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スティーブ・ジョブズに学ぶ「魅惑のプレゼン」9カ条

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皆さんは英語でプレゼンをしたことがあるだろうか?

ほとんどの人は「そんなことやったことないよ」と答えるだろう。

実は僕はやったことがある。

 

 

しかもアメリカに乗り込んでいって、当時勤務していた会社の一番の大口顧客が他社に全面的に乗り換えるという絶体絶命の危機を乗り越えるために、一世一代のプレゼンをしたのだ。

30分ほどのプレゼンだったが、終わったらもう歩くことも喋ることもできないくらい。フラフラだった。

でもその後の会食も英語。あれは辛かった。

前の晩も緊張と不安と興奮(と時差ボケ)で全然眠れず、もうヘロヘロの状態だったが、とにかくやり抜いた。

 

 

結果として大口のお客さんは他社への乗り換えを止めてくれ、引き続き僕のいた会社に大量発注を続けてくれることになった。

メデタシメデタシだったのだが、あの時のプレゼンは本当に酷かったと自分で思う(笑)。

 

 

文法もいい加減だしデザインだってPowerPointのテンプレートのまま。

そして僕の喋りもメロメロだったし発音だってひどかっただろう。

 

 

それでもプレゼンは成功した。

自分なりに何が良かったのかと振り返ると、それは多分ストーリーがあったからでは?と思う。

ただ商品やサービスを機械的に紹介するのではなく、両社の取引の歴史や今までの出来事、頑張ってきた対応、こだわりポイントなど感情を乗せて説明する形になっていたのが良かったのかもしれない。

 

 

ただ間違いなく言えるのは、あのプレゼンは酷かったということ。

今ならもっと上手くできたと反省しきり。特に、今はこんな凄い本まで出る世の中になった。「スティーブ・ジョブズに学ぶ英語プレゼン」だ。

 

スティーブ・ジョブズに学ぶ英語プレゼン―聞き手の心をつかむストーリーと50表現上野陽子 日経BP社 2012-01-14
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この本を読んでから練習すれば、大分マシなプレゼンができただろうと残念に思うのと同時に、この本で語っている幾つかのエッセンスについて、僕は無意識にできていたんだと納得。

だからこそ、プレゼンは酷くてもお客さんは納得してくれたんだろう。

 

 

さて、英語を実際に学びたい方は是非この本を手に取ってもらいたい。

ジョブズが実にシンプルで誰でも分かりやすい英語で心を打つプレゼンを行っていたかが解説され、僕らもすぐに真似できるようになっている。

だが、このブログを読んでくれている多くの方は英語でプレゼンをする必要はない方だろうから、本書の本題からはちょっと軸をずらし、著者上野さんが分析した、ジョブズ・プレゼンの素晴らしさ9カ条を皆さんに紹介したい。

この9カ条は英語だろうが日本語だろうが共通だ。

早速紹介しよう。

 

 

 

 

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 スティーブ・ジョブズに学ぶ「プレゼン鉄則」9カ条

 

1. 冒頭で注意を引く

僕はサラリーマン時代には多くのプレゼンをしたし、聴いてきた。

日本人はプレゼン冒頭の注意喚起が下手だ。僕も下手だったと思う。

ジョブズは挨拶から始めて、まるで聴衆一人ひとりと会話するかのように、相手の目を見て話をし、聴衆を引き込んでいく。

最初から下を向いて資料を見ながらぼそぼそと原稿を読む、という始め方は是非避けるようにしよう。

 

 

2. 経緯を報告

ジョブズはプレゼンの始めは、常にインパクトのある業績や実績などから話し始める。

これから発表される新製品やサービスへの期待を高め、聴衆がワクワクするための仕掛けだ。

「今までの1年間で、iPhoneはこんなに売れたんだよ」

ニコニコ微笑むジョブズがそう切り出すと、「そうそう、そしてこれからもっと凄いのが出るんだよね!?」と聴衆は盛り上がる。

ここでうまく、「世界一」や「業界最先端」などのキーワードをちりばめるのも有効だ。

 

 

3. ロードマップを描く

実績の説明が終わると、ジョブズはその日のプレゼン全体がどのような流れになるか簡単に説明する。

日本人は日本語の特性もあってどうしても全体像の説明が最後になりがちだが、先にロードマップを示すことは大切だ。

 

 

ここでジョブズは「3」という数字にこだわっている。

製品の魅力を3つに分解して説明したり、プレゼン全体を3章構成にしたりする。

これは僕も良く使っていたテクニックでとても分かりやすい。

 

 

「この製品には3つの特徴があります。第1に〜、第2に〜、そして3つ目は〜です」。

この表現を繰り返すと、聴衆の頭にキーワードがすとんと残り、印象が強くなるのだ。

 

 

 

4. 敵役の登場

ジョブズのプレゼンを読むと分かるが、ストーリー作りが猛烈に上手い。

そしてそこには必ず敵が登場する。敵の存在こそがストーリー作りの最大のポイントなのだ。

 

 

敵とは、「従来の問題点」だ。

「こんなことができず不便だ」

「今までの製品には、この機能が欠けていたため使いにくかった」

この敵を作るのが、ジョブズはすごく上手いのだ。本書には実例がたくさん出ていて日本語解説が載っているので、是非参考にして欲しい。

 

 

5. ヒーローの登場

そして敵が登場してきたら、もちろんヒーローの出番だ。

ヒーローを際立たせるのが、プレゼンの一番大切なパートと言っても過言ではない。

 

 

ジョブズは時としてジョークを交え、ビジュアルを駆使し、ヒーローの登場を盛り上げる。

iPhoneの登場、新型Macのリリース、iPadの紹介。

 

 

ジョブズは「どんなことを実現したか」、「この製品のどんなところが凄いのか」を、聞き手にとって身近で具体的に伝えいていく。

しかもニコニコ笑って最高に嬉しそうに。

「こんな素敵な製品、見たこともなかっただろう?」とばかりに。

 

 

6. デモ

ジョブズ・プレゼンでは、ヒーローとなる新製品やサービスが実際どのように動くのかのデモに重点が置かれている。

アップル製品は革命的なアイデアのものが多いため、静止画像だけだと製品の素晴らしさが十分伝わらないからだ。

 

 

例えばiPhoneがリリースされるまで、全面タッチパネル式の電話はこの世の中に存在しなかった(あったとしてもメジャーではなかった)。

だから、実際に操作してどのように動くのかを、聴衆に見せる必要がある。

デモの際もジョブズは最高に嬉しそうに説明する。

「ほら、ここが最高なんだ」とか「このフィーリングを経験したらもう元に戻れないよ」など。

 

 

自社の製品をここまで嬉しそうに説明する人を僕はほかに見たことがない。

これも是非ジョブズから学びたいポイントだ。

 

 

7. 多角的にアピールする

デモ終了後には、より詳細な製品やサービスの説明に入る。

ここでのジョブズのテクニックは「多角的」だ。

 

 

著者上野さんは、以下のポイントが多角化のコツだと分析している。

・共感できるたとえ話

「iPhoneは、まるで自分の生活をポケットに入れているようなものだ」

・シンプルかつ効果の高い表現を使う

・視覚に訴える

・機転をきかせる

デモがうまく動かない時に高校時代のエピソードで会場を沸かせる、など。

 

 

8. 目標と数字の提示

ジョブズ・プレゼンの大きな特徴として、数字の見せ方が上手い点も忘れてはならない。

例えば「iPadは59日間に200万台を販売。3秒に1台のペース」や、

「30GB。音楽で7500曲、写真25,000枚」など、身近で具体的、そしてイメージしやすい数字に置き換えるのだ。

 

 

また、iPhoneの販売目標については、1%のシェアアップと書けば小さく感じるところを、

「マーケットシェア1%で、1,000万台の電話を販売」と書くことで、その数値がいかに大きなものであるかを明確にした。

 

 

9. プレゼンを効果的に締めくくる

ジョブズ・プレゼンの締めくくりはとても印象的だ。

特に有名なのは”One more thing”。プレゼンの最後に目玉を持ってくる手法だ。

 

 

プレゼン最後に大きな発表が来ることで、聴衆は強い高揚感を感じたまま会場を後にする。

さらに製品やサービスの名称を繰り返し伝え,聴衆に感謝してプレゼンを終えるのだ。

 

 

 

 

まとめ

この本には、ジョブズのスピーチの名場面が英語と日本語の対訳で載せられている。

これを眺めているだけで、その時のプレゼンの様子を思い出すことができる。

 

 

たとえばこれ。

“We are calling it iPhone. Today, Apple is going to reinvent the phone, and here it is.”

「その名はiPhone。今日、アップルは電話を再発明する。これがそうだ」

 

 

これも。

“iPhone 3G: Twice the speed, half the price.”

「iPhone 3G。速度は2倍、価格は半分」

 

 

プレゼンとは、人に価値をいかに有効に伝えるかが勝負。

英語でプレゼンする人も、日本語でする人も、是非ジョブズのプレゼンを参考にしてみて欲しい。

紹介すべき製品やサービスの内容は異なっても、ストーリー戦略と情熱、そして分かりやすさなどを工夫することで、あなたのプレゼンは劇的に飛躍するはずだ。

 

 

そして英語にもプレゼンにも関係ないという方も、この本でジョブズのプレゼンがいかに素敵か、眺めるのも楽しい。

実は僕はもっぱらその目的でこの本を読んだ(笑)。だっていま僕英語でプレゼンする予定ないし(笑)。

勉強になってしかも楽しい。良い本だった。

 

 

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