書評

凡庸を打ち破れ! 書評「人を動かす文章力」 by 齋藤孝

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文章を書くという行為は、人間だけに与えられた特権の一つである。

 

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文章は人を動かすために書く!

 

 

世の中には、ありとあらゆる種類の文章が溢れている。

文学的なもの。実務的なもの。面白いもの。詰まらないもの。

間違いだらけのもの。正しいけれど、何かちぐはぐなもの。

 

 

世の中には山ほどの文章があり、僕らは多かれ少なかれ、日々文章を書いたり読んだりして生活している。

しかし、その割に、文章の作法やコツについて学ぶことは、意外と少ない。

本書「人を動かす文章術」では、文章をただ書くための技術ではなく、人に伝え、人の心に響く文章の構築方法を伝授してくれる。

 

 

誰も教えてくれない人を動かす文章術 

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技術ではなく中身を磨け

 

 

「文章力」という言葉は二つの側面から成り立っている。

一つは書くための技術のことを指す。

そしてもう一つは、文章に書く「中身」のことを指す。

 

 

本書で主に扱っているのは、この「中身」の鍛え方である。

文章の「中身」を磨く?どういうことだろう。

それは、「ものの見方」を鍛え、何を発見するか、ということを指す。

つまり、文章力を鍛えるということは、すなわち僕らの生活そのものを鍛えることになるのだ。

 

 

アイディアを連鎖させろ

 

 

小学生が書く読書感想文と、プロの作家が書くエッセイ。

たとえ同じように「本」について扱った文章だとしても、両者には大きな違いがある。

本書の著者齋藤孝氏は、その違いを「新たな発見の有無」にあると指摘している。

 

 

 

 

本を読んでそのあらすじを書いたり、感想を述べる。それは「作文」であり「エッセイ」ではない。

文章をエッセイ化するためには、本のストーリーと本人の感想の他に、軸となるテーマが必要となる。

エッセイはテーマを軸に話が展開し、その中に本のあらすじや感想が登場するという形を取る。

本というメディアを媒介として、テーマと私が繋がる、つまりアイディアが連鎖することで、ストーリーが生まれ、文章が組み立てられるのだ。

 

 

凡庸さは恥だ!

 

 

「文章において凡庸さは恥だ」

齋藤氏はそう断言している。

では、文章における凡庸さとは何か。

 

 

たとえば、戦争に関する文章を読んでその書評を書いたとする。

その時に結びの文に「戦争はいけないことだと思いました。平和が一番」というような文章を書いてはいけないということだ。

このような文は、書かずとも誰もが思っていることで、敢えて文章にして公開する価値はない。

このような凡庸さを打ち破るコツを、本書では丁寧に解説してくれている。

 

 

 

 

また、文章においてもっとも大切とされるタイトルのつけ方についても、一般論からの脱却という視点から、タイトル付けのコツを教示してくれる。

頭に浮かんだキーワードを別の言葉に置き換える。

単純なことだが、これを繰り返すことによって、文章作りの力が大きくついていくのだ。

 

 

まとめ

 

 

文章を書くことは、頭の中にある想いを形にすることだ。

しかし、頭の中にある想いは茫漠として形を持たないため、想いを文章にする訓練をすることで、アウトプットのレベルは大きく向上する。

本書では、ビジネス文書、学生の論文、メール術など、シーンに応じた「相手の心を動かす」文章の書き方を教えてくれる。

時として、強引に論理立てして無茶なことを書くのもいい。

著者はそう論じている。

 

 

 

 

無茶な論理立ての筋を通してしまうことで、僕らの文章術は確実に上がっていく。

最初から腰が引けた文章を書くな。

心したい一言である。

書くことによって、僕らの人生は変わる。ものの見方は、書くことによって変わる。

だから、これからも、書き続けようと思う。

 

 

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本書は、かん吉さんの「わかったブログ」で紹介され、気になって読んでみたものです。

 

 

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2011年の78冊目の書評としてお送りしました。

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