手に言葉が正しく伝わったことを共感されていることで感じ、
それにより心が開き、
心が開くことでさらに奥にある「本当に言いたかったこと」の存在に気づき、
相手がさらに寄り添ってくれていることを確認できることで、
「本当に言いたかったこと」が言え、
本当に言いたかったことを相手が受け入れてくれたときに、
心から感謝して、満足する。
これは、「結果」ではなく、「寄り添い続ける」という「プロセス」なのだ。
解決策なんか提示しなくていい。
解決策は、実は相談しに来た人が、全部自分の心の中にもともと持っている。
でも、いろんな理由で、その解決策には辿り着けない自分がいて、
だからこそ、モヤモヤしてざわざわしてイライラして、
あなたのところに相談に来ている。
相談を受けるときに必要なのは「一心不乱に聴く姿勢」
だからこそ、あなたがするべきことは、
「ばっさり明確なアドバイス」でも
「一瞬で問題がすべて解決する方法」でもなく、
どこまででも、
いつまででも、
聴き続けるよ、
大丈夫だよ、
私には何をいっても平気だよ、
という、「一心不乱に聴く姿勢」だ。
「解決すること」よりも、「寄り添うこと」。
人の相談に乗るときは、これが一番大事なこと。
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。