いま一番ホットなキーワードはと問われたら僕は「ライフログ」と答える。
ライフログとはずばり、「ライフ」 = 「人生」の「ログ」 = 「記録」である。
とてもカバーエリアが広い活動である。要は人間が生きていることの記録は何だってライフログになってしまうのである。
人生の中には仕事だって含まれる。だから業務日誌だってタイムレコーダーだってライフログなのだ。
スーパーのレシートだって健康診断記録だって東京ガスの支払い明細だって、なんだってライフログなのだ。
人間は文字を持ち、記録する動物として地球上でかなり特殊な位置づけをしている。
人類が文字を持った瞬間から、実はライフログはスタートしていたのだ。
日記はライフログの代表選手だ。更級日記もライフログなら僕が昔書いた小学校時代の夏休み日記だってライフログだ。
ただ、ここにきてライフログという言葉が大きく注目を浴びるようになってきたのは、iPhoneのようなスマートフォンや、スマートフォンと連動して簡単に使えるクラウドサービスが大量に登場してきたからだ。
アナログの世界ではとてもいちいち記録しておくことができなかった日々の細かい記録を自動で取ってくれる。iPhoneのおかげで僕らのライフログは猛烈に簡単になり、そして正確になった。
「ライフログを始めてみたいけど、どこからスタートしたら良いか分からない」という人も多いだろう。そんな方々にぴったりの本が出た。
佐々木正悟さんと富さやかさんの共著「記録するだけでうまくいく」だ。
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前に進むライフログ
僕はライフログは大別して2つの種類・使い方があると思っている。
一つは「前に進むためのライフログ」だ。この本で主に取り扱われているのはこちら。
たとえば「食べたモノを記録することで体重を減らす」や「家計簿を詳細につけることで貯蓄を増やす」といったことだ。
記録することによって自分自身が進化していく。これを目的としている。
そしてもう一つが「記憶を豊かにするためのライフログ」がある。
人間どんな強く感動したイベントでも、時が経つと記憶は薄れ、やがて感動したこと自体を忘れてしまう。
そして一旦顕在記憶側から消滅した記憶は、自分の力だけでは取り戻すことができなくなるのだ。
だが、そこに記録があれば、僕らは簡単にその日の感動を記憶に取り戻すことができる。
卒業式の写真、旅行に行った時のアルバム、仲間が書いてくれた寄せ書き、など。
文章、写真、匂い。そういった外部要因を元に僕らは記憶を取り戻すことができる。
ならば、いつ記憶を取り戻したくなるか分からないのだから、全部を記録しておこう、ということになる。
これがデジタル・クラウド時代のライフログの考え方だと思っている。
仕事のログの大切さ
デジタル・ライフログの時代には、是非仕事のログを取って欲しい。
僕はToodledoというタスク管理ツールで時間を見積もり、そしてTogglというタイマーツールで時間を計測している。
仕事時間の計測を始めてビックリするのは、この本で佐々木さんも書かれているとおり、「自分の時間予測はここまでメチャクチャだったか!」と唖然とすることだ。
30分で書けると思っているブログに実際は1時間以上かかったり、1時間で見積もった原稿書きが20分くらいで終わってしまったりするのは日常茶飯事だ。
まずはこの誤差の大きさ、デタラメさに驚いて欲しい。すべてはここから始まるのだ。
そして、デタラメでもいいから記録を獲り続けて、そして見返してみて欲しい。
「30分のブログ」のはずが、一週間統計を取って平均値を出したら「49分」になっていたとする。
そうしたら、翌週からはブログの予測時間を「50分」にすれば良いのだ。
これによって「タスクを詰め込みすぎて溢れてしまう」という状況は徐々に改善されていく。
1日人間には平等に24時間が与えられている。
そこに25時間分のタスクを詰め込んでも絶対にこなすことはできない。
最初の1時間くらいは「集中力を高めて速く処理するんだ」という気合いで行けるかもしれないが、そんな進め方はあっという間に破綻する。
30分でできると思った作業に1時間かかれば、その分30分何かが出来なくなる。当たり前のことだ。
だからこそ、見積もりが正確であるべきなのだ。
60分と予測した仕事が60分で完成すれば、そこには失われた時間は発生しない。
そして予測の精度を上げていくためには、ログを取り続け自分を客観的に見えるようにするのがもっとも近道なのだ。
ログを取ることではじめて自分が客観視できるようになり、それによって改善点も見つけやすくなる。
改善の結果もログで数値化されるので一目瞭然だ。
是非仕事の時間ログを活用したい。
まとめ
この本の冒頭で6ページほどの寄稿をさせていただいている。
そこでは敢えてこの本のメインテーマではない、「記憶を豊かにするライフログ」に焦点を当てたお話しを書かせてもらっている。
楽しかった日の写真を見返したりTwitterのツイートを読んだりすることで、過去の記憶を鮮明に保とうという活動だ。
ただ、これら二つのライフログは異なるものではあるが、まったく異質というわけではなく、ごく近い場所を寄り添いながら進んでいるものだ。
ランニングの記録は日々の努力の数値データであると同時に、頑張った自分を振り返る記憶ツールとしても機能している。
3ヶ月前の体重を見て、「今より4キロも太っていたのか」と見返すと、頑張った自分に自信を持てるとともに、翌日からのモチベーションアップにも繋がっていくだろう。
iPhoneとクラウドを使いこなすことで、僕らは自分の人生を100倍も200倍も楽しく活き活きとしたものに変化させることができる。
お金を貯めたい人は家計簿をつけよう。痩せたい人は食べたモノを記録しよう。
そこからすべてが始まるのだ。記録するだけでうまくいく。名言だ。
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。