一昨年から始めたこの「読書記録」、やってみると結構楽しいものです。一昨年は48冊の本を、去年は111冊の本を読みました。今年99年は、150冊の本を読むことを目標に、楽しく本を読み続けたいと思います。
97年の読書記録 98年の読書記録
99063 「町で一番の美女」 チャールズ・ブコウスキー 新潮文庫
読み始め 991116 読了 991119
コメント:△
SFあり、私小説あり、ポルノまがいあり、エッセイありと盛りだくさんの短編集。
短編と言っても、ほとんどショートショートとも言えるぐらい短いものも多く、その品質も作品によってかなりのばらつきがある。
中には驚くほどかっこいい作品もあるにはあるのだが、全体としてのまとまりがほとんどなく、また幼児強姦のような話題の作品などは、読んでいてかなりの不快感が募る。総合的には前に読んだ「詩人と女達」の方がはるかによかった。
99062 「老人と海」 アーネスト・ヘミングウェイ 新潮文庫読み始め 991114 読了 991115
コメント:◎
すごく好き。
ヘミングウェイという作家に関しての予備知識は、テレビやら学校の授業やらでそれなりにあった(英文学科だったので)。で、その結果として、僕はこの歳になるまで彼の本は一度も手に取ることをしなかった。
今回この「老人と海」を手に取ったのも、ほんの気紛れ程度のことで、ヘミングウェイの文庫の中で、一番薄いものを選んだに過ぎなかった。
でも、読み始めてすぐに僕はすでにすっかりこの小説の世界に引き込まれてしまっていた。
訳者の福田恆存氏は巻末の解説で僕と同じ感想を述べていて面白かった。こんなにいいとは思わなかった、と。
99061 「地下街の人びと」 ジャック・ケルアック 新潮文庫読み始め 991110 読了 991113
コメント:○
遅ればせながらようやく読了。というのも、この小説、半年ほど前に一度挑戦して、途中で読むのを止めてしまっていたから。
前回途中まで読んだときは、どうもいまいちケルアックの文体に馴染むことができず、すぐに退屈になってしまったのだが、今回はうまく波に乗れた。
で、何かに似ているなあと思いつつ読み続け、巻末の解説を読んで納得。ジョイスの「ユリシーズ」に文体が似ているのだ。この作品は「ユリシーズ」よりも大分軽薄に作られているせいで、ジョイスの「意識の流れ」の手法をケルアックが真似ているのだということにはちっとも気づかなかった。
なるほど、電車の中ではなかなか集中しにくい小説なはずだ、と後から納得。
99060 「tiny, tiny」 濱田 順子 「文藝」1999年冬号読み始め 991108 読了 991109
コメント:△
第36回文藝賞受賞作品。
確かに爽やかな語り口も悪くないし、テンポもいいのだが、内容がない。内容がないというのはちょっと酷すぎるかもしれないが、あまりにもつるりとしてしまっていて、キャラクターの人格にひだのようなものが感じられない。
これは、この作品に限らず、最近の「文藝賞」絡みの、いわゆる「J文学」系の作品に共通している問題のように思う。
軽く爽やかに、というコンセプトは確かに有効なものではあるとは思うが、あまり続けると、新鮮さは失われてしまい、陳腐さだけが目立つようになる。
99059 「錦繍」 宮本 輝 新潮文庫読み始め 991104 読了 991105
コメント:○
最近ちょっと評価を辛めにしている。なんでもかんでも◎ばかりだと、読んでくれてる人達にも参考にならないし、僕としても書いていてめりはりがないから。
この小説、ちょっと昔懐かしい「書簡形式」である。要するに、二人の人間の手紙のやりとりの文面だけで構成されている小説、ということ。
僕はこの小説、かなり好き。書簡形式ということもあって、感情表現にもかなり抑えが効いていて、ちょっとオーバープロデュース気味になりやすい宮本輝の小説をキュッと締めている感じ。
ただ残念なのは、悪役で登場する人物が、あまりにも絵に描いたような悪役であること。まあこれは、この作品に限ったことではなく、宮本輝の小説全般に言えることなんだけどね。
99058 「グレート・ギャツビー」 フィッツジェラルド 新潮文庫読み始め 991101 読了 991103
コメント:△
1920年代のアメリカ東部、禁酒法時代に酒の密売で成り上がった大富豪の哀しみを描いた作品。
うーん、まあきらびやかであり哀愁もあり、確かに悪くない部分もあるのだが、どうも後半のつめがなあ。村上春樹が大好きな作品ということで期待していたのだが、もう一歩、という感じ。
99057 「ねじまき鳥クロニクル」 全3巻 村上 春樹 新潮文庫読み始め 991016 読了 991029
コメント:◎◎◎
二度目の再読。
今回再読して、僕は(もちろん僕が個人的にということだけれども)、現代日本文学においての最高傑作がこの「ねじまき鳥クロニクル」だろうと結論した。
一つ一つのイベントの関連性、超自然的なものごとの位置づけ、扱っているテーマの荘重さと、飾らない平易な文章。壮大な愛の物語は、「愛」という言葉をほとんど用いることなく、ぐるぐると回転を続けながら僕を引き込んでいく。こんな作品、とても今の僕には書けない、と脱帽したくなる、数少ない作品。
99056 「草原の椅子」 上、下巻 宮本 輝 毎日新聞社読み始め 991008 読了 991015
コメント:◎◎
うーむ。
なんでこの人は、こんなに綺麗な物語ばかりを量産できるんだろう。量産してるくせに、ちゃんと毎回違うし。まさに天才なんだろう、と唸らされてしまう。
特にこの作品は、主人公が50才台の男ということと、バブル崩壊後の停滞感に満ちた社会という舞台が、物凄く有効に扱われていて、今までの宮本輝の作品から、また更に一歩進化してしまったという感じ。
後半若干息切れ気味かな、というのが唯一残念だったところ。
99055 「限りなく透明に近いブルー」 村上 龍 講談社文庫読み始め 991003 読了 991005
コメント:○
作業に向けてのテクストとして再読。
99054 「今夜すべてのバーで」 中島 らも 講談社文庫読み始め 990930 読了 991002
コメント:○
作者の実体験に基づいた、強度のアルコール依存症患者の闘病の日々を綴った小説。
連続飲酒によってどのように人間の肉体や精神が破壊されされていくか、地獄のような禁断症状はどのようなものか、などリアルな説明と分かりやすい文体で綴られていて、ものすごく良く出来たストーリーだと思う。
「10年という期間で見れば、アルコールはヘロインやコカインよりも毒性の強い薬物である」という言葉、身の毛がよだつほど怖かった。
99053 「僕は勉強ができない」 山田 泳美 新潮文庫読み始め 990929 読了 990929
コメント:◎
いやー、良かった。思っていたよりずっと良かった。
山田泳美は、すごくいいなーと思うときと、うわー勘弁してよ、という時がかなり作品によりはっきり出てしまう。彼女の自意識が作品の中にハッキリと反映されればされるほど、僕はしり込みをしてしまう傾向があるように思う。
この作品は、主人公が男の子に設定されているせいか、ものすごく爽やかで豪快で、まるで村上龍の「69」を読んでいるみたいだった。
まあ、学生時代を懐古するような作風だったから、今後似たような題材で別の作品というのは難しいと思うけれども、久々に気持ちがよくなる小説だった。大満足。
99052 「風の歌を聴け」 村上 春樹 講談社文庫読み始め 990928 読了 990928
コメント:◎
再読。
ヤケに気取っていてわざとらしいくらいにサクサクと切れ味のいい(若干良すぎる)文章が好きで何度も読んでいる。
何となく、原風景的な作品。僕にとっては。
99051 「回転木馬のデッドヒート」 村上 春樹 講談社文庫読み始め 990927 読了 990927
コメント:◎
再読。
村上春樹の作品群の中では、かなり地味な部類にはいると思われるこの短編集だが、僕は個人的に非常に気に入っている。特に「プールサイド」が大好きで、読み始めると何だか分からないままニコニコしてしまう。基本的に、青年期を過ぎて、成熟期へと入りつつある男の話、というのが僕はすごく好きみたいだ。村上龍の「テニスボーイの憂鬱」も同じ理由ですごく好き。
それにしても、今月これでまだ3冊目か。あまりにもペースが遅すぎだな。もうちょっと気合いを入れて本を読もう。
99050 「ノルウェイの森」 上、下巻 村上 春樹 講談社文庫読み始め 990916 読了 990926
コメント:◎
再読。
この2年ぐらいの間に、10回ぐらい読んでるよな、きっと。決して村上春樹のベスト的な小説ではないんだけど、何かが僕にこの作品を読むことを求めるのだ。なんなんだろう、それは。
99049 「罪と罰」 全3巻 ドストイェフスキー 岩波文庫読み始め 990825 読了 990914
コメント:◎
再読。
13年ぶりの再読。
いやー、やはりこれは名作でしょう。10年以上読んでなかったけど、やっぱりいつ読んでもすごく新鮮で、ばたばたもしていながらもすごく奥深くて、なんとも言えないすごいエネルギーを放っていると思う。
それにしても、ロシア文学は、登場人物の名前を憶えるのが大変だ。
99048 「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」 上、下巻 村上 春樹 新潮文庫読み始め 990818 読了 990822
コメント:◎
再読。
実に久し振りの再読。何かしら、非日常的なことがある時に読み返そうと思い、ずっと再読せずに我慢していた作品。今回、南の島への旅行に持って出た。
やっぱりすごく完成度が高い。純粋に「物語」として楽しめて、僕はすごく好き。
99047 「テニスボーイの憂鬱」 村上 龍 幻冬舎文庫読み始め 990812 読了 990817
コメント:○
再読。
前述の「メランコリア」のところに書いたとおり。個人的にはすごく好きな小説。
99046 「メランコリア」 村上 龍 集英社読み始め 990810 読了 990811
コメント:◎
村上龍の小説には、名作と駄作ともう一つ、「名作じゃないけどすごくいい感じ」という三つのジャンルがあるように感じている。
名作はもちろん「限りなく透明に近いブルー」、「コインロッカーベイビーズ」、「愛と幻想のファシズム」ということになるし、一方の駄作は、「昭和歌謡大全集」とか「音楽の海岸」とかまあそのへん。で、名作じゃないけどすごくいい感じというのが、まさにこの「メランコリア」や、「テニスボーイの憂鬱」、「コックサッカーブルース」あたりじゃないかと思う。
この「メランコリア」という小説は、「エクスタシー」の続編という形で書かれているが、「エクスタシー」よりも数倍密度があり、スピード感もあり、かなりいい線いってるように思う。
村上龍はどうしても手を抜くとすぐ全体主義的な方向に話を持っていきがちなのだが、この小説は徹底的にプライベートな感じがして、僕はすごく好き。
99045 「道頓堀川」 宮本 輝 角川文庫読み始め 990805 読了 990809
コメント:◎
どうしてこの人は、こんなにキャラクターをしっとりと上手に設定して、それをそれぞれ生き生きと描くことができるのだろう。
作者のエゴとか主張とかはこっそりひっそりと作品の裏側に置いておいて、淡々と流れる物語の美しさは、本当に物凄い。若い主人公「邦彦」のおどおどした女性に対しての接し方なんて、本当に「そうそうそうそう」と頷いてしまうほど。
まだまだ未読の小説が山ほどある作家なので、次を読むのがとても楽しみだ。
99044 「百鬼夜行―陰」 京極 夏彦 講談社読み始め 990803 読了 990804
コメント:△
これはハッキリ言ってガッカリでしょう。
確かに、今まで彼が書いた小説の、裏をとる、陰に光をあてるという意味ではその通りの本なんだけど、じゃあ、光があたったからどうなったんだ、と考えると、何にもない。帰って後から補足するみたいに過去の話にあれこれくっつけている姿を見ると、何となく、京極はもう終わってしまったのだろうか、みたいな気分にもなる。
断片を集めたものではなく、息を潜めて読んでしまうような、凄い小説を彼には期待しているんだから。
99043 「うずまき猫のみつけかた」 村上 春樹 新潮文庫読み始め 990802 読了 990803
コメント:○
大難産だった「宙返り」の後だったせいもあって、思い切り気持ち良く、スイスイとぶっ飛ばして読めた。
村上春樹のエッセイには、いつも独特のうねりがある。彼の文体自体は日本人でも随一と思えるぐらいの平易さなのだが、その中にしっかりうねりがある。でも文章はすごく平易ですいすい読める。そこが魅力なんだろうな、きっと。
でも村上春樹って、小説とエッセイを、ものすごく厳格に区別して創っている人なんだなあ、と思う。村上龍のエッセイが(僕にとっては)いまいちなのは、村上龍自身がきっと小説とエッセイの区別をうまくつけることができないからなんじゃないだろうか、なんて思った。
99042 「宙返り」 上、下巻 大江 健三郎 講談社読み始め 990710 読了 990802
コメント:◎
いやいや、大変だった。疲れた疲れた。
僕はどちらかというと乱読の速読という傾向が強くて、ちょっとした単行本なら数時間で読んでしまうのだが、この小説は、とにかく読むのに時間がかかって大変だった。別にそんなに難解でもないのだが、彼の文体は、するするとスピードを出して読むのには向かないんだな、と改めて実感。
でも中味はすごく良かった。前作の「燃え上がる緑の木」の続編的な意味合いが強い作品だけど、前作よりも、もう一歩深く踏み込んだ感じがして、僕はかなり好き。「燃え上がる緑の木」と合わせて再読したいな、とも思うけど、めちゃめちゃ体力がいるだろうな。
99041 「人間失格、グッド・バイ」 大宰 治 岩波文庫読み始め 990623 読了 990625
コメント:◎
「人間失格」はもう何度も読んでいるんだけど、実は「グッド・バイ」と「如是我聞」は初めて読んだ。
で、どちらも物凄く好き。どちらも作者の情死により未完に終わっているのだが、読了後、最後まで読めたらどんなに素敵だろう、などと思いを馳せてしまう。
個人的には、特に「如是我聞(にょぜがもん)」が好き。延々と志賀直哉を罵倒し続けるのだが、その攻撃の主眼が、「そんなに偉そうにするな、芸術家ならもっと弱くあれ」というところが、すごく、好き。
99040 「限りなく透明に近いブルー」 村上 龍 講談社文庫読み始め 990620 読了 990621
コメント:◎
再読。
この二年で、一体何度この小説を読んだのだろう。もう今更感想はいらないでしょうというぐらい読んでいる。
それでも書いちゃう。この作品の持つリリシズムは、まるでピュアなヘロインのように、読むものを強烈な中毒症状へと追い込んでいく。目を閉じてこれだけ見事に情景が浮かび上がる小説というのは、他にはない。
99039 「マグネット」 山田 泳美 幻冬舎読み始め 990617 読了 990617
コメント:◎
ここのところずっと感じ続けていた、「山田泳美って詰まんないんじゃん」的気分をぶっ飛ばしてくれた短編集。いや、これは名作です。この人って、ひょっとしたら長編よりも、ちょっと幻想的な短編の方がピタっとはまるのかも。
自意識が顔を出すことの多い彼女の作品だが、短編ではそうなるほどストーリーが深く進行しないということもあってか、非常に潔く気持ちいい作品に仕上がっている。
99038 「ここに地終わり、海始まる」 上、下巻 宮本 輝 講談社文庫読み始め 990612 読了 990616
コメント:◎
地味なんだよね。全然どぎつくないし、激しい主義主張があるわけでもない。でもね、読んでいくうちに、ああやっぱりこのオッサンは物語作りの天才なんだなって何度も実感させられてしまう。
ストーリーが完全に閉じて完結しているから、本を閉じるとふっと情景を忘れることも出きるし、そのままずっと自分の気持ちの中を漂わせておくこともできる。こんな物書き、なかなかいない。
それにして、この人の性表現(性描写ではない)の美しさは、天下一品やねぇ(なぜ関西弁)。
99037 「三四郎」 夏目 漱石 岩波文庫読み始め 990603 読了 990609
コメント:○
再読。
ふと思った。夏目漱石の小説の中で一番記憶に残っていない作品はどれだろう、と。で、前期三部作の第一作目であるこの本を手にとった。
で。やっぱり夏目漱石は好きだぁ。この作品の若々しさと鈍さみたいなものは、なかなかよく出来ている。読み終えて、とりあえず三部作2つ、六つの小説はもう一度読み返さなくちゃ、と思った。
99036 「ラジオ デイズ」 鈴木 清剛 河出書房新社読み始め 990601 読了 990602
コメント:○
ちょっとだけ癖のある文章がすんなり頭に染み込むまでちょっと時間がかかったが、そのあとはすいーっと入り込んだ。まあお決まりの青春の群像的なお話ではあるのだが、キャラクターの設定がかなり現代風で面白い。ただ、作者が音楽やお酒なんかの細かい描写に入ると、とたんに色褪せる傾向がある。そこだけプツリと流れがせき止められているような感じがする。
99035 「命の器」 宮本 輝 講談社文庫読み始め 990529 読了 990530
コメント:○
エッセイ集。
宮本輝という人は、僕が小学生の頃にすでに「違いの分かる男」だったので、えらく歳のいったオッサンというイメージが強く、また比較的スマートだけど地味、という感じが強いのだが、彼の小説を読むごとに、「このオッサン、奥が深いなあ」と思わされる。
彼の小説はどちらかというと閉じた小説で、作者の思い入れとか主張などはあまり表に出ず、物語として完結している。だが、宮本輝という人間は実にコテコテでインパクトが強く、一度一緒に飲んでみたいな、と思わせる深さが滲み出ている。そんなことを思わせたエッセイ集。きっと彼は本当に「違いが分かる男」なんだろうな。
99034 「我らの狂気を生き延びる道を教えよ」 大江 健三郎 新潮文庫読み始め 990529 読了 990530
コメント:○
やっぱり大江は好きだ。
こんなにコテコテで前時代的で(というか書かれたのが前時代なのだから仕方がない)重苦しくてカッコばかりつけてるんだけど、それでもまた読んでしまう。この作品もご他聞にもれずコテコテのドロドロ。でも結構センスがよくて好き。死んじゃう前に、もっとたくさん小説を書き残してくれるといい。
99033 「僕の哲学」 アンディ・ウォーホル 新潮社読み始め 990522 読了 990529
コメント:◎◎◎
それほど期待せずに読み始めたのだが、もう面白くて面白くて、夢中になって読んでしまった。本編のそこかしこにものすごくカッコイイフレーズがちりばめられていて、何度も読み返したり、メモを取ったりしながら読んだ。これは明らかにエポックメイカーにしか書けない文章だし、彼自身がそのことを十分に理解したうえで書いたからこそ、こんなにカッコイイ。もし他にも著書があるなら、そちらも是非読んでみたいと思う。
99032 「ベッドタイム・アイズ」 山田 詠美 講談社文庫読み始め 990518 読了 990520
コメント:◎
再読。
ここのところ何冊かずっと、山田詠美を読んではがっかりするということを繰り返しているうちに、「ひょっとして僕は山田詠美が好きではないんじゃないかな」と感じ始めてしまったので、一番好きだなと思ったこの本を読み返してみた。
で、結果としては、やっぱり僕はこの小説はすごく好き。電車の中で釣り革握り締めて思わず泣きそうになってしまうぐらい好き。短いのがいいのだろうか。「トラッシュ」や「ひざまづいて足をお舐め」みたいに強い自意識みたいなものが見えないのもいい。
99031 「不夜城」 馳 星周 角川文庫読み始め 990514 読了 990518
コメント:◎
凄い。
これだけこてこてでベタベタのストーリーなのに、在日中国人ギャングの話だってことになった瞬間に全てのストーリーと登場人物が新宿歌舞伎町の街の中にビタっと溶け込んでしまい、完璧な物語になっている。
もしこの物語を日本人同士のヤクザの抗争かなんかに置き換えてやってたら、とてつもなくどうしようもない小説になっていたことは確か。
99030 「ヴァニーユ」 赤坂 真理 講談社読み始め 990512 読了 990513
コメント:○
ちょっとだけ村上龍的な密度を持った文章を書く人だと思った。
自らの肉体を傷つけることにより均衡を保つ女性を描いた「ヴァニーユ」や、盲目の男性との恋を描いた「ヴォイス」など、なかなか素敵。ただ、時々濃密な文章が息切れする感があるのが残念と言えば残念。
99029 「スプートニクの恋人」 村上 春樹 講談社読み始め 990511 読了 990512
コメント:◎
待ちに待った村上春樹の新刊。
相変わらずの村上節なのだが、彼も歳をとってきたせいか若干枯れ気味で、そこがちょっと物足りないようでもあり、楽しくもあり。
個人的にちょっと残念だったのは、この小説はもっともっと長いものになればきっともっともっと良いものになっただろうという気が強くしたということ。彼自身はきっと軽く短いものをと狙って書いたのだろうけれども、ちょっと長さが中途半端な気がした。それが残念。
99028 「五体不満足」 乙武 洋匡 講談社読み始め 990510 読了 990511
コメント:◎
うううむ。何と言ったらいいんだろう。
いや、はっきり言ってとても面白い本だし、作者の思いというのもすごくよく伝わってくる。小学生にも読んで欲しいと作者が願うだけあって、簡潔すぎるぐらい簡潔に書かれていて、しかも明快である。
じゃあ何が問題なんだと言われると、うまく答えられない。小説ばかり読み慣れてしまっているせいで、物事の裏とかを考え過ぎるせいなのかも知れない。
ああ、何を書いても当たり障りがありそうで、うまく書けない。でも楽しく読めたことは確か。
99027 「コインロッカー・ベイビーズ」 上、下巻 講談社文庫読み始め 990425 読了 990510
コメント:◎
やはり夏が来る前に再読しておかねばと思い手にとった。
こんなに何度も読んでいるのだから、少しは飽きればいいものを、この小説はちっとも飽きない。毎回きちんと景色と色と匂いを僕に運んできてくれる。
エンディングの後のストーリーをいつも読み終わった後に思い浮かべるのだが、その景色は何故か毎回少しずつ違う。本当にいい小説だ。
99026 「理由」 宮部みゆき 朝日新聞社読み始め 990404 読了 990409
コメント:○
確かにとても良くできたミステリーだと思う。ストーリーもとても緻密に設計されているし、バックグラウンドとなる社会現象についてもしっかりと調べられていて、直木賞も納得できるな、と思うことは思うのだが、何かが足りない。
そうだ、妖怪が出てこないじゃないか。探偵が出てこないじゃないか!、壊れた作家も四角い顔の刑事も不機嫌な古本屋も出てこないじゃないか!!!こんなの詰まらん、などと叫びそうになる自分が、いつの間にかすっかり京極堂に最適化されていることを知るには、とてもよい機会だったかも知れぬ。
99025 「シーズ・レイン」 平中悠一 河出書房新社読み始め 990402 読了 990403
コメント:◎
友人の山本Kさんから頂いた本。
何故彼が僕にこの本をくれたのかを書き出すと長くなるのでまた別の機会にするが、1984年の文藝賞受賞作品で、受賞当時若干18歳という作者のことも気になって、すいすいと読んだ(また実にすいすいと読める作品なのだ)。
感想としては、思ったほど軽薄ではなく、思ったほど気取ってもいない。その辺が18歳ながら文藝賞なんだな、と思った。すごくバランスが良い。
高校生が大好きな女の子を自分の理想の女性像に嵌め込んでしまうという構図は、実に古典的だと僕には思えるが、当時としては画期的だったのかも知れない。
ただ、「かわいい」のことを「かあいい」と書くのだけは勘弁して。
99024 「ダンス・ダンス・ダンス」 上、下巻 村上春樹 講談社文庫読み始め 990328 読了 990401
コメント:◎
再読。
もう何度目か分からないぐらいの回数読んでいるが、それでもやっぱりドキドキさせられてしまう。
彼の物語の一番すごいところは、作者の意図や主張「だけ」を書かず、その周辺を丹念に綴っていくことによって読者に作品自体のイメージを任せてしまうところだと思う。
99023 「塗仏の宴 宴の始末」 京極 夏彦 講談社ノベルズ読み始め 990320 読了 990325
コメント:○
うーむ、確かに相変わらずド派手で大騒ぎは大騒ぎだったのだが、何だか今までの京極の作品ほど面白くなかったぞ。
ミステリーの読後感想の場合、これから読む人の夢を壊さないようにするのが大変なのだが、ちょっとだけ気になったところを。
1. 登場人物の数が多すぎて、各キャラクターの影が薄くなってしまっているように思う。過去の作品で登場した人物がやたらと出てくるのだが、何故その人物でなければならなかったのか、という理由づけがちょっと強引なような気がする。
2. 物語のしかけがちょっとわざとらしい。細部についてはすごく手の込んだ部分が多いのだが、全体的なしかけはかなり単純で、読み進むうちに、「ああやっぱり」というのが多かった(ここの部分はもっと書きたいのだが、詳述してしまうとネタばらしになってしまう)。
3. 京極、榎木津、木場あたりの主役、準主役格の人物の言動がちょっと極端になりすぎているような気がする。特に榎木津の動かし方に無理があるように思う。いくら天才探偵でも、そこまではどうか、というのが目立った。
というわけで、何となく消化不良気味。「宴」という題目が先にあって、とにかく派手に派手にという感じで、無理矢理苦心惨憺してストーリーを作り上げたという感じがしている。
99022 「塗仏の宴 宴の支度」 京極 夏彦 講談社ノベルズ読み始め 990317 読了 990319
コメント:◎
この小説は、「宴の支度」と「宴の始末」の二冊で一つのお話となっているので、二冊を読了した時点でコメントするべきなのかとも思ったのだが、一応タイトルが違うから書いておく。
まあ京極の小説は作を重ねるごとにどんどんスケールが大きくなっていって、このままだと一体どうなってしまうのだろうなどと余計な心配をしてしまったりする。
まだお話が終わっていないので、早く続きを読むことしか今は考えられない。
99021 「白鳥」 村上 龍 幻冬舎読み始め 990315 読了 990316
コメント:◎
なかなか珍しい、村上龍の短編集。
かつて村上龍自身も書いていたが、もともと彼は短編向きの作家なのかも知れない。めりはりもしっかりついているし、必要以上に仰々しくならないところも短編のほうがいいような気がする。
もっと短編も書けばいいと思うのだが、本人は「嫌」だと書いていた。
99020 「個人的な体験」 大江 健三郎 新潮文庫読み始め 990308 読了 990315
コメント:○
再読。
恐らく10年ぶりぐらいの再読ではないかと思う。
10年前には読み取れなかった部分も多く発見できて、なかなか楽しく読めた。それにしても大江の小説は読むのに体力がいる。
99019 「村上朝日堂」 村上 春樹、安西 水丸 新潮文庫読み始め 990308 読了 990312
コメント:○
再読。
無味乾燥で無意味なものが読みたくなって再読。読み始めてからしばらくの間は、あまりにも個々の文章が短すぎて違和感を感じたが、次第になじんだ。まあ、毒にも薬にもならないエッセイ集。
99018 「血い花(あかいはな)」 室井 佑月 集英社読み始め 990305 読了 990305
コメント:◎
読み始めて10秒後にはもうどっぷりと彼女の世界に引きずり込まれてしまう。物語自体は比較的よくある話なのだが、彼女が作る世界にはめこまれると、もうそれだけでものすごくリアルなものへと変質してしまう。ひょっとして、今まで読んだ作家の中で一番好きかも、というぐらい好き。
99017 「ブエノスアイレス午前零時」 藤沢 周 河出書房新社読み始め 990304 読了 990304
コメント:◎
いやいや、参りました。これはすごい作品。言葉の美しさ、ストーリー展開、キャラの設定、まあ凄いです。タイトルと全然関係なさそうなストーリー展開も、最後の最後でドカンと納得させられてしまう。いや、すごい。さすが芥川賞受賞作。
99016 「真夏の犬」 宮本 輝 集英社文庫読み始め 990301 読了 990302
コメント:◎
宮本輝という人の書く作品は、決して派手でも衝撃的でもないんだけれども、実はこの人は本当の天才なのではないかと思わせる時があって、今回のこの短編集を読んでいても何度かそんなことを考えさせられてしまった。
読んでいる側の頭の中にリアルな映像を浮かび上がらせるという才能は、本当にスゴイと思う。
99015 「ストレンジ・デイズ」 村上 龍 講談社読み始め 990225 読了 990226
コメント:○
村上龍の最近の作品は、どれもこれも内容が薄いというか、手抜きが見えてしまうようなものが多かったのだが、この作品は久々に面白かった。描写も緻密で、ストーリーもしっかりしていて、何よりも変態性欲者とか精神異常者を登場させず、しっかりと物語が進行していて良い良い。ひょっとすると、次あたりに名作が書かれるのかな。テンションが上がっている感じが伝わってくる。
99014 「アメリカの夜」 阿部 和重 講談社読み始め 990224 読了 990225
コメント:△
うーん。前回読んだ「インディビジュアル・プロジェクション」よりは大分マシなんだけど、それでもやっぱりこの人の作品はあまり好きじゃないみたい。
何が嫌いかというと、何を隠そうやたらと表現が大袈裟すぎるせいなのだった←こんな感じの文章。
もう一つは、文章の繋ぎ方がメチャメチャ。接続詞と、それに続く文章の関係が全然正しくなくて、読んでいて腹が立ってくる。
どうしてこんな作品が、群像新人賞なんかとったのだろう。本当に疑問だ。
99013 「69」 村上 龍 集英社文庫読み始め 990222 読了 990223
コメント:◎
再読
なんだ、このところ村上龍ばかり読んでいるな。
これも何度目だか分からない再読。とにかく気持ちの良い小説。楽しくて、元気が出て、おまけにバカなのに凄くて、もう最高でしょう。ウジウジとあれこれ考えている時なんかに読むとトテモ良い。
99012 「限りなく透明に近いブルー」 村上 龍 講談社文庫読み始め 990219 読了 990222
コメント:◎
再読
今更コメントもいらないぐらいの回数読んでいる作品。
自分の中で、何か曖昧で気持ちが悪いものがひっかかったりしているとき、この小説を読んでいるような気がする。それがどういう気持ちなのかをうまく現すことはできないのだけれど、そういうこと。
今回も読んで、なかなかいい気分になれた。やはり名作だ。
99011 「コックサッカーブルース」 村上 龍 集英社文庫読み始め 990211 読了 990216
コメント:○
決して名作ではないのに、何故か惹き付けられる作品。再読。
エログロナンセンスに、神秘思想や国際経済なんかをムリヤリ結び付けてしまい、さらに神経病理だの現代病だのもごっちゃにして勢いだけで一気に突き進んでしまうあたり、かなり好き。
ただ、村上龍が経済を題材にする時、エンディングを劇的に持っていくことができないのは(「愛と幻想のファシズム」も同じ)、ちょっと消化不良気味。
99010 「ワイン一杯だけの真実」 村上 龍 幻冬社読み始め 990211 読了 990212
コメント:△
うーむ。これは何とも駄作っぽい。
村上龍の小説は、僕個人的には、かなりの駄作であってもそれなりに好きになってしまうのだが、これはかなり退屈だった。有名なブランド物のワインにこじつけた短編を集めたものなのだが、かなり無理があるように思う。村上龍というネーム・バリューがなかったら、全然売れない本だろうな、などと思ってしまった。やたらと作品を発表してないで、そろそろ名作書いてくれよ、村上龍。
99009 「熱帯植物園」 室井 佑月 新潮社読み始め 990209 読了 990210
コメント:◎◎◎
室井佑月のデビュー作。短編集。
単行本の帯に、村上龍のコメントがある。「この奇妙で魅力的なふわふわとした不安定さはいったい何なんだろう」
まさにこのコメントが僕の感想そのまま。今まで女性の書いた小説というのはあまり肌に合わないものが多かったのだが(理由としては主に作者の自意識が表面に出過ぎているのが嫌ということ)、この作品はものすごくいい。無理に強がることもなく、カッコつけることもなく、淡々と綴られる彼女の世界に、アッという間に引き摺りこまれていた。超おすすめ。
99008 「アメリカひじき・火垂るの墓」 野坂昭如 新潮文庫読み始め 990207 読了 990208
コメント:◎
第二次世界大戦中及び戦後の時代をリアルに綴った短編集。
「火垂るの墓」も確かにものすごいインパクトなのだが、それに続く「アメリカひじき」や「プアボーイ」などの作品は、「火垂るの墓」よりも、よりドロドロとして思わず目を背けたくなるような戦後の貧しさや辛さが克明に記されている。個人的には「プアボーイ」が一番好きかな。
99007 「約束された場所で」 村上 春樹 文藝春秋読み始め 990204 読了 990205
コメント:○
サブタイトルは「Underground 2」。
前作「Underground」が地下鉄サリン事件の被害者のインタビューだったのに対し、本作はオウム真理教徒のインタビュー。
信者達(元信者を含む)のインタビューを読んでいるうちに、次第にオウム真理教と戦中戦後の日本という国というのは非常に似通った性質を持った存在なのではないかと思った。特に、信者達のサリン事件への感想の部分を読んでいたりすると、「あれは一部の上の方の人がやったこと」であり、「オウムの教義自体は間違っていない」というコメントが多く見られるあたり、戦後の日本のメディアの報じる「被害者的敗戦国日本」のイメージと近いのではないか。常にメディアは「軍部」という一部の上の方の人達が暴走し、何の罪もない国民が戦場へと赴き死んでいったという語調で報じているように思う。
遮断された情報の中に浸透するプロバガンダ、選民意識、被害妄想、非常に戦前の日本の姿と似ているし、麻原逮捕に伴う一時的な教団の崩壊に面した信者達のコメントは、戦後の日本の姿と酷似しているように思う。
国民が、自分たちが理解できない存在としてオウム真理教と信者達を一括りにして扱うのと同じように、西洋先進国の人々は日本という国と日本人を一括りにして扱ったのだろうか。
思わずそんなことを考えてしまった。
99006 「インディビジュアル・プロジェクション」 阿部 和重 新潮社読み始め 990203 読了 9900203
コメント:△
期待を大きく裏切られてしまった。正直言ってがっかりさせられた。
若手有望株(群像新人賞も受賞しているし)で、渋谷を舞台にした若者の刺激的な物語だと言うから、もうちょっとマトモなものだとばかり思っていたのだが、ハッキリ言ってこれはひどい。この作品は群像新人賞の受賞作ではないけれど、この程度で群像新人賞って取れちゃうの、と思わず言いたくなるような内容。
何が気に入らないって、とにもかくにも主人公のキャラクター設定がどうにもいい加減。最初やたらとクールで強かった主人公がどんどん弱くなっていき、最後はめろめろになってしまうのだが、その過程が全然メチャメチャ。
気に入らない部分をあげればきりがないのだが、もう一つだけ書くと、プルトニウムだとか薬物などがちょくちょく登場するわりに、全然科学的な検証がない。「ヤクザが身代金の代わりにプルトニウムを差し出した」って、あのさー(アタマガイタクナルヨ)。
カバーに、ストーリーと何の関係もなく半裸の女性がベッドの上で怪しげなポーズをとっていたり、パンツを脱ごうとしていたりする写真を使っているのも、最低。
99005 「羊をめぐる冒険」 上、下巻 村上 春樹 講談社文庫読み始め 990129 読了 9900202
コメント:◎
再読。
これはとても哀しい小説だ。何故こんなに哀しい小説なのかと言えば、それはこの小説が、「喪失」の物語だからだ。
主人公は全編を通してひたすら大切なものを失い続ける。妻、親友、仕事、恋人、そして生まれ故郷。エンディングで主人公が岸壁に座り込んで泣き続けるシーンが、この物語の全てを語っている、と思う。
99004 「愛と幻想のファシズム」 上、下巻 村上 龍 講談社文庫読み始め 990121 読了 990128
コメント:○
再読。
若干雑すぎる全体主義的ムードは漂っているものの、やはり名作だと思う。ただ気になるのは、エンディングの何とも煮え切らない部分。ゼロの死がトウジに与えたものが一体何だったのかを、もっと明確にするか、もしくは日本という国をどうトウジが統治していくかというところまで持っていって欲しかった。
99003 「レキシントンの幽霊」 村上 春樹 文藝春秋読み始め 990110 読了 990118
コメント:△
かなり後期(というかまだ作者は死んでいないので「最近の」というべきか)短編集。
どうにも辛気臭い。もともと村上春樹の短編はあまり好きではないのだが、特にこの短編集に収められている作品は、どれもイマイチという感じ。
オウム関係のノンフィクションもいいけど、自由奔放に、長編を書いてもらいたい、と願ってしまう。
99002 「絡新婦の理(じょろうぐものことわり)」 京極 夏彦 講談社ノベルズ読み始め 990111 読了 990116
コメント:◎◎◎
新年早々京極堂ばかり読んでいるというのもどうかと思うのだが、読んでしまったものは仕方がない。それも、今までにない華やかな(?)物語りとくれば、これは新年早々(やたらと人は死ぬのだが)縁起が良いというものではないか。
今までの京極堂シリーズとはひと味もふたあじも違うとだけ言っておこう。何をどう書いてもネタばらしになってしまうから。でもこれは、今までのどの作品よりもスケールがでかくて、しかも華やかなお話。期待を裏切りません。
99001 「魍魎の匣」 京極 夏彦 講談社ノベルズ読み始め 971228 読了 980109
コメント:◎
再読。まだ京極堂シリーズの全部を読んだわけではないのだが、今のところ僕はこの作品が一番気に入っている。どのへんが気に入っているかというと、、、
それを書いちゃうとネタばらしになってしまうので自粛。でもミステリーという要素を除いても、実に素晴らしい作品だと思う。
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