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読書が変わる ソーシャルで変わる 書評「リーディング3.0」 by 本田直之

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読書といえば、つい先日までは、一人でするものだった。

だが、この常識はもう通用しない。今、読書はソーシャルの時代に突入した。

本田直之氏のデビュー作であり代表作の一つである「レバレッジ・リーディング」から5年。

当時革新的と言われた読書法レバレッジ・リーディングが、すでに過去のものとなりつつある。

 

いや、レバレッジ・リーディングの手法はまったく古くなっていない。今でも十分革新的な手法である。

むしろ、現代の環境がレバレッジ・リーディングの進化を後押ししたと言うべきか。

 

普通の読書をバージョン1とすると、レバレッジ・リーディングがバージョン2、そして本書が提示する2011年の読書はまさにバージョン3.0。その名は「リーディング3.0」となる。

 

リーディング3.0 ―少ない労力で大きな成果をあげるクラウド時代の読書術 

本田 直之 東洋経済新報社 2011-04-22
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by ヨメレバ

 

まず、この「リーディング3.0」を読もうと思う人は、できれば「レバレッジ・リーディング」にも目を通しておくことをお薦めする。

レバレッジ・リーディングを読まなくても理解できるように配慮されているが、先に基礎知識を得てから本書に入る方が、よりスムーズに本書の内容に触れることができるだろう。

「レバレッジ・リーディング」のこのブログでの書評エントリーはこちら。

 

座って本を読むな

 

 

つい先日まで、「読書」という行為はごく個人的な活動だった。

本を読み、そして頭の中に記憶する。それだけだ。

学校などでたまに読書感想文を書いたり大学で論文を提出するケースなどを除けば、本は自分のために読む。それ以上の発展はなかった。

だが、僕らは本を「情報」として取り扱うようになった。ネット上のニュースサイトやRSSの記事と同じように、目的を持ち、必要な情報を獲得するための行為へと変化したのだ。

そして得た情報を自分なりに整理して「レバレッジ・メモ」にして記録し、活用する。

これがリーディング2.0だ。

 

 

だが、リーディング2.0から3.0への変化は同時多発で起こった。

その変化は、「モバイル」と「クラウド」と「ソーシャル」。この3つの革命が同時に起こったことによって一気にもたらされた。

10年前まで、本は座って集中して読むべきものだった。

だが現代では、本はすき間時間に読むべきものになった。

座って本を読む時代はもう終わってしまったのだ。

 

 

iPhoneとiPadでハイパー・ノマド・リーディング

 

 

本書著者の本田直之氏は一年の約半分を日本で、残りの半分をハワイで暮らす「デュアルライフ」を送っていくことでも有名だ。

そんな本田氏にとって、「モバイル」と「クラウド」のもたらす変化は甚大なものだったと説明している。

以前であれば、お気に入りの本は日本では自宅と事務所に、そしてハワイにも買い、それぞれの場所に3冊置いていた。

物理的に3冊の本を購入することはできても、線を引いた箇所や書き込みなどはシェアできず、不便に思っていたという。

だが、今なら洋書ならAmazonから電子書籍でKindleにダウンロードしてしまえば、東京の事務所、自宅、そしてハワイの3ヶ所に本を買っておく必要もなく、また、書き込みや線なども記録できる。

 

 

さらに電子書籍の場合、物流の制限を受けない。

友人と食事をしながら面白い本の話になった時、電子書籍であればその場でダウンロードして表示させ、友だちが薦めてくれるポイントについての情報をその場でもらうこともできる。

そして、読み終えた本の中で記録しておくべき箇所をまとめた「レバレッジ・メモ」についてもEvernoteに記録する形へと変化した。

Evernoteにレバレッジ・メモを格納することによって、分類・整理する必要がなくなり、検索が可能となった結果、いつどこにいてもメモが取り出せるようになった。

ハワイと日本を移動しつつすべての蔵書と読書メモをポケットに入れて持ち歩く。時代はまさに「ハイパー・ノマド」の時代を迎えつつあるのだ。

 

 

ソーシャル・リーディングで僕たちの読書体験は双方向へ

 

 

モバイルとクラウドの登場だけでも十分すぎるほど僕らの読書は大きく変化したわけだが、もう一つの変化は「ソーシャル」である。

インターネットが登場し個人がウェブサイトを持つことができるようになった時から、読後の書評を書いて自分のホームページにアップする人が登場した。

それまでは書評というのは新聞や雑誌にプロのライターや評論家などが書くものであって、僕らはその書評を読むことしかできなかったのだが、ネットの登場で、僕らは読者であると同時に評論家になることができるようになった。

しかし、そうはいっても、個人でホームぺージを持つ人は限られていたし、インタラクティブのコミュニケーションも限定的なものだった。

だかホームページがブログに変化し、さらにTwitterがブレイクしたことで、僕らの環境は大きく変化した。

 

 

読んだ本の中から、フォロワーさん達と共有したいと思う情報をツイートすることで、僕たちは簡単に情報発信者となり、その情報はリツイートを経て瞬く間に広がっていく。

さらに、ブログに詳細な書評を書いたうえでそのリンクをツイートすることもできるし、Facebookのウォールやノートに書評やコメント、引用などを掲載することもできる。

感想や引用を自分以外の人間に送ることで、自分だけでは得られなかった情報をもらえたり、自分とは違う感想を得ることができるなど、従来の読書では考えられなかったような効用がもたらされるようになったのだ。

 

 

まとめ

 

 

現代は情報の需要を供給が上回る、情報洪水時代になった。

だからこそ、僕らは本当に必要な、かつ上質の情報を求め、モパイル・リテラシー、ノマド・リテラシーを高めていく必要がある。

自分のために読む読書から、自分が読んで他人にコントリビューションする読書へ、そしてコントリビューションが自分に戻ってくる読書へ。

今や読書は一人でするものではなく、ソーシャルで行うものへと進化した。

リーディング3.0を読んで、日本における電子書籍の共通プラットフォームの確立と、安定した電子書籍の供給が一日も早く実現することを強く願った。

アメリカでできているのだ。これ以上遅れてしまうわけにはいかない。

 

 

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2011年の60冊目の書評としてお送りしました。

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